やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

3 / 53
 第3話です。
 
 どうぞ。



少しの会話でメグリッシュ

 ~職員室~

 

「失礼します」

 

 ガラガラと扉を開ける。

 職員室を見回してみる。が、そこにめぐり先輩の姿は無さそうだ。

 

 外したか……、仕方ないな。

 

「比企谷」

 

 回れ右をして職員室を出ようとすると、いきなり呼び止められる。

 

「平塚先生」

 

 独身アラサー教師平塚静が立っている。ずっと思ってるけど、何でこの人現国教師なのに白衣なのん?

 

「お前が自分から職員室に来るとは珍しいな。何か用か?」

 

「あー、まぁ、そうなんですけど。用は終わったんで大丈夫ですよ」

 

「む?入ってきて、すぐ出ていこうとしていたようだが」

 

 この人どんだけ俺のこと見てんの?

 

「いや、ちょっと人探しを」

 

「ほう。一体誰かね?」

 

 んー、超私的なことなんだけどなー。

 

「あー、城廻先輩です」

 

「城廻?城廻なら先程まで職員室にいたぞ?」

 

 マジか。ちょうど入れ違いのようだ。

 

「今はどこにいるかわかりますか?」

 

「図書室に行くと言っていたが」

 

 良かった。どうやら、めぐり先輩はまだ帰ってないようだ。

 

「城廻に何か用なのか?」

 

「……ええ。まぁ?」

 

「……何故疑問形なんだ?」

 

 確かに、俺は城廻先輩に会って何するつもりなんだ?

 うーむ。まぁいいか。会ってから考えればいいだろ。

 

「とにかく、図書室行ってきます」

 

「あ、ああ」

 

 失礼しますと言い、俺は職員室を出る。

 

 さて、図書室か。あー、ちょっとドキドキしてきたわ。

 

 俺は図書室に向かう。

 

 

 ~図書室~

 

「ここに来たのも久しぶりだな」

 

 生徒会選挙以来か。

 

 図書室に入り、辺りを見回してみる。うむ。やはりここも勉強している生徒が多いな。

 

 すると、奥の机の一角で難しそうな顔で何かを書いている城廻めぐり先輩を発見する。

 

 どうしようかしばらくめぐり先輩を見ていると、めぐり先輩と不意に目が合う。

 

 めぐり先輩はパァと明るい顔になると、声を出せないからか俺に向かって大きく手招きする。

 

 俺は会釈しながらめぐり先輩の向かいの席に座る。

 

「ども」

 

「比企谷くん、久しぶりだね。生徒会選挙以来かな?」

 

「そうですね、それぐらいかと。城廻先輩は何してるんですか?」

 

 机の上を見れば、くしゃくしゃに丸められた原稿用紙が何枚か散らばっている。

 

「あー、実は卒業式の答辞任されちゃってね。その下書き」

 

「はぁ、もう卒業式の準備ですか」

 

「もうって言っても、あと3ヶ月もないしね」

 

 どうやら、卒業式の答辞はめぐり先輩が読むようだ。まぁ、前生徒会長なのだから、当然と言えば当然なのだが。

 

 1度原稿用紙に下書きをし、それを担当の先生に見てもらいOKを貰ってから、あの折り畳まれる紙に再び書くというシステムらしい。

 

「何だか難しそうな顔をしてましたけど」

 

「そーなのー、答辞って言われても、何書いていいんだかわかんないんだよねぇ」

 

 ふむ。頬に手を当てて困り顔のめぐり先輩も可愛いな。

 

「はぁ。まあ無難なこと書いておけばいいんじゃないんですか?」

 

「それはそうなんだけどさぁ。やっぱり、会場を感動の渦にしたいっていうか」

 

「それはちょっと無理なんじゃないですかね」

 

 めぐり先輩だと、会場全体がホンワカな空気になってしまう。

 

「あぁー!酷いよぉ比企谷くんっ。そんなことないもんっ」

 

「いや、城廻先輩だからってわけじゃなくて、感動ってのは狙って取るものじゃないんじゃないのかと思いまして」

 

 嘘です。めぐり先輩じゃ無理だと思ってました。

 

「あぁ~。そういうことかぁ。確かにそうだよねぇ」

 

 よし。俺、ナイスフォロー!

 

「じゃあ、比企谷くんはどんなとき感動する?」

 

「俺ですか?」

 

 うむ。と少し考えてみる。

 漫画やラノベ、アニメなどで泣ける場面といったら、「再会」「別れ」「死」「報われない恋」まぁいろいろあるだろう。

 

 しかし、今回は感動だ。「死」や「報われない恋」だと悲しくて泣けてくるといった感じである。かといって、「別れ」といってもこれは転校や異世界への急な別れであって、卒業式は別れて当たり前である。

 

 それなら「再会」?卒業式で再会とか意味不明過ぎんだろ。

 

 一通り考えて、俺はある共通点に気付く。

 

「……涙、ですかね」

 

「へ?涙?」

 

 めぐり先輩がキョトンとした目で首を傾げる。うん。癒される。

 

「城廻先輩は漫画や小説を読んだりしますか?」

 

「うん。少女漫画は好きだよ。小説も有名なやつとかなら。あと、恋愛小説も好きかな」

 

「なら、それを読んで感動して泣いたことは?」

 

「あるある。凄いあるよっ。わたしって結構すぐ泣いちゃうんだよね」

 

 てへっと舌を出すめぐり先輩。可愛い過ぎるだろ。

 

「そういうときって、話の中のキャラクターが泣いてるシーンが多くありませんか?」

 

 俺の言葉に納得したのか、ポンと軽く手を叩く。

 

「ああっ!確かに多いねっ。そのキャラに感情移入しちゃうっていうか」

 

「はい。所謂、もらい泣きというやつですね」

 

「……つまり、答辞を読んでいる最中にわたしが感極まって泣いちゃえば……」

 

「特に卒業生は大半が泣いちゃうんじゃないですか?」

 

 多分俺も泣いちゃうっ。うん、ないかな。ないな。

 

「なるほどなるほど。『人は涙に涙する』ってことだねっ」

 

 何か名言っぽいのができちゃったんですけど。

 

「それなら、まずはわたしが泣けるような答辞にしなきゃダメってことだねっ」

 

「まぁそうなりますね」

 

「……あれ?それ難しいんじゃないかな?」

 

「……まぁ、本番になれば会場の雰囲気とかで何とかなりますよ」

 

 確かに、自分が読んでて感動する答辞を自分で書くのは難しそうだ。自分は内容を知っているのだから。

 

「……ねぇ比企谷くん。手伝って、くれない?」

「はい。喜んで」

 

 涙目であんな頼まれ方したら、即答OKに決まってんだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 




 話が思い付く限りは書いていこうかなと思います。
 
 でも、めぐりんだけじゃなくて、小町と戸塚のストーリーも書いていくんだよね。何だかんだで長くなりそうな予感。

 感想、評価、たくさん待ってます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。