やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 番外編3話目です
 今回は台本形式ではありません。

 どうぞ




3人で行こう

「はちまーん!そろそろ学校行くよー」

 

 彩加からそんな声がかかる。職場は俺も彩加も同じなので、基本一緒に車で行っている。

 

「あ?早くねーか?いつもより30分はえーぞ?」

 

 しかし、今日に限っては何故かいつもより30分も早く声がかかった。

 

「何言ってるのさ、今日は歩きなんだから早く出ないと駄目に決まってるでしょ?」

 

「……?あ、そうか。今日はそのまま同窓会とやらに行くんだったな」

 

 酒も出てくるだろうから、当然車は使えないということだ。

 

「はぁ~。しゃーねぇ、行くか。めぐり、そういうことだから今日夕飯いらねーわ」

 

「はいはい。わかってるよぉ」

 

 どうやらめぐりも今日は同窓会だということを覚えていたようだ。

 

 そして、いつもは車で10分くらいの道のりを彩加と歩いて出勤することになった。

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、今日のHRはこんくらいだな。それじゃあお前ら気をつけて帰れよ。部活のやつは怪我しないように。はい、解散」

 

 俺の解散の合図とともに教室が一気に騒がしくなる。

 

 俺は今2年C組の担任をしている。学校一適当な担任教師で有名である。

 

「比企谷先生」

 

「あ?おお、どした?」

 

 話しかけて来たのは、俺が顧問をしている文芸部の部長ちゃんだ。

 

「今日の部活動は休みでいいんですよね?」

 

「ああ。この後ちょっと用事があってな」

 

「……………ようじ?」

 

 おっと?これは言わなくてもわかる。その目は『先生に用事なんてあったんですか?』って目だな。

 

「先生に用事なんてあったんですか?」

 

 言われちゃったよ。

 

「嘗めんな。あるに決まってんだろ。むしろ毎日が予定で埋まりすぎて逆に何もできなくなっているまである」

 

「それで毎日部室に来てはラノベばかり読んでいるのですね」

 

 だってあの部室、静かで超読みやすいんだもん。それに図書室でラノベ読む教師とかちょっと怖いし。

 

「まぁとにかく、今日は休みな」

 

「……あの、私達だけで部室は使ってはいけないんですか?運動部ではないので怪我とかありませんし。今日はその交渉に来ました」

 

 なるほど。どうやら自分たちだけで部活やるから、部室の鍵よこせやコラってことらしい。

 

「あー、そういうことか。別にいいんだが、俺はこの後すぐいなくなるから鍵をお前に預かってもらわないといけなくなるが、それでもいいか?今日は金曜だぞ?」

 

 つまり鍵を俺に返すのが来週の月曜になってしまう。うちの部は休日に活動はしないからな。何故かって?もちろん俺が学校に来たくないからだ。

 

「構いません」

 

「んー、まぁいいか。ほらよ。戸締まりだけはちゃんと頼むぞ」

 

「案外軽いですね。流石学校一適当な担任教師」

 

「やっぱ貸すのやめるわ」

 

 受け取ろうとした部長ちゃんの手をするりとかわす。

 

「………ごめんなさい」

 

「よろしい。ほら」

 

「ありがとうございます。では月曜日に返しに行きます」

 

「はいよ」

 

 部長ちゃんは俺に一礼すると、教室から早歩きで出ていった。

 

 

 

 

 さて、さっさと彩加を探して同窓会とやらに行くとしますか。あいつテニスコートかな?

 

 彩加はテニス部顧問なのである。運動部は基本顧問が数人付いているので、顧問が1人いない程度では休みになったりしない。

 

 テニスコートに向かうか職員室を先に覗いていくかを迷いながら階段を下りていると、階段の踊り場で彩加が女子生徒数人に囲まれていた。流石は学校一人気の体育教師。

 

 すると、不意に彩加と目が合う。あ、あれは助けての苦笑いだ。

 

 その合図を受けた俺は回れ右をし、違う階段から職員室を目指すことにした。

 

 ここで邪魔をすれば、あの女子生徒たちが可哀相と思っただけで、決して羨ましいから少し困らせてやろうなどとは少しも思ってはいない。

 

 

 

 

 職員室の自分の席で彩加を待つことに決めた俺は、暇だったので鞄に常備しているラノベを読むことにした。

 

 数ページ読んだ辺りで急に後ろから声がかかる。

 

「ふっ、職員室で堂々とラノベを読み出すとは。君は昔から何も変わってないな」

 

 アラフィフの静ちゃん登場!

 

「まぁ特にやることないんで」

 

「この後同窓会なんだろ?」

 

「何で知ってんすか?」

 

 今回は高2のときの知り合いの集まりのはず。

 

「私も由比ヶ浜に呼ばれたからな。一緒に行くつもりで君のところに来たんだが、まだ行かんのか?」

 

 どうやら、平塚先生も参加するらしい。そういえば、誰が来るのか俺全然知らねーや。由比ヶ浜からは『高2のときの同窓会やろーよ!』としか知らされていない。

 

「あー、一緒に行くのはいいんですけど、ちょっと待ってもらえます?今彩加待ちなんですよ」

 

「なるほど、戸塚も来るのか。彼は部活か?」

 

「いえ、女子生徒に捕まってます」

 

「ふむ。相変わらずモテモテのようだな」

 

 平塚先生とそんな話をしていると、職員室のドアが開き、何やら疲れきった彩加が俺の方へ向かってくる。

 

「……八幡。何で逃げたし」

 

「おい、由比ヶ浜語で話すな」

 

 彩加がやると確かに可愛いんだが、もう俺たち35だからな?おっさんだからな?

 

「さて、揃ったようだし。行くとしよう」

 

「あれ?平塚先生も呼ばれたんですか?」

 

「うむ。今日はとことん飲むつもりだ!」

 

「ほどほどにしといてくださいよ。また前みたいに年下旦那さんに迎えに来てもらって、迷惑かけちゃ駄目ですからね?」

 

「わかっているさ。そこのラインはしっかりと見極めるよ」

 

 本当にわかってんのか?この間この3人で飲んだときもそう言ってたぞ?それで案の定ベロベロに酔って、10歳年下の旦那さんに迎えに来てもらっていたのだ。

 

「ははは。まぁぼくたちがしっかり見張っておけば大丈夫だよ。八幡」

 

「気づけ彩加。見張っておかなければいけない時点でもうダメなんだよ」

 

 俺と彩加でヒソヒソとそんな話をしていると、痺れを切らした平塚先生が俺と彩加の手首を掴み引っ張ってくる。

 

「ほら!さっさと行くぞ!酒はいつまでも待ってはくれないぞ?」

 

「ちょっ、酒は待っててくれますからっ!引っ張るな!」

 

「まだ鞄が机に!」

 

 どうやら平塚先生は酒もそうだが、久しぶりに雪ノ下たちに会えるのが楽しみなようだった。

 

 

 

 

 

 




 平塚静。結婚してましたー!
 よかったね!本当によかったね!
 いずれ平塚先生の結婚式なども書きたいと思ってます。

 では、次回同窓会

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