将軍戦記   作:神の子

3 / 5
第3話

参謀本部を後にした日から1週間後

1916年12月4日

マンシュタインはゼートゥーアのもとを訪ねていた。

エーリッヒ「マンシュタイン准将入ります。」

ゼートゥーア「うむ」

エーリッヒ「失礼します。」

ゼートゥーア「やぁエーリッヒ・フォン・マンシュタイン准将、君の噂は聞いているよ。」

エーリッヒ「はっ光栄であります。早速ですが、閣下に」

ゼートゥーア「わかっている。論文のことだろう?私も読んだ。」

エーリッヒ「それでどうお考えですか?」

ゼートゥーア「確かに革命的な戦術だ。だがな、上層部は首を縦にふらないだろう。」

エーリッヒ「なぜですか?」

ゼートゥーア「君も知っているだろう?1912年の共和国との戦争を?帝国誕生を良しとしない共和国が宣戦布告し、始まった戦争を。」

1912年共和国と帝国の戦争

帝国誕生を良しとしない共和国が不法越境して起こった戦争である。

早く終わると思われていたが戦争は膠着

連合王国を仲介とし、戦争が終結した

大戦にはならなかったものの激しい戦争が繰り広げられ

塹壕戦や塹壕を突破するための戦車などが開発された。

あまりに激しかったため戦争終結後世界各国で集まり、捕虜の扱いなどが取り決められた。

エーリッヒ(私の世界よりも時代の流れが早いな)

ゼートゥーア「あの戦争の時、初めて歩兵の塹壕戦があったのだ。あの戦争から帝国上層部は熱心に塹壕戦の研究をしている。その成果を捨てて新たな戦術を研究するなど上層部は認めんだろう。」

エーリッヒ「ですが、」

ゼートゥーア「まぁ研究資金は出るだろうが、実践投入はすぐには無理だな。」

エーリッヒ「わかりました。最後にもう一つだけ」

ゼートゥーア「何だ?」

エーリッヒ「私の戦術は機動が命であり、そのためには、燃料つまり石油が必要ですが、現在帝国はその補給体制を整えていません。」

ゼートゥーア「私にその補給体制をととのえよと?」

エーリッヒ「はい」

ゼートゥーア「私も貴様の考える戦術には興味があるできるだけ力を貸そう。だがな帝国全土を整えるには莫大な時間がかかる。」

エーリッヒ「どのくらいかかりますか?」

ゼートゥーア「石油採掘場や輸送システムなどを全部整えるなら約5年は必要だ」

思ったよりかかるな。確かに一から新たな補給体制を作るのだそのぐらいかかって当然か

となると完成は1922年か、

エーリッヒ「わかりました。どうかよろしくお願いします。」

マンシュタインが部屋を後にした後

ゼートゥーア「新戦術のための新たな補給体制の構築か、ふっやってみる価値はあるな。副官!」

副官「はっ!」

ゼートゥーア「鉄道部などの連中を集めろ。忙しくなるぞ」

副官「り、了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

1916年参謀本部ゼートゥーア准将が提案した新たな補給体制構築『Nationale Bodenreform(国土改革)』始動

1918年計画の42%が完成

 

1920年計画の78%が完成

 

1922年計画の100%完成

 

エーリッヒ「長かったが完成しましたか」

ゼートゥーア「あぁ、貴様が提案した新たな補給体制のおかげで物流の流れも良くなった。これで帝国もさらなる発展になる。」

エーリッヒ「えぇ、とても喜ばしいことです。」

ゼートゥーア「もう一つ朗報だ。戦車研究資金が確保できたぞ。」

エーリッヒ「やっとですか。長かったですがこれであの棺桶のような戦車ではなく新たな戦車開発ができます。」

ゼートゥーア「まぁ。頑張りたまえ。ところで話が変わるが、協商連合の事を聞いたか?」

エーリッヒ「はい、なにやら国粋主義政権が成立したとか。」

ゼートゥーア「あぁ、奴らは帝国を侮っているなにをしでかすかわからん。」

エーリッヒ「確かに、注意しといたほうがよさそうですな。」

 

 

 

ブレドウ「閣下、例の噂を聞きましたか」

エーリッヒ「噂?」

ブレドウ「はい。何と8歳で士官学校に進学した魔導師がいるらしいという噂です。」

エーリッヒ「なにを馬鹿なことを」

ブレドウ「嘘だと思うかもしれませんがレルゲン大佐が見たらしいんです。」

エーリッヒ「あのレルゲン君がか?ありえんよほど疲れているのか。全くそんな事よりも技術省に行くぞ。」

ブレドウ「了解しました。准将閣下」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。