では、どうぞ
終わった。終わったよ。小町はやりきったよ。もう悔いはない。
ていうかヤバい。何がヤバいって、マジヤバい。
「あっ、比企谷さん!お疲れっす!」
「あぁ、大志くん。お疲れー」
「……どうでした?」
「あー、えーと……」
正直に言っていいのだろうか?試験が終わったばかりで、皆一安心と不安の間を彷徨っているはずだ。でも小町は……
「ま、まあやれることはやったって感じかな」
本当にやれることをできたと思う。
「そ、そうっすか。まぁ俺も頑張りました」
「お互い受かってるといいね!じゃあ!」
「あっ、……うす」
大志くんには悪いけど今は早くあの人に会いたい。早く会ってお礼が言いたい。
そう。小町は今回の試験、やけに自信があるのです。何故かというと、ここ最近戸塚さんに『こういう問題は重要だよ』と丁寧に教えてもらったところが物凄くたくさん出たのです。もう問題用紙を見たときびっくり。
そのおかげで、あっという間に解き終わり、見直しもバッチリ。
まぁ結果が出たわけではないので、まだわかりませんが、それでも自信があります。
「あー、でも明日も普通に学校だし、早くても会えるのは今週末かぁ」
とりあえず、メールでお礼だけでも……
『付き合って、みる?』
『受験が終わったら、ちゃんと返事しますんで……』
ぷしゅーっ///
そ、そそそそそうだった。終わったらっていつだ?次会ったとき?それとも今?いや、無理無理。絶対無理!と、とにかく、お礼のメール……。いや、電話でもいいかな?迷惑じゃないよね?
……いや、待て!落ち着け小町!いったん家に帰ろう。荷物を置いて、お兄ちゃんにやれることはやったと伝えて、落ち着いてから、戸塚さんに電話をしよう。電話で伝えることは、頑張りましたってことと、勉強見てもらったお礼と、あと……、うぅ~。……それはまた後で考える!
そんなことを考えてるうちに、家の前。
早っ!うちってこんな近かったっけ?
……まぁいい。とにかく家に入ってからだ。
ガチャ
「ただいま~」
「……?あっ、おかえり小町ちゃん」
「」
「……?小町ちゃん?」
「………………っ!!??」
と、とととと戸塚さん!?何故!?何で!?WHY!?
「お邪魔させてもらってるよ。あ、それより、どうだった?試験」
「……あ、う、えっと、あうぅ~……」
や、やばい。言葉が出ない。えっとえっと……。
「と、戸塚さんに丁寧に教えてもらったところがたくさん出て、結構できたと思います……」
「ほんと?ならよかったよ。まぁとにかくこれで一段落だね。本当にお疲れ様」
戸塚さんが小町の方へ歩いてきて、頭を撫でてくれる。
あうあうあうあうあう~。
「あっ、そうだ。小町ちゃん」
「は、はいっ」
まさか、あれのことかな?うぅ~。まだ心の準備が~。
「小町ちゃんって、城廻先輩と会ったことある?」
「………………へ?」
「……?城廻先輩のことは知ってるよね?」
「え?あ、はい。兄の彼女になってくれた元生徒会長さんですよね?会ったことはないです」
いきなり、何の話だよチクショー。あ、嘘です。滅茶苦茶安心しました。
「なら、ちょうどいいんじゃないかな。今来てるよ?」
「へ?来てる?」
「うん。今八幡の部屋で勉強中」
おいおいマジかよ。あの捻くれボッチの兄が、妹の小町がいないうちに、家に彼女連れ込んだのかよ。しかも今は部屋で2人っきり?本当に勉強かなぁ?これはもしや、ウフフでアハハな雰囲気になっているのでは!?こうしてはおけない。早く見に行こう!
「戸塚さん!小町もめぐりさんに会いたいです。早く兄の部屋に行きましょう!」
「え?あ、うん。そうだね」
小町は足早に階段を上がり、お兄ちゃんの部屋のドアを勢いよく開ける。もしかして、キスでもしてたりして。キャッ♪
「うふふ。じゃあ次はこれと、これと、これ。解いてもらおうかな。まだまだいくよ」
「あ、あはははは……。はぁ~」
違う意味でウフフでアハハな空間だった……!
「お、お兄ちゃん?」
「ん?おお!小町!たすかっ、……いや、おかえり!帰ってたのか!」
今、助かったって言おうとしなかった?
「あ、うん。たった今ね」
「あれ?もしかして妹ちゃん?」
すると、お兄ちゃんの隣にいる女性が小町に話しかけてくる。
「はい。初めまして、妹の小町です。いつも兄がお世話になっております!」
「城廻めぐりです。えっと、お兄さんのか、彼女をさせてもらっております。……あうぅ///」
自分で言って自分で照れてる!?か、可愛えぇ!
「そうか。会うのは初めてだったな。ああそれと、めぐり先輩、何か今日泊まるらしい」
「えっ?泊まるって、うちに?」
「あ、もしかしてダメだったかなぁ?もし、妹ちゃんがダメって言うなら、諦めるけど……」
「いえいえいえ!全然OKです!むしろこちらからお願いしたいです!めぐりさんとは1度ゆっくりとお話がしてみたかったので!」
「……!それはいい。小町、せっかくだしめぐり先輩とたくさん話してきていいぞ。小町の部屋でも、リビングでも、聞きたいことは全部聞いてもらって構わん。むしろ、5時間くらい話していてくれ」
「……八幡くん?」
「……八幡」
「うっ」
何故かお兄ちゃんがめぐりさんからはジト目で睨まれ、戸塚さんには呆れられている。
「……まぁまぁ小町ちゃん、城廻先輩は今日泊まるんだから後でゆっくり話はできるよ。それよりも、小町ちゃんこそ試験受けたばっかで疲れていると思うし、少し休んだら?」
「ぐっ、戸塚……、お前なぁ……」
「そうだね。妹ちゃんとは後でゆっくりお話することにしよっか」
まぁ本当に勉強中だったみたいだし、仕方がないか。
「チッ。…………………………!それじゃあ仕方ないか。なら小町、戸塚の相手頼むわ」
「え?」
と、戸塚さんの相手……?
「戸塚も一応お客さんだからな。小町、お前の部屋でお茶とか飲みながら話でもしてこいよ。……それに、お互い何か話したいことでもあるんじゃねーの?知らんけど」
「ちょ、ちょっと!八幡!?」
「お、お兄ちゃん!?」
な、何を言ってんだこの兄貴は!?そ、そそそそりゃあ話したいことはあることにはあるけど、でもそんないきなり!
「……?……ああ!そっかぁ。戸塚くん、八幡くんはわたしが見てるから妹ちゃんとお話してきてもいいよ?」
「城廻先輩まで!?」
「俺は勉強しなきゃなんねーし、めぐり先輩はそれを見てくれるわけだからな。と、いうわけで、2人は2人でゆっくりしてこいよ」
こ、こいつっ!このニヤニヤが物凄く腹が立つ!
……でも、お礼を言うチャンスかも。
あと、あのことも……
でもやっぱりあのにやけ顔は腹が立つ!
小町でしたっ☆
次回もお楽しみに
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