やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 けーちゃん編ラストです

 どうぞ



いくつになっても彼女はシス……妹想い

 

 ケーキも食って、話もして(大学のことやら文芸部のことやら)、何だかんだで結構居座ってしまった。

 

「小町、そろそろ帰るか」

 

「そだね。結構長居しちゃったし」

 

 小町と確認をとり、子供たちに声をかける。

 

「おいお前ら、そろそろ帰るぞ。てか、よく人ん家で寝れるなこいつら」

 

 どんだけこの家に慣れてんだよ。

 

「その子らは大抵騒ぐか、寝てるかだよ」

 

「マジか……。いや、ホントすまんな」

 

 京華の言葉につい頭が下がってしまう。

 

「全然。私も楽しいしね」

 

 京華はそう言うと、昔の見せていた天使のような笑みを浮かべた。

 

 

 八城たちを起こし、玄関のところで別れの挨拶をする。

 

「んじゃな。来年は東京だよな」

 

「うん。だから八城たちがここに来れるのも今年までだね」

 

 その言葉に八城が驚いたような顔になる。

 いや、さっきその話してたからね。君聞いてなかったのん?

 

 京華はそんな八城に近づくと、八城の頭に手を置いて軽く撫でる。

 

「今年中は何回でも来ていいから。そんな顔するな少年よ」

 

 京華は八城に優しく微笑む。

 

「……何回でも?」

 

「うん」

 

「……毎日でも来るぞ?」

 

「おう。来い来い」

 

「ん。それなら許してやる」

 

 いや、お前何様だよ。などと言うのはきっと野暮なのだろう。

 

「あかりもだからね」

 

「うん」

 

「それじゃあ、はーちゃん、小町さん。透と夢葉にもよろしく」

 

「うん。伝えておくね」

 

「こいつらがまた厄介になるかもだから、そんときはよろしくな」

 

「うん。はーちゃんも、またケーキよろしく」

 

 にひひと笑みを浮かべる京華。この顔もやはり川崎にはない顔だな。

 

 俺はお邪魔しましたと玄関の鍵を開け、ドアを開けようとドアノブを握……れなかった。

 

 スカッ

 

 スカッ?

 ドアノブを握れなかった俺は前にバランスを崩す。ドアが勝手に開かれて、ドアノブが握れなかったのだ。

 

 一歩前に踏み出し、何とか倒れるのは防ぐ。

 

 しかし、ドアが勝手に開いたということはあり得ない。つまり、誰かが外から開けたのだ。

 

 目線の先には足がある。靴を見る限り女性のようだ。

 

 パッと顔を上げると、目と鼻の先にさっきまで話していた京華がいた。

 いや、このつり目。姉貴の方だな。

 こいつらやっぱ似てるな。

 

 ていうか近い。超近い。あと15㎝顔を前に出せば、めぐり以外の女性に初めてキスしてしまうくらい近い。

 

 あ、川崎の顔がだんだん驚いた表情から怒りの表情に変わっていく。だってどんどん赤くなっていってるもん。

 

 これは何か言った方がいいな。何て言えばいい?何が正解だ?これは間違えられん。最悪ビンタが飛んでくるかもしれん。

 

 あ、そういえば昔小町に女性に会ったらまず服装を褒めるって言われたな。よし、信じるぜ小町!

 

「その服、似合ってるな」

 

 お互いの顔の距離15㎝のまま、目を見ながら言い切る。

 

「……それは、顔を離して服装を見てから言う台詞だったね」

 

 それもそうだ。テヘッ☆

 

 ピシッ!

 

「あがっ!」

 

 デコピンでした。

 

 

 

「アンタが京華の部屋に来てるなんて珍しいこともあるんだね」

 

「だろうな。初めてだし」

 

 結局、川崎が来たことで俺たちももう1度部屋に上がることになった。

 

「八城とあかりはいるけど、透はいないんだね。夢葉もか」

 

「本当にうちの子供たちは全員来てるんだな」

 

「私がここに来るときは6:3:1くらいの割合かな」

 

「それどういう割合?」

 

 6:3:1?何が6で何が3?ていうか、1ってなんだよ。いるかいないかじゃないのか?

 

「透が6であかり、八城たまに夢葉が3。誰もいないが1」

 

「……なるほど。お前はどんくらいここに来てんだ?」

 

「え?週に4、5回?」

 

「いや、多すぎんだろ」

 

 ていうか、透も多いな。川崎が週に4、5回で、その川崎が6割の確率で透を見る。つまり透は1ヶ月に何回来るかというと……、1ヶ月に……。

 

 うん。ハチマン数学苦手。

 

 ハチマン国語教師だし。数学必要ないし。

 

「あ、そうそう。京華に聞いてみたかったんだけどよ」

 

 今度は京華に話を振る。

 

「なになに?」

 

「お前、彼氏とかいねーの?」

 

「へ?」

 

「っっ!」

 

「比企谷……」

 

「お兄ちゃん……」

 

「あ?なんだよ?」

 

 俺の質問に京華が面をくらい、八城がビクつき、川崎と小町にゴミを見るような目で見られた。

 

「あー、それがいないんだな~。なになに?はーちゃんが彼氏になってくれるの?」

 

「いや何でだよ。この間の同窓会で一色を見てたら、他の奴は結婚とか大丈夫かなって思っただけだっつーの」

 

 この間の同窓会では、たいていは結婚ないしは付き合っている人がいたりしたのだが、一色だけが恋人もおらず、第2の平塚先生になっていた。

 

「まぁお前は人当たりとか良いし、心配はしてなかったが、彼氏いないのか」

 

「いたことはあるんだけどね。ここ3年くらいはまるっきしだね。勉強もあったし」

 

「え!?いたことあるのっ!?」

 

 川崎が1番驚いてた。

 

「ま、大丈夫でしょ。お兄ちゃんや雪乃さんでもできるんだから」

 

「それを言うなら平塚先生だろ」

 

「そういえば平塚先生結婚してたんだった」

 

「おい川崎。それ絶対に先生の前で言うなよ。俺が殴られちゃうから。ていうかお前、結婚式にも来てたじゃねーか」

 

「冗談だって」

 

 その冗談が通じないのがあの人なんだよなぁ。

 

「ねぇ、さっきからその平塚先生って誰?高校のときの先生?」

 

「ん?ああ、そうか。お前のときはもう結婚してたもんな。佐藤先生だよ。現国の」

 

「ああ。あの現国なのに白衣の?」

 

「そう。あの人の旧姓が平塚。まぁ俺たちはそっちで慣れてるからそっちで呼んじまってるけどな」

 

 

 それから俺たちは平塚先生の話で盛り上がった。

 

 あの人、よく結婚できたよな……

 

 

 

 

 

 





 次回からは皆お待ちかね、静ちゃんのターンです。
 静ちゃんの結婚までの奇跡、間違えた、軌跡を書いていこうと思います。
 長編になるかも……
 お楽しみに。

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