百合ぐだ子   作:百合と百合と百合と

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前回と繋がりなし


マシュ編②

「あ、いたいた」

マシュがカルデアの真っ白な廊下を歩いていると、反対側からやって来た立香が駆け寄って来た。

「メディアさんに出された課題手伝って!!」

のっけからこれである。

仏に拝むように手を合わせる彼女を見て、マシュはため息をついた。

「いくら人理を修復して平和になったからと言って最近気が抜けすぎです」

「そんなこと言わないで頼むよ……」

立香は頭を下げ続ける。手を擦るハエさながらに彼女は一心不乱に頼み続けた。

「お願い!!一生のお願い!!」

もう何度目かになる人生をかけた祈りに立香は全てを掛けていた。こういう時だけは全ての特異点を踏破した最後のマスターの顔に戻る。諦め知らずのしつこさで彼女は頼んだ。

「……仕方ありません。今から先輩の部屋にお邪魔します」

「助かったー!!マシュありがとー!!

持つべき物は出来る後輩だね!!」

立香は遠慮なくマシュに抱きつく。ずれた眼鏡を慌てて戻しても、瞳の奥の動揺は隠せない。立香を甘やかすことになるとは分かっていても彼女の願いを断ることは出来なかった。それに、立香に頼られるのは悪い気分ではない。

マシュはため息をつく。口角が微小に上がっていることには気付かぬまま。

「手、つなご」

マシュの確認を取らず、立香は彼女の手を取った。

「こうするとカップルみたいだよね」

マシュの胸はドキドキしっぱなしだった。

わざとなのか天然なのか。裏表のなさそうな笑顔を見ると恐らく後者だろうと勝手に結論付けてマシュは平静を装った。

加速する鼓動が足をも早めたのか、すぐに立香の部屋に到着した。

もっと遠ければいいのにと少し残念に思いながらマシュは先に彼女の部屋に入る。

「それで課題は」

後ろで突然電子音がした。見ると、立香が内側から部屋のロックを掛けている所だった。

「先、輩……?」

「フフッ、逃がさないよ」

有無を言わせぬ力でマシュを強引に引っぱると、立香はそのまま彼女をベッドに押し倒した。

「一体、何を……」

心拍数の上昇を確認しながら、マシュは立香に尋ねた。

「マシュ、私はすごく怒っています」

両手を腰に当てて仁王立ちしながら彼女は言った。

「昨日フィンさんとデートしたでしょ」

立香は半目で見つめ、鼻をフンと鳴らす。

憮然とした態度の彼女に、マシュは慌てて弁明した。

「ち、違います!!あれは食事に誘われてデートした訳では!!」

「世間ではそれをデートと言うんだよ!!」

ビシッと立香はマシュを指さす。

「そんなこと言ったら先輩だって他の娘にセクハラしてるじゃないですか!?」

「それは皆が可愛すぎるのがいけないのであって私は何も悪くないもん」

清々しいまでの棚上げである。あまりの傍若無人ぶりにマシュは呆然とするが、立香の身勝手は留まることをしらない。

「とにかく」

立香の眼がカッと開いた。

「今日はマシュとイチャイチャする日なの!!」

左手の指をいやらしくくねらさせてマシュに迫った。

「先輩待って!!落ち着いて!!」

立香がマシュの上に乗る。

二人の柔らかな胸が押し合いへし合い揉み合った。

「マシュのドキドキ、私の胸に伝わってくる。

本当はしたくてしたくてたまらないんでしょ?」

事実マシュの心臓はいつになく仕事していた。それが立香の心臓に伝わって相乗効果で身体が熱くなる。

そして熱くなった心は理性をも蕩けさせ、甘く切ない欲望で頭の中を埋め尽くすのだ。

いける。

立香はそう思った。

指先が震えないようにマシュのそれぞれの指と絡ませ、彼女の唇に自分のそれをゆっくりと近づける。

「先輩、いけません……。

こんなこと……」

マシュの頬は熱く上気していた。言葉とは真逆の表情が立香にはたまらなく愛おしい。

「いけないこと、しよ」

最後にそっと耳打ちして、マシュの唇を奪った。

「❤」

それを境に、二人の思考力が全て消し飛んだ。

 

 

 

 

 

少女よりも淫靡で、雌よりも仄かな香り漂うベッドの中心で二人は飽きることなく互いの身体に触れ合う。

強引に迫った立香は存外優しく、無理矢理迫られたマシュは意外と強烈に。何度も何度も体位を変え、攻守を逆転させ、した。

「はぁ…マシュ、はぁ……。お願いしても、あんっ❤

いいかな……?」

「うんっ❤んっ……何ですか?」

身体の動きはとめずに立香は言った。

「わた、し…イッ!?

…はぁ…はぁ……マシュに全部あげるから❤

あんっ❤

私お゛っ❤

私を全部あげるから❤

もう他の娘とイチャイチャしないからっ❤」

突き上げる情欲に逆らいながら何とか言葉を紡いでいく。

「マシュも、お゛おっ!?

私のに、んっ❤

私のになって❤」

その申し出をマシュは断らない。断るはずがない。

「先輩好き❤

大好き❤

あ゛っ!?んお゛あ゛!?

それよりも一旦止めでっ❤

こんなの、やんっ❤、いけないことなのに❤

あんっ❤

止まんないのぉ❤」

二人の表情が果てしない快楽でだらしなく垂れる。

「い゛ぐううううぅぅぅぅ!!??んお゛お゛おおおおっ❤」

ビショビショの服をさらに濡らして、二人は同時に頂点に達した。

精も精も尽き果て、二人はベッドの上で力尽きた。




二人はナニしてるんでしょうね。
くすぐりですかね?


もし次があったら新宿がマシュ成分足りなすぎだったので、新宿でバカップルデートさせてみたいですね

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