異世界転生したカズマは召喚師になりました。 作:お前のターン
別にネタが無いとかじゃないですけど、なんとなくこれくらいでくぎろうかなと感じです。
さて、これからカズマのSAN値が削られていきます……。頑張れカズマ!
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「いぃやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アルカンレティアに着いた俺達だが、馬車を借りようと店を探していたら悪質教徒もといアクシズ教徒に追いかけられていた。俺達を見るや、やれ勧誘だの勧誘だの勧誘だの石鹸が飲めるだの…………石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤うるせぇんだよ!!!!!!
「なんであいつら目を光らせてストーキングしてきやがんだよ!!?」
「お客様!!!こちらの書類にサインをお願いします!!!書類上のちょっとした手続きで必要な事ですので!!!ほんと、ちょっとした、ちょっとした事なので!!!!」
「うるせぇ!!!来るんじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
半裸の短パン男が追いかけてくる。こいつは俺達がこの街にやってきた100万人目のお客様とか言って景品とアクシズ教徒の入信書を押し付けてきた。しかも、その景品すらパチもんっぽい。要はアクシズ教徒を増やしたいだけだろう。
「なぁ、アクシズ教徒ってみんなああなのか!?」
「はい。あんなものです。ですが…………数が多くて尚うっとおしいです」
「だろうな!俺、一回ぶん殴ってやろうかと思ったもん!!女だろうとしばいてやろうと思ったからな!!!」
何処もかしこもアクシズ教徒。ちょっと隣を通り過ぎようものなら目を光らせて大声で勧誘し始める。基本二人一組で、片方が商品を勧めて、もう片方が説明と入信を強要してくる。
うざい、マジでうざい。
「ちなみに聞くけど、お前らアクシズ教徒じゃないよな!?」
「違います」
「違いますよ」
「余もだ」
「私は背信者よ」
若干一人アレだけど、取り敢えずは仲間に悪質教徒はいないようだ。あのダクネスはエリス教徒だったけか?あいつも大概だけど、こいつらは普通にタチが悪いな。
「はぁ、まだアルカンレティアに着いたばっかなのにどっと疲れたぞ…………」
はた迷惑な奴らを振り切り、どうにか店までたどり着いた。ようやく足を手に入れた俺達。しかし、ここで問題が発生した。
「え?案内できるのは途中まで?何でだよ?」
「紅魔の里周辺は強いモンスターが多くいまして…………大変申し訳ないのですが、その少し手前までしか送ることが出来ません」
「あぁ、そういう事か。なら、仕方ないな」
行商人の兄ちゃんが申し訳なさそうに謝ってくる。紅魔の里に関して何も知らない俺も悪いが、そういう事があるのなら先に教えて欲しいもんだ。めぐみんとゆんゆんに聞いたら『里のみんなは散歩がてら狩っていたので、そこまで強いと思ってなかった』と供述した。
尚、お兄さん情報によると、『安楽少女』と『メスオーク』には気を付けたほうがいいらしい。理由は…………『メスオーク』の方はぞっとするのであまり話したくない。簡単に言うと、男を襲うらしい。襲ってアレするらしい。あの、雌しべと雄しべが受精する的なやつ。
『安楽少女』は同情を誘い通りかかった人間を死に追いやる人型モンスターらしい。その詳しい理屈は知らないが、出会ったら取り敢えずはぶっ殺せと言われた。さっきの気の優しそうなお兄さんがそう言ってたんだ。それほど恐ろしいのだろう。
「仕方ない。そこからは歩いて行くか」
「大丈夫です。里までの道は分かるのでなんとかなりますよ」
「でも、『メスオーク』とかに襲われたら嫌だぞ?俺、チビりそうだぞ」
「大丈夫です。カズマさんにそんな事をしようとする獣は私が一匹残らず駆逐します。塵も残しませんよ」
「お、おおぅ…………助かる」
笑顔からの低いトーンで絶対殺す宣言をするゆんゆん。頼もしいが、こっちもこっちで怖いんだよな。本当に殺りかねないし、実際に俺に恋人が出来たらなにしでかすか想像もつかない。
「では、私はここまでですので」
「ああ、ありがとな」
