異世界転生したカズマは召喚師になりました。   作:お前のターン

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もしカズマがアクアを選ばずチート能力を貰っていたら?という設定。
「召喚師」という能力名で、様々な英霊を使役できる。
メインヒロインはゆんゆん。
ジャンヌは度々キャラ崩壊するかも?


始まりの町―アクセル―
英霊召喚


前略

俺こと佐藤和馬は異世界転生をした。その過程は思い出すと死にたくなるので省かせてもらう。

さて、本題に入ろう。

俺は、やたらと腹が立つ接待をしてくれた一応は女神であるアクアとやらに勧められファンタジー感溢れる世界へと転生した。

この物語は、そんな俺が魔王率いる強敵に立ち向かっていく、いわゆる王道物語……に発展する可能性のある俺の物語だ。

 

 

 

 

 

 

異世界転生した俺は、まずはゲームマニュアルのごとくギルドへと向かった。本来ならコミ障の俺が公の施設に行くことに何の抵抗もないわけが無い。だが、ここは異世界。俺は、生まれ変わったのだ。故に前世に縛られる事欠く自由奔放な生き方が許される。

俺は、そんな淡い期待を持ってギルドの扉を開いた。

 

「いらっしゃいませー」

 

ギルドに入ると、若いお姉さんがそう言って通りすぎて行った。恐らくは従業員なのだろうと思いつつ、受付の方へと向かった。

少し緊張していたせいか、今ごろになって辺りを見る。すると、やはり異世界なのだろう、世紀末の格闘家みたいな奴から魔法使いみたいな奴までいる。重い鎧を難なく着こなし騒いでいるやつ、流石に箒を持っている奴はいないが、ヒラヒラとした服に防具らしい飾りやら武具を身につけた奴など様々な人がいた。

 

「本当に異世界なんだな~」

 

と、呟きつつ俺は足早に受付へと着き、早速冒険者登録を進めた。

手順としては、

始めに登録料1000エリスを払う。

次に冒険者についての概要を聞く。

最後に適正に合った職業を選ぶ事だ。

概要まで聞き終えると、水晶に手をかざせと言われた。その通りにすると、水晶が反応し、カードにデータを記入し始めた。

 

「えっと……佐藤和馬さんですね。ステータスは……ああ、魔力が少し高いですね。それと幸運がずば抜けて高いですね…………」

 

なんだろう?やたらと言葉を濁すが、何か問題でもあるのだろうか?

 

「…………他のステータスが絶望的に低いので、商人をお勧めますが?」

「えっ!!?」

 

唖然としてしまった。まさかの冒険者適正無しで商人を勧められるとは…………まじか?

いたたまれなくなったのか、お姉さんはあわてふためきながら「あ、でもレベルを上げていくとジョブチェンジが出来ますから…………」と、哀れみの目でそう言ってきた。

俺は、突きつけられた現実をどうにか受け止め冒険者で登録した。

しかし、別に俺はそこまで落ち込んではいないのだ。何故なら…………。

 

(転生特典で特殊スキル貰ったし、どうにかなるだろ)

 

そう、いわゆるチート能力だ。これさえあればやっていけるだろうと俺は思っている。ちなみに、能力名は『召喚師』だ。恐らくはビーストテイマーやドラゴンライダーみたいな使役可能な物だろう。

 

俺は、期待と興奮を胸にスキル試しに草原へと向かった。このスキルはポイントに関わらず、初めから取得しているものなので魔力は関係ないそうだ。ただ、使役可能な数はレベルによって増減するらしい。

 

「何が来るかな~」

 

そんな、ソシャゲのガチャ感覚で浮き浮きしていた俺は、特に深く考えることをせず、召喚の為の詠唱を始める。

 

『告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 

俺は、頭に浮かんだ通りに詠唱をし、僅かばかり感じる魔力を込めた。すると、目の前に先程まで無かったはずの魔方陣が出現し、使役対象となる使い魔が現れた

 

「…………………………あんた、誰?」

「お前こそ誰だよ!!?」

 

召喚されたのは、黒い鎧を身に纏い、どこぞの国の旗を持った色白の女だった。髪は金髪というよりは少し色が薄くなったような銀髪で、俺と身長差はほとんど無い。

召喚された側の女は、何故か気だるそうに開口一番にそういい放ち、「嫌だな~」と、あたかも分かりやすい態度を取っていた。

 

「あのさ、召喚した俺が未熟で嫌なのは分かるけど、名前ぐらい教えてくれよ」

「名前?はっ、嫌よ。何であんたなんかに教えなきゃいけないの?馬鹿なの?」

 

こいつぅぅぅ!!?腹立つな、おい!何でお前えらそうにしてんの?何で魔方陣の上で寝そべってんの?何で使役する方が舐められてんの?

