百合ぐだ子 作:百合と百合と百合と
二人は昼間だというのに薄暗い階段を登っていく。カルデアの屋上に通じるそれは、扉が施錠されている為通行止めである。
しかし、それは立香にとって都合がよかった。一方通行だから余程の物好きでなければわざわざ登って来ない。だが階段の一番下は普通の廊下と繋がっているので人の気配が全くない訳でもない。内緒事の場としては及第点、秘め事の場としては満点だ。
「先輩、こんな時間から……。やっぱりいけません」
行き止まりの壁に押しつけられたマシュが目をそらしながら訴えた。
「本当にそう思ってるの?」
立香が後輩の顎をクイと持ち上げる。
「ここまで来る間に私を払い除けることだって出来た筈だよ。マシュの方が私より強いんだし」
「それは……」
「大丈夫。もし見つかっても私が無理矢理したことにするから」
悪戯な笑みが優しいものに変わる。
マシュは卑怯だと思った。
これでは断りようがないからだ。
「先輩、するなら早く……」
顔を真っ赤にしながらマシュが頼んだ。
立香はそんな愛らしい少女の表情をいつまでも見ていたい感情に駆られ、彼女のすぐ横の壁に手を置いた。
「なるべく早く済ませるね」
嘘である。
つい数秒前に真から偽に変わったところだ。
心の中で謝罪しつつ、立香はマシュの両足の間に膝を突き立てた。
「んっ…先輩……」
甘い声が漏れる。
「マシュってばこれされるの好きだもんね」
そう言って立香は膝を小刻みに回していく。
スカートの中の布地が擦れるたび、マシュは喘いだ。蕩けるような嬌声が響く。
それはだんだん大きくなって誤魔化しきれない程の音量になっていた。
「こっち見て」
「ふぇ?」
トロンとした眼差しのマシュを無理矢理自分の方へ向かせ、その唇に侵入する。
くぐもった声が立香の口内にのみ伝わり行く。
他の何者にもこの声を聞かせてなるものか。
おのれの快楽とマシュの世間体のため、立香は優しい独占欲を爆発させていた。
「んむっじゅるっ、しゅぞっ❤」
膝が秘所を突き上げる度に身体は痙攣し、舌と唾液を吸い上げる度に瞳から理性が消えていく。
壁についていない方の手をマシュの後頭部に回し、ラストスパートに入る。
ゼロ距離で混じる視線、中に直接送り込まれる息、張りのある肌を流れる汗の全てが気持ちいい。
「はむっ❤ぢゅるるっ」
強烈なバキューム音が他の全ての音を打ち消した。マシュの全ては私の物だと言わんばかりに立香は彼女を貪る。
「~~~~~❤」
そしてついに、眼鏡の奥が快楽の海に溺れた。立香の膝を生暖かい何かが伝う。
「どう?まだする?」
一旦唇を離し、立香は尋ねた。
それに答えることなく、マシュは立香と体勢を逆転させ、今度は彼女を壁に押し付ける。
「今度は先輩の番です❤」
マシュは蠱惑的に笑った。
当然、立香に断る理由はない。
「いいよ、来て❤」
自ら胸のベルトを外し、谷間が見えるか見えないか位の所までチャックを下げてマシュを誘惑した。