危険区域の手前まで送ってもらい、お兄さんは帰っていった。その先の地形を見ると、何一つ障害物のない草原が広がっていた。
「…………潜伏スキルで行くか」
「そうね。無駄な戦闘はさけるべきだわ」
俺を先頭に、ゆんゆん、ジャンヌ、めぐみん、ネロという順番で並んで進む。一応『敵感知』スキルも発動させながら。
お兄さんに貰った周辺の地図とゆんゆんの指示を頼りに難なく進んでいく。しかし、20分ほど歩いた辺りで『敵感知』スキルに反応が合った。
(これは…………複数いるな?しかも、この感じは戦ってる可能性が高い。人と…………他はモンスターか?形からしてグリフォンみたいな大型の鳥獣類だな)
草原といえど、草がかなり大きく生い茂っており視界が悪い。その為離れた所まで視覚出来ず曖昧な情報しか入らないのだ。現に、後ろにいる仲間は誰かが交戦していることなど気づいていない。
俺がその事を伝えると、めぐみんが『それは恐らく素材収集のために紅魔族が狩りをしている』と教えてくれた。
(すげぇな、そんな『ひと狩り行こうぜ!』みたいなノリで危険なモンスターに挑むかよ)
慎重に近づいていくと、確かに紅魔族らしき人達が集団でよってたかって上級魔法を撃ち込んでいた。『インフェルノ』、『カースドライトニング』のような上級スペルばかりでフルボッコしてた。
「マジかよ。一方的過ぎね?」
「この世界の魔法も侮れないわね。キャスターの宝具に匹敵するんじゃないの?」
「紅魔族は基本、上級魔法しか習得しませんから」
確かに危険区域に囲まれても現存しているのも頷ける。これだとそこらの魔王軍じゃ相手にならないだろう。
その後はしばらくそこで戦闘を観戦していた。この人達についていった方が安全だろうしな。
「いやぁ~、いい仕事したー」
「ふっ、我の前にひれ伏すがいい」
戦いが終わると、それぞれがイタイ台詞や仕事人のような事を呟き始めた。頃合いかなと思った俺は『潜伏』スキルを解いてコンタクトを試みた。
「あの~」
「ん?あなた方は…………?」
「俺達、紅魔族の連れの頼みで里に来たんですけど―――」
「おおっ!?めぐみんとゆんゆんじゃないか!?」
「久しぶりじゃないか!?」
俺の後ろに隠れてるゆんゆんとどや顔で構えるめぐみんを見て驚く紅魔族の方達。しばらくぶりの再会だろうからあえて俺を無視してそっちに駆け寄っていくのは許してやろう。どうせゆんゆんが俺に引っ付いてるから完全無視は出来ないだろうからな。
「いやぁ、本当に久しぶりだな。どうした、里が恋しくなったのか?」
「いえ、そうではなくて―――」
「ふっ、紅魔の宿命というやつか。貴様も、約束の地に導かれたのだろう?」
「ふふふ、我が右目が疼きます。封印されし我が力、解き放つ為に舞い戻ってきました」
「ふっ、やはりか」
ああーイタイイタイ。めぐみんも元がそういう奴だと知ってるけど、これ見てて普通に恥ずかしいからな?なんだよ、右目が疼く?眼科行け。封印されし我が力?んなもんあったらとっとと解放して冒険に役たててくれ。無いだろうけど。
「えっと…………俺は佐藤カズマっていいます。それでこっちの二人はジャンヌとネロ。めぐみんとゆんゆんも含めてみんな俺の冒険仲間です。それで、あなた達は―――」
軽く紹介を済ませ逆に問おうとしたのだが、それに瞬時に反応し、いきなりポーズを取って叫び始めた。
「なんだかんだと聞かれたら!」
「答えてあげるが世の情け!!」
「ふぁ!?」
何処かで聞いたような台詞だな。
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため!!」
「おいちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!ポ○モンの台詞丸パクりしてんじゃねぇ!!!」
「カズマ、今いい所なんですから邪魔してはダメですよ!」
「良くねぇよ!?」
俺のツッコミでどうにかとどまった。だが、前の二人は不満らしく何処が悪かったのか自問自答し始めた。
「はぁ、普通に名前教えてくれよ」
「むっ?そうか。我が名は―――」
「ああそういうのいいんで」
「ぶっ…………ぶっころりーです」
「ぶろっこりー?」
「ぶっころりーです」
「ぶろっこりー?」
「ぶっころりーです」
「ぶろっこ―――」