使役する以上俺が舐められる訳にはいかない。上下関係をハッキリさせておかないと後々面倒になる。飼い犬がいい例だ。このなめ腐った態度を改めさせてやる!

 

「馬鹿はお前だ。俺は仮にもお前のマスターだぞ?従わないってなら、それ相応の対応をするぞ?」

「マスター………あんたが?」

「そうだよ。文句あるか?ほら、掌に紋章みたいなのがあるだろ」

転生特典をもらう際に説明してもらった限りでは、これが使役対象への主としての証になるらしい。一応は彼女にも通じるか試しておく必要があるとは思ったので見せてみたが……。

 

「……はぁ、本物ね。わかったわ。一応は従ってあげる」

 

どうやら解ってくれたらしい。先程までの態度を改め、俺と向かい合う。……って、意外と近くでみると美人だな。

 

「サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に従い、参上しました。この身はーーー」

 

淡々と話を続ける彼女だが、俺の意識はそこにはなかった。鎧の上からでも分かる巨乳、絞まるところはきっちり絞まっており、そして西洋風の美人顔。

ズバリ、ストライクゾーンです。

 

「……聞いてんの?」

「えっ!?あ、ああ……サーヴァントだっけか?」

「……だけ?ちゃんと聞いてたの?まぁいいわ。それと、あんたの問いに答えるわ」

 

彼女は、一瞬卑屈そうな顔をして溜息を漏らした。何か不満でも有るのだろうか?名前教えたらまずいとか?

若干緊張気味にその答えを待った。そして、意を決した様にハッキリとこう述べた。

 

「私の真名はジャンヌ・ダルク。……正しくはジャンヌ・ダルク・オルタだけど。此処ではない世界でかつて救国の聖女と呼ばれ、その身を焼き滅ぼされた哀れな女よ」

 

嫌悪感を放ちつつ、自らの過去を語る彼女。その過去が壮絶な物だったことは雰囲気だけでなく、その名前からも分かる。ジャンヌ・ダルクと言えば有名な名前だ。かつてフランスを救わんが為に立ち上がった彼女の最後は惨たらしい物だったと聞いている。

 

「その……アヴェンジャーって言うぐらいだからやっぱり恨んでるのか?」

「恨む……ねぇ。あんたは自分を殺した奴に対して殺意湧かない?」

「湧くな」

「そういう事よ」

 

答えはくれるが事細かに言う気はないらしい。この質問は少し無神経だったか?とも思ったが、これから一緒に戦っていく仲間なんだ。少しばかりは知っていたい。……別に美人だからとかそういう理由じゃないぞ?

それから俺達はギルドへと戻った。戦力は整った訳だし、後は実践あるのみだ。

 

「すいませ~ん、この依頼を受けたいんですけど……」

「ジャイアントトードの討伐依頼ですね?かしこまりました。詳細はこの紙に記してあるので、お気をつけていってらっしゃいませ」

 

受付のお姉さんは特に渋る様子もなく受けさせてくれた。正直なところ、駆け出しの冒険者にはまだ早いと言われるのではないかと心配していた。 その間、隣にジャンヌを連れていたのだが、当然ものすごく視線を集めた。主に男性冒険者から。

 

「早くいきましょ、どうせ雑魚でしょう」

 

本人は周りの視線は気にしてないようだ。クエストを早々と終わらせることしか頭になさそう。

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ頼んだぞ」

「ったく、何で私がこんなこと……」

 

再び草原へと戻ってきた俺達。ジャイアントトードという化け物みたいにでかいカエルと対峙しているのだが、ジャンヌは渋った様子で中々攻撃してくれない。

 

「お、おい……だんだんと近づいて来てるからまじで頼むって」

「はぁ……ああ、はいはい。やればいいんでしょ」

 

すると、ジャンヌは一体何処から出したのか分からない黒い剣を振りかざした。俺には全く理解できていなかったが、遠くを見るとジャイアントトードが燃えていた。

 

