やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 どうぞ



相馬博臣はきっと許されない

 [生徒会室]

 

 ここか……。

 俺は今、生徒会室の前に来ている。

 

『私は生徒会の顧問もしていると言ったな?故にお前にも手伝ってもらうつもりだ。私は少し、とある生意気な生徒に教育的指導してくるから、先に行って自己紹介でもしていてくれ』

 

 と言い残し、平塚先生はギャーギャーと抵抗する比企谷を引きずって行ってしまった。

 

 生徒会。生徒会ね。

 

 確か生徒会長は女子生徒だったな。なんつったっけ?えーと、い……、いし、石なんとかだっけ?……まぁいいか。

 

 コンコンと生徒会のドアを軽くノックする。

 

『入ってまーす』

 

 中からはふざけたような間延びした女子生徒の声がする。

 

「失礼する」

 

 教室などとは違いドアは1つしかないが、生徒会室の中は意外と広く、今はついてはいないがストーブが置いてあり、加湿器がウンウン唸っており、冷蔵庫まで完備してある。

 

 いくつか机が並び、それらの席は1つを除いては全て男女バラバラに埋まっている。

 

 そして、その並んでいる机とは少し離れているところにも1つだけ机が置いてあり、そこには1人の女子生徒がパソコンをカタカタと打っていた。

 

「どちら様ですか~。副会長ちゃん、誰~?」

 

 その女子生徒がパソコンから1度も顔を上げず、副会長に尋ねる。

 

「あ、佐藤先生、ですよね?新任の佐藤先生だよ、一色さん」

 

 一色さん?あー、石なんとかじゃなくて一色だったか。確かにそんな名前だったな。つまりあいつが生徒会長か?

 

「佐藤先生?……佐藤、さとう、サトウ、……誰?」

 

 未だに顔を上げない生徒会長は佐藤という名前を連呼するだけでこっちを見ようともせず、パソコンをカタカタするだけだ。そんなにも急ぎの仕事なのだろうか?

 

「あー、新任の佐藤 潤だ。平塚先生に言われて来たんだが……」

 

 さっきまでパソコンに向かっていた生徒会長は俺が自己紹介をした途端、いきなり顔を上げて俺を見る。

 

「その声、その前髪、その金髪。あー!新任の佐藤潤先生じゃないですかー!何だぁ、そうならそうと言ってくださいよー」

 

「……いや、今言ったんだが」

 

「副会長ちゃんも教えてよー。水くさいなー」

 

「えぇ!?あのー、言ったんだけど、新任の佐藤先生って……」

 

 何だこの生徒会長は。ボケなのか?それともアホなのか?

 

「それで、何しに来たんですかぁ?」

 

「いや、だから平塚先生に言われて来たんだが」

 

「あー、なるほど、平塚先生が佐藤先生の教育係ですもんねぇ。それで生徒会の顧問も手伝うように言われたんですね」

 

「あ?平塚先生が俺の教育係って言ったか?」

 

「やだなぁ、生徒会長権限で、この学校の大抵のことは知ってますよぉ」

 

「……」

 

 何だよ生徒会長権限って。そんなに強いもんじゃないだろそれ。そんなんで何でもわかるなんて、そんなことあるわけ……

 

「あ、信じてませんね。じゃあ、ちょっとだけ披露。佐藤 潤 6月6日生まれ 22歳 身長182㎝ 北海道出身 高校、大学時代は『ワグナリア』というファミレスで7年間キッチンのアルバイト かなりのヘビースモーカーで長身金髪だがら怖がられがちだがヤンキーという経歴はない バイト時代に同僚からいつも店長の惚気を聞かされていて、誰かの話を黙って聞くのが得意になった……。こんなところでどうですか?」

 

「」

 

 何やら机の引き出しから1枚の紙を取り出したと思ったら、俺のプロフィール的なものを音読し始めた。

 

 これが、生徒会長権限か……。

 こいつのことは相馬2号と呼ぼう。

 

「い、一色さん?それどうしたの?」

 

 副会長らしき女子生徒が生徒会長に質問する。

 

 全くだ。プライバシーもへったくれもあったもんじゃない。 

 

「いやー、実は新任の先生全員分あるわけじゃなくて、何故か佐藤先生のこんな感じの情報だけがこの学校に送られてきたらしくてぇ、面白そうなんで平塚先生から借りてきちゃった」

 

「…………………それ、どこから送られてきたんだ?」

 

「え?えーと、あ、北海道ですね」

 

 相馬殺す。

 

「はぁ~。ま、とにかく、何か生徒会の顧問を手伝うことになったようだから、よろしくな」

 

「……は~い。皆きりーつ」

 

 生徒会長の号令で、生徒会のメンバーたちが皆立ち上がる。

 

 そしてそれを言った本人も、俺の個人情報が書いてある紙を机の上に置くと、椅子を下げ、ゆっくりと立ち上がる。

 生徒会長はそのまま背筋を伸ばし、姿勢正しく俺の目を真っ直ぐ見ると……

 

「生徒を代表して、生徒会長3年 一色いろはが佐藤潤先生を心より歓迎いたします。これから授業、生徒会活動ともに我々の先生としてよろしくお願いいたします」

 

 そう言い、綺麗なお辞儀をする。それに続くように他の生徒会メンバーの者もよろしくお願いしますとお辞儀をしていく。

 

「…………お、おう」

 

 としか言えなかった。そこにはさっきまでのふざけた態度の生徒会長はいなく、学校を代表する生徒会長の姿が確かにあった。

 

 

 

 

 




 3年いろはす降臨。
 立派になったけど、やはり根っこの部分は変わってないいろはすでした。
 でも立派になった。すごく、すごく……(涙)

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