やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 お久しぶりです。
 もう1つの方の作品をしばらく書いていたので、遅くなりました。
 どうぞ



1度あったことは2度目もある

 5限の講義が終わった。

 めぐり先輩はたしか4限までだったはず。

 

 めぐり先輩は講義が終わった後は、基本製菓研の部室にいる。そこで先輩達に頼んで、今日はめぐり先輩には内緒で製菓研自体を休みにしてもらった。

 

『部長には私から言っておくよ!』

 

 何だかんだで協力してくれたな、変態先輩。

 

 部室の前に来ると、オーブンの音がする。どことなく甘い香りも。そして、めぐり先輩の話し声も。

 

 よし、ちゃんとめぐり先輩はいるみたいだな。

 

 

 ………………ん? 話し声?

 

 今日は製菓研は休みのはずだろ? いったい誰と話してるんだ?

 

 ドアに耳を当ててみる。

 

『そうそう、泡立てないようにね。上手だよ川崎さん』

 

 サキサキィィィ!!!

 

 ていうか、そうだよ。サキサキいるじゃん! あの変態、部長さんだけに連絡して、サキサキには連絡しなかったな!

 

(……てへっ☆)

 

 ……また脳内に直接アクセスしてきやがったよ。

 あの変態は能力者か何かか?

 

 まぁ、今更言っても仕方がない。川崎の前だとかなりハズいが、めぐり先輩に無視されないためにはやるしかないのか。

 

 意を決して部室に入る。

 

「……ん? ああ、比企谷か。先輩達知らない? まだ城廻先輩しかいないんだけど」

 

「さ、さあな。そのうち来るんじゃねーの? 知らんけど」

 

「そ。ならいいけど」

 

 そう言うと、川崎は作業に戻ってしまった。

 

「め、めぐり先輩。何を作ってるんですか?」

 

「…………」

 

 ぐっ、やはり駄目か。

 

 ああ、川崎がすっげぇ見てる。何か混ぜながらチラチラとすげぇこっちを見てるよ。

 

 ……やるしかないのか。

 

「…………め、めぐり。何作ってるんですか?」

「クッキーだよ? 八幡くんがちゃんとできたらご褒美にあげようと思って」

 

 速攻で反応してきたよ。やっぱこれで合ってたのか。

 

「…………????????」

 

 うん。その反応は正しいけど、ちゃんと手元を見ようねサキサキ。

 

「……もう、勘弁してくださいよ。何事かと思ったじゃないですか」

 

「だって、今朝八幡くんを見つけていきなりキターって凄いドキドキしてたのに、当たり前のように先輩呼びなんだもん。流石のめぐりちゃんもカチンと来たね」

 

「まぁ、ついさっきまで本当に忘れてたんですけどね」

 

「本当に忘れてたの!? 昨日の今日で!?」

 

 いや、それはマジで悪いと思ってるよ? 本当だよ?

 

「あー、ダメだ。またカチンと来ちゃったよ。これはまた当分機嫌が直らないよ。めぐりちゃん激オコだよ」

 

「その自分で『めぐりちゃん』って言うの可愛いですね」

 

「ふぇっ!? 可愛いって……。そ、そうかな? へへへ」

 

 こら、そこのクッキーの生地を伸ばしてる人。この人チョロいなぁって顔でめぐり先輩を見ないでもらえます?

 

 ん?

 

「あの、めぐり? 何か焦げ臭いんですけど……」

 

「…………? ああ!!! しまったぁ!!」

 

 

 

 

 デジャヴかな

 お皿の上の

 黒い炭

 

「うっ…………うっ……うっ」

 

「城廻先輩。大丈夫ですって。失敗は誰にでもありますから」

 

 川崎がすすり泣くめぐり先輩を慰めている。そして、俺の前には……

 

「でもぉ、八幡くんの前で、この前もやっちゃったしぃ……。全然良いとこ見せられないよぉ」

 

 いやサキサキ、そんなに睨まれても。これ、由比ヶ浜のやつより黒いんだけど。これを食えと? ていうか、こんな風になるまで何で誰も気づかなかったんだよ。俺もお前も近くにいただろうが。

 

 という、意味を込めてサキサキに視線を返す。

 

 見つめ合うこと数秒。

 届け! 俺の想い(一緒に食べてください)!

 

 ふいっ

 

 あっ! 目線を逸らしやがった! 

 

「し、しょうがないから、何か飲み物買ってくるよ。アンタはMAXコーヒーでいいんだっけ? 城廻先輩、何がいいですか?」

 

「………………いちご牛乳」

 

「わかりました」

 

 急ぎ足で部室を出ていくサキサキ。あいつ、逃げやがった。

 

「……川崎さん、何か顔赤くなかった?」

 

「え、そうでした? 気付かなかったです」

 

「うーん。気のせいかな?」

 

 そんなことを話ながら、俺たちはサキサキの帰りを待つのだった。

 

 

 

「めぐり先輩。いや、めぐり。よく聞いてください」

 

「う、うん」

 

「確かにマッカンは素晴らしい飲み物です。人生というとてつもなく苦くて苦しいものまで中和してしまうくらい、甘くて美味しい飲み物です」

 

「う、うん」

 

「……でも、そんなマッカンも、決して万能じゃない」

 

「う、うん……」

 

「たとえマッカンがあっても、これを1人で全部食べるのは、流石に無理です……」

 

「わかってるよぉぉぉぉ!! わたしも食べるよぉ! そのために川崎さんにいちご牛乳買ってきてもらったんだからぁ! そんなに申し訳なさそうにしないでよ!! 余計に凹むじゃんかぁ!!」

 

 どうやら、流石のめぐりちゃんもこれを俺1人に食べさせる気はなかったようだ。

 

「だいたい、何でまた焦がしてるんですか。こんな失敗は1回まででしょ。この間の1回で、もう終わりのはずでしょ」

 

「だ、だって、八幡くんが変なこと言うから……」

 

「変なこと?」

 

 何のことだ?

 

「……わたしのこと可愛いとかなんとか」

 

「いや、んなこといつも言ってるでしょーが……」

 

「へぇ、いつもあんなこと言ってんだ? ラブラブだねぇお2人さん」

 

「」

「///」

 

 目の前のダークマターのせいで、川崎の存在マジで忘れてた。

 

 川崎がジト目で俺たちを見てくる。

 あーあ、めぐりん真っ赤になっちゃった。

 

「とにかく、捨てるのは勿体ないから、3人で食べるぞ」

 

「え、何で私まで」

 

「あんな近くにいて焦げていることに気が付かなかったんだから、俺もお前も同罪だ。罪の割合は1:1:8だ」

 

「8でごめんなさいぃぃぃぃ!!」

 

 

 めぐり先輩の謝罪の声が、製菓研の部室に響き渡った。

 

 ちなみにクッキーは苦かった。ただただ苦かった。

 どれくらい苦かったかというと、食べたあとに飲んだマッカンが、いつもの5割増しぐらいで甘く感じるほど苦かった。

 マッカンの5割増しとかヤバイからね?

 

 川崎は涙目になってたし、めぐり先輩はガチ泣きしてた。

 

 

 




 はい。仲直り?しました。
 ちょっとめぐりんが由比ヶ浜化していると思われるといけないので、ちゃんと料理できるところも書きたいと思ってますw。
 次回もお楽しみに

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