「ぶろっこりーだ!!!あっ!?じゃなくて、ぶっころりーだ!!!しつこいなアンタ、間違えたじゃないか!!?」
「…………ふっ」
「き、貴様……!?」
ちょっとからかってやった。案の定、俺に乗せられて名前間違えてやんの。ぷぷっ!ていうか、ぶっころりーてどういうネーミングセンスしてんだ?めぐみんがまともに聞こえてくるぞ。
「で、あんたの方は?」
「我が名は―――」
「ああやっぱりいいよ。どうせマヨネーズだろ?いや、ドレッシングか?」
「違うわ!!!野菜繋がりで勝手に名前を捏造するな!」
「悪い悪い。俺が悪かったよ、エビマヨ」
「もはやマヨネーズ繋がりになってる!!?俺の名前は―――」
「ぶろっこりー、里までの案内してくれよ?」
「おい!?無視か!!?」
「ぶっころりーだと言ってるだろう…………ったく、我ら『
「ああー凄い凄い。強そう、マジ凄そうだわ」
「「完全になめられてる!!?」」
正直こいつらの自己紹介なぞどうでもいい。感性が違いすぎて理解など到底出来るはずもない。
「カズマ、あんた結構ズバズバ言うわね?」
「ん?お前からも何か言ってやれよ」
「おや?君、中々活かした鎧着けてるね?それにその旗、いいセンスだ」
「はぁ?イカれたセンスのあんたらに言われても嬉しかないわよ」
「ひ、酷い…………!」
「お前も大概だな…………」
ジャンヌも彼らの鬱陶しさにほとほと呆れていたのか、反応が冷たい。たぶん、アクシズ教徒と出会った後だからというのもあるだろうな。
それからは特に問題なく事が進んだ。めぐみんがうまい具合に仲介人役をしてくれたお陰でイタイ奴等の話を流しつつ無事に里までたどり着いた。
「ふっ、また我らの力が必要な時は呼ぶがいい。その時は、例え時間や空間を隔てていても駆けつけよう。それが、我ら紅魔の絆、禁忌に触れようと―――」
「ああはいはいそういうイタイ設定とかいいから、はよ帰れ」
「お、お前は俺達に対する態度が酷くないか!?」
「え?超フツーだよ?ナチュラルだ」
「フツーでこれか!?めぐみん、ゆんゆん、お前らはもっと仲間を選んだ方がいいんじゃないか?」
最後にぶつくさ垂れながら去っていった。
我ながら大人げなかったかとも思ったが、相手がああいう人種なのだ、大丈夫だろう。明日には忘れてまたあのイタイ台詞を言ってきそう。
「さて、まずはどっちから行く?」
「私は後でいいですよ。ゆんゆんからで」
「えっ?そ、そう?ううん…………緊張するなぁ」
「何でだよ?実家だぞ?」
「…………ああ、そういう事ね。分かったわ、私とネロはそこら辺の店で暇を潰してるから、行ってきなさい」
「うむ、ちゃんと紹介するのだぞ?」
「ね、ネロさん…………!?」
「は?お前ら何言って…………?」
「カズマ、たまには男見せなさいよ。親の前だからって萎縮しないことよ」
「親?萎縮?……………………って、ちょっと待てお前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!そういう事か!そういう事なのか!!お前らふざけんなよ!!!そういうんじゃないから!!!その為に来たんじゃないからな!!!?めぐみんも何か言ってやれよ!!!」
「全く、二人ともおふざけが過ぎますよ。カズマなんか紹介されても親御さんが困るでしょう」
「お前もひでぇな!!?」
腹立つわ―。こいつら、面白がって人を玩具にして遊びやがって…………マジで緊張してくるだろが。
「ゆんゆん、頼むから普通に紹介してくれよ?あくまで冒険仲間だぞ?わかったな?」
「え?…………あ、はい。わ、分かりました」
「………………おい?なんで目を逸らす?」
「え?…………あ、そういえばもう手紙で紹介してるからカズマさんの事は知ってますから大丈夫ですよ!」
「なんて書いた?」
「………………………………………………………………………………あ、そこの角を曲がった所に私の家があるんですよ!」
「おい、話を逸らすな!真面目に―――」
「それじゃ、後はあんたらでよろしく―」
「おい待てジャンヌ!おまっ―――」
「カズマ、早く進んでください。後がつかえてるんですから」
「おい待てそれはどういう意味―――」
「ただいま、お父さん!」
俺の心配を無視してさっさと玄関の扉を開けやがった。めぐみんもサラッと気になること言ってたし、こいつら俺をはめる気なのか?
