百合ぐだ子   作:百合と百合と百合と

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いちゃいちゃするだけの話


モードレッド編③

「こんなことして良いのかな……」

立香は言った。

「い、今更引けるか」

モードレッドが答えた。

二人は今、立香の部屋のベッドの上にいた。

立香は横たわり、モードレッドが馬乗りになる形でだ。

「……モードレッドのエッチ」

「お前が誘ったんだろ!」

「誘ってなんか、ひゃうっ!?」

立香の言葉を遮るように、モードレッドが胸の先端をつまんでいた。

「だ、ダメ。つまむの止めて!!」

「うるせえ!!始めてからヘタレやがって。絶対やめないからな!!」

そう言うと、モードレッドは先から全体へと立香の胸を弄び始めた。

「あん、あ、んっ…ああっ!?」

「そんな声出すな!!

自分を抑えられなくなっちまう!!」

「そんなこと言われても、んっ、がま、あん。我慢出来ないよぉ」

部屋中に甘い嬌声が響く。

モードレッドの頭はどうにかなりそうだった。

「いいっ!?」

シーツを握り、背中を浮かせて立香が艶めかしく声を上げた。

「お、おっ……」

達した後、瞳は上を向き、白目を半分覗かせながら、立香の口からともすれば間抜けな余韻がこぼれていた。

「すまん。ちょっとやり過ぎた……」

モードレッドは立香の頬を撫でながら言った。

「次からはちゃんと優しくする」

モードレッドはそのまま立香の唇を奪った。

 

 

 

「モードレッド♪」

立香はスキップしながらモードレッドの背中に飛び乗って言った。

「おんぶ」

モードレッドは首を横に振りながら、そのまま両手で立香の腰を支えた。

「鎧当たって痛くないか?」

「平気。それよりこのまま食堂いこ。お腹減っちゃった」

「おま、これで行くつもりか!?

……歩かないと太るぞ」

「それも平気。だって……」

立香はモードレッドの耳元に顔を近付けて囁いた。

「夜モードレッドと運動したし」

モードレッドは顔を真っ赤にして、出来る限り小声で抗議した。

「一々表現が親父臭いんだよ。他の奴ら、特にマーリンなんかにばらしたら承知しないからな」

そう言って、モードレッドは一つため息をついた。

「身体は大丈夫か?

気分悪くなったりしてないか?」

「してないよ。モードレッドが優しくしてくれたから」

付き合い始めて一ヶ月後、具体的には昨日、二人は初夜を迎えた。

そんな中でもモードレッドには気掛かりなことがあった。立香は一般人と比べると随分体力があったが、それでも人の域は出ていない。英霊とただの人間には身体能力からして抜本的な違いがあり、同じ性行為でも感じる疲労感に差が出るのは明白だった。

慣れないながらも、モードレッドは立香が身体を壊さないように配慮していたのだった。

「それなら良いんだけどな」

「まぁ、モードレッドってばちょっとおっぱい触った後キスしてすぐどっか行っちゃったから疲れようがないんだけどね」

「うるさい。

お前だって顔赤くして涙目になりながらあんあん言ってたじゃないか」

「そ、それは言わない約束でしょ」

そんなこんなで朝っぱらからいちゃついているうちに、食堂についた。

「おら着いたぞ。

ここからは自分で歩け」

「うん、分かった。

注文してくるから席取っておいて」

「まぁいいけど、ちょっと早く過ぎないか?

まだ誰もいないぞ」

「いいからいいから」

立香がモードレッドの背中から飛び降りた。

「あ、そうだ」

ドアノブに手を掛けた所で立香は振り返ると、モードレッドの頬に短く口づけた。

「行ってきますのチューだよ」

「お前なぁ。ちょっとは場所考えろ」

「嫌だった?」

「……嫌じゃないけど」

それじゃまた、と笑い皺を浮かべながら立香は食堂の中に入っていた。

困った奴だと呆れながら、満更でもないと思っている自分がいることがモードレッドは少し悔しかった。

それでも、立香の笑顔が眩しくて仕方なく。

「あいつ、本当に天使なのかも」

 

 

 

実は、今朝から立香はカレーを作り置きしていた。

料理の経験は殆ど無かったが、モードレッドには手作りの物を食べて貰いたかったからだ。一週間前からエミヤの下でジャガイモの皮の剥き方から教わり、今回は採用しなかったが本場のインドカレーまで調理出来るようになっていた。

「モードレッド、喜んでくれるかな」

盆に二つ分皿を乗せながら、自分の作ったカレーを食べるモードレッドを想像して一人にやにやしていた。

「薄笑いを浮かべて、何を考えているのですか」

振り返ると、源頼光、清姫、静謐のハサンの三人がいた。

「う、うん。ちょっとね」

この三人はモードレッドと付き合う前から、好意を立香にぶつけていた。

それだけにモードレッドの恋人になった今では少し気まずい間柄だった。

「……マスター」

次の瞬間、静謐のハサンが立香の懐に踏み込み、無理矢理接吻した。

「やめ、むぐぅ!?」

抵抗して押し退けたものの、頭と背中に手を回され、すぐに元の態勢に戻る。

静謐のハサンはその舌で容赦なく立香の口の中を蹂躙した。

「いや!!いやぁっ!?」

なんとか離れようと、腕に力を入れても全くびくともしない。その様子を他の二人は黙って見ていた。

「おい、何してる」

モードレッドが二人の間に割って入ると、立香の肩を寄せて言った。

「こいつは俺の女だ。つま先からアホ毛の先に至るまでお前達に分けてやるところなんか一つもない」

「大層な独占欲ですこと」

頼光が言った。

「何とでも言え。次、立香にふざけたことしやがったら問答無用で叩き切る」

鋭利な殺意がその場を支配する。三人の敵意にモードレッドの気迫は全く劣っていなかった。

「行くぞ」

立香の肩を寄せたまま、モードレッドが出口に歩き出した。

「カレー……」

連れられるまま、床の上にぶちまけられたカレーを立香は名残惜しそうに横目で眺めた。

「んなもんいつでも食えるだろ」

「あ、うん……」

二人はそうして食堂の外に出た。二人の後ろ姿を、耳まで裂けんばかりに口角を上げ、闇より深い眼で見つめる三人に気付かぬまま。

 

 

二人は暫く無言で廊下を歩いていたが、先に口を開いたのは立香だった。

「あのまま三人と殺し合うかと思って心配してた」

モードレッドはやれやれというように片目をつむりながら答えた。

「お前、そういうの嫌がるだろ」

立香は驚いた。

「モーさん、私の心が読めるの?以心伝心だね」

「これ位誰でも分かるわ」

そう言って立香の先を歩いていたモードレッドだったが、ふと何かを思いついたようにその場に立ち止まった。

「今から俺、何すると思う?」

「何って……。キスとか?」

「正解」

そう言って、モードレッドは柔らかい唇を立香に押しつけた。本当にすると思ってはいなかったのか、立香は目を大きく見開いていた。

「お前が他の女とキスしてるのを見るのはごめんだ」

モードレッドは立香の頬に着いていた青い髪の毛を取り去った。

「俺が今何考えてるか分かるか?」

「私が今何思ってるか分かる?」

二人の言葉は同時だった。

「モードレッド様かっこいいだろ?」

「立香ちゃん可愛いいでしょ?」

二人は声を上げて笑った。




沖田より早く終わりそうで草。
三人の扱い酷すぎなのでいつか埋め合わせる。

次回は微ntr注意

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