やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 第22話です

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バレンタイン?なにそれ?

 

 バレンタイン

 それは男女共に浮き足立つ日。

 ここにも少し浮き足立っている男女がいる。

 

「受験票は持ったか?消しゴムは?五角えんぴつも入れたか?」

 

「ん、大丈夫みたい」

 

「んじゃ、頑張れよ」

 

「はーい。いってきますっ」

 

 そう。今日は高校受験の日。そのため、平日ではあるが俺たち総武高生は休みである。

 

 は?チョコ?チョコなら小町から昨日ちゃんともらってますけど?え?めぐり先輩?うるせーよ。だから今日学校休みなんだよ。めぐり先輩と会えねーんだよ。

 

「はぁ~、暇だ。録り溜めてるアニメでも観るか。うー寒っ」

 

 俺は小町を見送った後、家に戻ろうと玄関を開ける。

 

「へいへいそこの少年。何だか暇そうだねっ」

 

「まぁ、実際暇ですからね。……いや、何でここにいるんですか?ていうか何でうちを知ってるんですか?」

 

 何故かうちの前にいる。1度もここに来たことないはずなのに。

 

「めぐり先輩」

 

「せっかく彼女が会いに来たのにその反応はちょーっと酷くないかな?」

 

 めぐり先輩と付き合い始めてから3週間ほど。答辞の原稿も無事に終わり(感動するかどうかは微妙)、学校ではほとんど会わなくなっていた。3年生はもう自由登校になっているので、そもそもめぐり先輩が学校に来てないのだ。

 

「めぐり先輩が学校に来れば、毎日会えますけどね」

 

「えー、やだよぉ。もう推薦も決まってるのに、行く必要ないし、めんどくさいもん」

 

 この人何だか付き合ってから、俺に似てきてないか?

 

「……俺に会いに来てくれればいいんじゃないですかね」

 

「っ!……ふふ、言うようになったねぇ、このこのっ」

 

 俺の頬をツンツンしてくる。や、やめろぉ!柔らかい、可愛い、良い匂い、可愛い、あと可愛い。

 

「だ、だから何でここを知ってるんですか?」

 

「あー、戸塚くんに聞いたっ」

 

 戸塚か。確かに戸塚には1番に報告した。3人で昼飯を食うこともあった。まぁ、最近この人は学校に来なくなったが。

 

「いつの間に戸塚と連絡先交換したんですか?」

 

 基本めぐり先輩と戸塚が会うときは俺もいるのだ。

 

「あれあれ?もしかして、嫉妬してる?」

 

「……?いえ?全然」

 

「何でぇ!?してよっ、嫉妬してよぉ!!」

 

「いや、嫉妬する理由がわかりませんね。戸塚の好きな相手知ってますし」

 

「え!そうなの!?誰誰?わたしの知ってる人!?」

 

 お、おおう。ぐいぐい来るな。流石は女子高生。恋ばなには敏感ですね。

 

「まぁ、いつまでもここにいるのは寒いですし、家入ります?それとも帰ります?」

 

「帰らないよっ!お邪魔するよっ、お邪魔させてもらいますよっ!」

 

 

 

 

 

「とりあえず、炬燵にでも入って待っててください。温かいお茶でも出します」

 

「あ、ありがとぉ」

 

 めぐり先輩はもぞもぞと炬燵の布団に肩まで入る。

 

「はい。どうぞ」

 

「いただきまぁす」

 

 ズズっ。ふぅ~。

 

「妹ちゃん。今日試験だよね?」

 

「そっすね」

 

「大丈夫そう?」

 

「さぁ、まぁ大丈夫なんじゃないですか?最近は休みの日は戸塚がよく教えに来てくれてましたし」

 

「戸塚くん?」

 

「ええ。……あ」

 

「……ん?あれ?も、もしかして、戸塚くんの好きな人って……」

 

「……」

 

「……ふっふっふっ、そうなんだぁ」

 

 ……まぁ別にいいか。

 何か戸塚がめぐり先輩にからかわれている姿が想像できないこともないがな。

 

「あ、はいコレ」

 

 めぐり先輩から紙袋を渡される。ほっぺたを炬燵の机にくっつけたまま……

 

「……あの、めぐり先輩。もっと雰囲気というか、あの」

 

「……?雰囲気?何の話?この間借りた本を返すのに雰囲気がいるの?」

 

「え?あ、本、ですか?ああ本ですね」

 

「ありがとね。面白かったよぉ」

 

「……そ、それは良かったです」

 

 何か期待してるみたいで、超恥ずかしいんですけど。てかチョコは?チョコはないのか?今日は一体何の日なんだ!

 

 しかし、小町が相手というわけではないし、自分からねだるなんてことできない。くそっ。

 

「そっかぁ受験かぁ。つまり八幡くんはもう3年生だね。進路とか決めてるの?」

 

「え?まぁ、今のままなら私立文系ですね。どことまでは決めてませんが」

 

「……私立文系か」

 

「めぐり先輩?」

 

「八幡くん、苦手教科は?」

 

「……?理系科目です。主に数学」

 

「よしっ。今から数学の勉強しよう!」

 

「……は?」

 

「八幡くんの部屋はどこ?ほらほら、早く勉強するよ!」

 

「ちょっ、何ですかいきなり」

 

 唐突すぎる。勉強?しかも数学だと?いきなりどうしたというのだ。

 

「わたしは憧れのキャンパスライフを送りたい!」

 

「送ればいいじゃないですか」

 

「そこには君がいなきゃ意味ないでしょ!」

 

「……は?それは、どういう……」

 

 めぐり先輩がにやりと笑みを浮かべる。

 

「受けてもらうよ。そして、受かってもらいます。国公立!」

 

「……え?」

 

「わたしと同じ大学で、共に楽しいキャンパスライフを送ろう!」

 

「ちょっ」

 

「わたしの大学は一般なら全教科必要だからね。たった今から、猛勉強だよ!わたしたちの明るい未来のために!」

 

「」

 

 全、教科?それは理系科目もという意味か?数学もという意味か?え?

 

「親御さんだって、私立じゃなくて国公立受けるって言えば喜んでくれるはずだよ!」

 

 これはマズい。数学は無理だ。嫌だ。

 

 ……阻止せねば。

 

「めぐり先輩」

 

 俺はめぐり先輩の両肩をしっかりと掴む。

 

「ふえっ!な、なに?」

 

「俺は、初めてできた彼女ともっとイチャイチャしたいです」

 

「は、八幡、くん」

 

「めぐり先輩」

 

「……よしっ。よく言った!ならそのためにも、何としても同じ大学に受からなきゃね!」

 

「え?いや、ちょっ、ちがっ」

 

「じゃあ、まずは数学を克服するぞ~。おお!」

 

「」

 

 な、何てことだ。

 

 なら、ならせめて、チョコだけでも!チョコだけでもくださいよぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 はい。もう答辞を終わったことにしちゃいました。そして今度は八幡の勉強が始まりそうです。
 そして勉強の合間合間にイチャコラさせようかなと思います。

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