「おぉ、ゆんゆん。帰ったのか、いやぁ長旅だったろう?ほら、早く入ると…………おや?お客さんも連れてるのか?」
「うん!手紙で言って―――じゃなくて、冒険仲間のカズマさんだよ」
「おい、まじて何書いたんだよ。なんで言い方変えた?おい、ゆんゆん」
「おぉ、君がカズマくんか?」
「あ、えっと…………ゆんゆんの『冒険仲間』のカズマです。日頃からゆんゆんには色々と―――」
「ああ、そういう堅っ苦しいのはいいから、取り敢えずは入るといい」
「は、はい…………」
ゆんゆんの親は族長らしい。故に俺もその事で少し緊張していた。だが、それに加えて見た目のいかつさから更に気まずい。口を滑らせたら何されるか…………。
「まぁ、かけたまえ」
「は、はい……」
いわれるがままに接待用の部屋に案内され、畳の上に用意された座布団に座る。
「それで、ゆんゆん。帰ってきたのはやはりあの手紙を見たから、なのかな?」
「うん」
「そうか…………」
やはり、というか何かを悟ったような感じでしかめっ面を浮かべる。まるで、来てしまったのかという雰囲気だ。
「非常に言いづらいのだが」
「……?」
「あれはほんの悪ふざけだったんだ」
「「「へっ?」」」
「いやぁ!なんだかな、ゆんゆん宛の手紙をいつもみたく面白気もなくというのもあれでな?ひょいさぶろーさんと協力してシリアスっぽく書いてみたんだよ。はははははは!」
「「「……………………」」」
「はははははは…………コホン。…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………すまん」
「なぁ、ゆんゆん?お前のお父さん殴っていいか?」
「どうぞ」
「ゆんゆん!?」
このクソ親父舐めてやがる……!わざわざこんな危険な所まで来たのに、真相は『茶目っ気いれてみました、テヘッ!』だと!!?
ぷっつんですわー、カズマさんぷっつんですわー。
「…………まったく。お父さん、悪ふざけも大概にね?」
「すまん、ワシが悪かった」
取り敢えずこれにて一件落着だ。納得はいかないが、手紙に書いてあったような危険はないようだ。
「無駄足だったな……」
「ん?ああ、そういえば…………ゆんゆん?カズマくんとは何処までいったんだい?」
「お、お父さん!?」
「いやぁ、娘もいつかは恋をするとは思っていたがこんなにも早いとは…………お父さん感慨深いぞ」
「ち、違うから!あれはその……」
「この前の手紙だけで『カズマさん』という単語が42回使ってあったぞ?それだけでカズマくんの事がとても好きなのだと分かる」
「あ、あの……?」
「うむ、カズマくん。これからはお義父さんと呼ぶといい」
「…………えぇ?」
困ったことにあちらはかなり乗り気のようだ。それからあれよこれよと話すと、『やはりな』といった感じで納得された。全く意味がわからんが。
それからほどなくして、今度はめぐみんの家へと向かった。
章タイトルに書いてあるように、紅魔編では強敵が結構現れます。シリアスになるまでは今までみたくハチャメチャな内容が続きます。
小説本編ではあまり出番の無かった紅魔の少女達も出そうと思っています。
それでは、なるべく近いうちに続きを投稿しようと思うので次回も読んでいただければ幸いです。