「す、すっげ~……。な、なぁお前本当はーー」

「あはははは!!!燃えろ!燃え尽きてしまいなさい!!散り様で私を興じさせてちょうだい!!!」

「…………」

 

ジャンヌはカエルが燃える様を楽しみながら顔を歪め、嘲笑っていた。

もしかして、この子はとんでもないドSなのかもしれない。

 

「ふぅ……終わったわよ。これでいいんでしょ?」

「あ、はい。ありがとうございます……」

「それじゃあ私は帰るから。必要なとき以外に呼んだら張った押して火葬するわよ?」

「う、うっす……!」

 

無意識に舎弟みたく振る舞ってしまった。言うことやること容赦ないドSな元聖女さんとか……どう対処すればいいんだよ。

その後数分ほど途方に暮れていた俺は、我に帰ったあとすぐにギルドへと報告しに行った。そういえば、一頭あたり10000エリスの報奨金は俺が全額貰っていいのだろうか?後から請求されると面倒だが、とりあえずは俺の懐に入れておこう。

異世界に来て初めてのクエストを難なく終わらせた俺は、今度は異世界で初めてのギルドでの晩飯を頂くことにした。いかんせん勝手が分からないのだが、注文形式は何処の世界も共通なので問題なさそうだった。しかし、問題はメニューだ。

 

「…………全くわかんね。シュワシュワってなんだ?クリムゾンビュワって飲み物か?写真とかついてねぇのかよ」

 

そう、完全ゆとり世代なことに加えてこの世界では無知である。字は読めても意味がわからないのだ。実物を見ない限りはな……。

 

「あの……ちょっといいでしょうか?」

「あ、はい……なんでしょう?」

 

振り返ると受付のお姉さんが立っていた。隣には俺より少し年下っぽい黒髪の女の子も。何故かその子は顔を真っ赤にして俯いている。

 

「佐藤和馬さんは、今日初めてのクエストを受けられましたよね?」

「は、はい……」

「率直な感想を教えて貰えませんか?……その、人手が足りないとか、やっぱり火力や安全面に不安があるとか。…………パーティーメンバーが欲しいなぁとか?」

「え?いえ、特に苦戦することなく普通に倒せましたよ。まぁパーティーメンバーがいた方が楽かもしれませんが、今は取り分が減ることは避けたいですし……そういうのは生活が安定してからですかね?」

「うっ……あ、でもいずれ必要なら今からでも…………?」

 

何故かやたらと推してくるんだが?何、そんなに俺のことが信用できないのか?いや、でもお姉さんのひきつった顔を見る限り違う気がする。しかも隣の子なんてもはや涙目だし…………。

 

「やっぱり……私は誰にも必要とされてないんですね」

「「えっ?」」

「私なんかが他の人とパーティー組んだら迷惑がかかりますよね。最初からわかってましたから、気にしてなんか……ぐすっ」

 

えっ?何で急に泣き出すの?

訳がわからなかったので、受付のお姉さんだけ連れて少し離れた場所で問いただしてみた。

 

「な、なんなんですかあの娘?」

「実は……あの方は1ヶ月ほど前に冒険者登録をされたかたなんです。でも、人と話すことが苦手で誰とも話さず、ソロで活動しているんです。あ、でも実力は申し分ないですよ。アークウィザードですし」

 

ふむふむ、典型的なぼっちなタイプだな。

 

「私達も気にはなっていたので何度かパーティーを組んでみないか聞いてみたんです。でも、何度話しても怯えて俯いてしまうので会話が中々成立しないんですよ……」

「お、おう……」

「最近では、話す人がいないせいかのら猫や野良犬、それだけに飽きたらず植物にまで話しかけているのを見かけたのです。これはもう放っておくとどうなるかと思って……」

「…………は、はい」

「……どうでしょう?あの娘とパーティーを組んでは頂けませんか?他の方だと知り合いが多過ぎて腰が引けるっと言って拒否されましたし……もう、佐藤さんしかいないんです」

 

なるほど、言いたいことはだいたい分かった。要はぼっちのあの娘を、まだ知り合いが少なくて話しかけやすい俺が拾ってくれないかと言うことか。

 

「ま、まぁ……いいですけどーー」

「本当ですか!!?では、早速本人にも報告しておきます。ふふ、やっぱり佐藤さんに頼んで正解でした!」

 

