やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 どうぞ



比企谷八幡の彼女は修羅と女神

 

 これは大学4日目の出来事。

 

 今日は午前に新入生の健康診断があり、午後からは部活動やサークルの説明会及び、呼び込みの日である。

 

 無論俺はそんなものに入る気はさらさらないので、健康診断が終わり次第速攻で帰るつもり、だったが……

 

「そうは問屋が卸さないのであった」

 

「……あの、勝手に他人の心を読まないでもらえます?」

 

 帰ろうとしていたところでめぐり先輩に捕まったのだ。

 

「俺はどこに連れていかれるんですかね?」

 

「ふふん。私が所属しているサークルさ!」

 

 手を引っ張られながら校舎内を歩く俺の質問に堂々と返事をするめぐり先輩。

 

 

 やがて1つの教室の前に着くと、めぐり先輩が勢いよく扉を開ける。

 

「お前ら! 新勢力を連れてきたぞ!」

 

「……お前ら、だと?」

 

「はひっ! ぶ、部長、いたんですか……」

 

 めぐり先輩が威勢よく声を発するが、中にいた1人の女子に睨まれると小さくなる。

 

「城廻ぃ、先輩への言葉遣いがなってないんじゃないかぁ?」

 

「は、はぅ、だって部長いると思わなくて……」

 

「だいたいお前は…………」

 

 珍しい。めぐり先輩が説教を受けている。しゅんとしているめぐり先輩を眺めていることにしよう。

 

「でも、新入生連れてきましたよ!」

 

「……ああ、お前の彼氏とかいう?」

 

「はい!」

 

「…………ところでお前の彼氏って、アレか?」

 

「……? ああ!?」

 

 

「おお! 君がめぐりの彼氏君かー!」

「どれどれ? うーん、顔のパーツは揃ってるかな?」

「……ね、めぐりって君の前だとどんな感じ?」

「どこまでいったの!? めぐりってば、そういうの全然教えてくれなくてさ!」

 

 お、おぅふ。これが女子大生か。何か速攻で囲まれたんだけど。

 ていうか、近い近い近い近いちかいちかいちかい。

 

 た、たすけて! めぐえもーん!!

 

「こーらー!! 何してるか貴様らーー!」

 

 めぐえもん!!

 

「だめだめ! 近い近い! 八幡くんに触れていいのはわたしだけ!」

 

 流石めぐりん。めぐりんだけはいつだって俺の味方だぜ。

 

「きゃー、こーわーいー。彼氏君、助けてっ」

 

 俺を囲んでいたJDの1人が俺の腕にしがみついてきた。

 

 あ、柔らかい……

 

 

 

 

 はっ!! 殺気!?

 

 俺は殺気が発せられる方を見ると、そこには満面の笑みをした修羅がいた。え? 矛盾してる? いいや、してないね。だってめぐりんの後に鬼が見えるもん。

 

「………………八幡」

 

 おお、呼び捨て。なのに何だか嬉しくない。

 

「いや、待ってください。今のは、俺、何も、悪くない」

 

 一言ずつちゃんと紡いでいく。

 実際俺は悪くないはずだ、悪いのはこの……ってあれ?

 

 いつの間にか、柔らかい感触がなくなっているだと!?

 

 あ、部屋の角の方に逃げてやがる。

 

「大丈夫、マコには後でたっぷり言っておくから。今わたしが知りたいのはマコに抱きつかれたときの八幡の顔について、かな?」

 

「お、俺の顔がどうかしてましたか? あ、目が腐ってたとか?」

 

「それはもともとかな」

 

 そうでした。テヘッ。

 

「…………」

 

「ごめんなさい」

 

 あー、ここの床は冷たいなぁ。

 

 

 

「と、いうわけで、わたしの彼氏で1年生の比企谷八幡くんです」

 

「……城廻めぐり様の彼氏やらせてもらってます比企谷八幡です」

 

「う、うん。よろしく……」

 

 JDたちが困っている。というか、引いている。

 

「あー、ここの部長の清水愛子、3年だよ。よろしく」

 

「どうも。で、ここって何のサークルなんすか?」

 

「製菓研。製菓研究会だよ」

 

 製菓研? どこかで聞いたことあるような……。あ、神山高校にあったなそんなの。

 

「お菓子作るんですか?」

 

「そゆこと」

 

 ふぅん。まぁめぐり先輩には似合ってるな。だから去年はよくお菓子くれたのか。

 

「……部員ってこれだけなんですか?」

 

 見たところ部長さんとめぐり先輩も合わせて6人だ。

 

「そ。3年は私だけで、あとは2年のこの5人だけ。去年は4年が2人いたけど卒業しちゃったし、普通は1年に1人入るか入らないかって感じなんだけど、去年は5人も入ってビックリしたんだよね」

 

「……それで今年は?」

 

「君だけ」

 

「いや、俺は入るなんて言ってないんですけど」

 

 いや、ホント言ってない。もう強制入部とかこりごりである。

 

「いいじゃんいいじゃん! 入ろうよ比企谷君」

「そうそう。男子の意見とかすごい気になるし」

「……講義のあともめぐりと一緒にいほうだい」

「2人で作ったお菓子をお互いに食べさせあったりしてさ!! そこを写真に収めさせてください!」

 

 最後のやつが危ない。

 

「まぁ、強制はしないけど、とりあえず今日は見ていったら?」

 

「はあ」

 

 一応部長さんの提案に乗っておく。

 まぁ確かにここに入れば、めぐり先輩と毎日一緒に帰れるしな。

 

「……あの、八幡くん」

 

「ん? どうかしましたか、めぐり先輩」

 

 ずっと黙っていためぐり先輩が小さい声で俺に話しかけてくる。

 

「……ごめんね、強引に連れてきちゃって。……怒ってる?」

 

 さっきまでの修羅はどこへやら。

 俺の彼女が可愛すぎて辛い。

 

「全く怒ってませんよ。無理やりどこかに連れていかれるのは小町やどこかのアラサー独身教師で慣れてるんで」

 

「そっか。……よかった」

 

 ホッと息を吐き、安心するめぐり先輩。

 あっぶねー、ここが家ならガチで抱き締めてた。

 

「さて、今日は何作ろっか」

 

 部長さんの声に皆が反応する。クッキーがいい。えー、またー? などという声が飛び交う。

 

 すると、唐突に教室の扉がノックされる。

 

「……? どうぞー」

 

 部長さんが答えると扉が開く。

 

「あの、ちょっと見学したいんですけど……」

 

「あ、新入生? 歓迎するよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 どうやら俺と同じ1年生の女生徒が見学に来たようだ。

 女子にしたら高めの身長でスタイルもかなりいい。長い髪をポニーテールにし、格好はラフなのにどこかお洒落で、目は少し強気なつり目。クールな雰囲気を纏いながらも頬が少し赤くなっていることから、人見知りなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 ていうか、この人知り合いかもしれない。

 

 

「…………川崎?」

 

「……? っ!? 比企谷!?」

 

 うん。やっぱサキサキでした。

 

 

 





 サキサキ登場でした。
 次回もお楽しみに

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