俺の言葉をぶったぎり安堵の笑みを浮かべて去っていった。……いや、人の話聞こうよ?曰く付き物件みたく、いざ一緒に冒険したら問題発生しましたとか嫌だぞ。もう少し彼女の説明が欲しいのだが……ああ、遠くで歓喜の笑みを浮かべて喜んでらっしゃる。こりゃもう断れねぇな。

 

「えっと……とりあえず自己紹介からしようか。俺の名前はカズマ。今日冒険者になったばかりの初心者だ。全く勝手が分からなくて困らせる事もあるかもだけど、よろしくな?」

「は、ははははい!こ、ここここちらこっ、こそ!よ、よよろしくおねがっ!……いします!」

 

おい、落ち着け。てんぱってて何言ってるのか全く分からん。途中で舌噛んじゃってるし、本当に大丈夫か?

 

「そんな緊張しなくても大丈夫だって。それで、名前を教えてくれないか?」

「ゆっ……ゆんゆんです!!!」

 

あまりにも余裕がないのか、その名前なのかあだ名なのかよく分からん名前をギルド中に響く様な大きな声で叫んでしまった彼女。俺は、ここで軽く引きそうになったが、きっとそれをしたらゆんゆんの精神が持たないと思い、間をおかずに対応してあげた。

 

「ゆんゆんか……い、いい名前だな、うん……ホント」

 

まずい、強がってはみたが他の冒険者の方々の視線が痛い。思わず目線をそらしてしまった。

 

「あ、ありがとうございます……!名前を誉められたのは生まれて初めてです……」

 

だろうな、人前じゃなきゃ本当に名前なのか問いただしてたぞ。

 

「そ、それじゃよろしくな。ゆ……ゆんゆん」

「は、はい!これから末永くよろしくお願いします!!!」

 

末永く!!?重い、まじで重いんだけどこの娘!誰だよ、こんな重症になるまで放っておいた奴は。

「ねぇ、ちよっと~、早く注文とりなさいよ。お腹がすいて穴空きそうなんだけど」

 

と、何故か席の方から聞き覚えのある声が……。

 

「何やってんの、ジャンヌ?」

「はぁ?腹へったから飯寄越せっていってるのよ。そんな事も分からないの?あんた、私のこと知ってたから世界観は共有できてて少しは話が通じるかと思ってたけど、空気は読めないの?」

 

いや、読めないのはどうみてもお前だろ。しかも、さっきみたいなごっつい鎧装備じゃなくて、休日にOLが着るようなTシャツ姿になってんだけど。いつの間に来たんだよ、お前は仕事終わりのおっさんか。

 

「ねぇ、いいから柿ピーでも枝豆でもいいから早く注文しなさいよ」

「いや、真面目に何いってんの?お前、必要以外に呼ぶなとか言ってただろ」

「腹が減ったんだから別に現界してもいいでしょ?いいから、早く生ビール頼みなさいよ。キンキンに冷えたやつね」

 

こいつ……マジでおっさんかよ。つーか、メニュー見ても分かんないんだっての。

 

「あ、そうだ。ゆんゆん、こいつに何かお勧め物頼んでやってくれよ。俺、メニュー見ても全く分かんないんだ」

「は、はい……!」

「なに、この娘。子供のくせして胸でかいわね。ていうか、あんたこんな娘を捕まえてナニする気よ?」

「何にもしねぇよ!失礼な奴だな……!?」

 

卑屈そうにゆんゆんの胸を凝視するジャンヌ。いや、お前こそなに考えてんだよ。お前にも立派な物が着いてるだろ。

 

「さてと、一応紹介しておくけど……こいつはジャンヌ・ダルク・オルタ。長いから邪ンヌって呼んでやってくれ」

「は、はい!分かりました、よろしくお願いします。邪ンヌさん!」

「ちょっとあんたら、いま互換がおかしくなかった?ジャンヌじゃなくて、邪ンヌって言ったでしょ?」

「よし、それじゃあ注文とるか!」

「あ、ちょっと!?聞いてんの!!?張った押すわよ!!?」

 

こうして、俺はこの賑やかで変わった仲間たちと共に、冒険者ライフを始めたのであった。

 

 




思い付きで書き始めた作品です。
暇なときにでも良かったら見てください。

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