やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 やっと20話だー

 では、どうぞ



謝罪と告白

 翌日の昼休み

 

「せーんぱい!」

 

 いつもの通りにベストプレイスに向かう途中、一色に呼び止められた。

 

「ちょっとお時間いただけますか?」

 

 今日は戸塚は昼練があるため1人での昼食である。

 本来なら当然断るのだが。

 

「構わん。何だ?」

 

「え?あ、はい。ちょっと部室にいいですか?」

 

「部室?あいつらがいるんじゃないのか?」

 

「はい。お2人が少し話があるそうで」

 

「ん、わかった。行くか」

 

「あ、はい」

 

 一色は俺の後にトコトコとついてくる。

 

「何だか、素直ですね。今日の先輩」

 

「あ?……別に。行かなくていいなら行かんが?」

 

「ああ!ごめんなさいごめんなさいっ」

 

 一色が俺の制服の裾をちょこんと摘まむ。はい、あざとい。

 

 

 そんなこんなで部室へ到着。

 

「先輩連れてきましたー」

 

 一色が声を上げながら先に入る。

 

「え、ええ。ありがとう……」

 

「ありがとね、いろはちゃん」

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 いや、何の沈黙だよ。

 

「あー。何か話があるって聞いたんだが?」

 

 仕方がなく俺から切り出す。

 

「あ、えっと……」

 

「あ、あのね……」

 

「……」

 

「……ほらほら、お2人とも」

 

 一色が2人を促す。

 

「「昨日はごめんなさい」」

 

「……は?」

 

 いきなり謝られた。

 

「何の話?」

 

「あー、昨日この2人の態度が少し悪かったのでわたしが説教しといたんですよ」

 

「態度?」

 

「え、ええ。あの、その……、城廻先輩が機嫌悪くなった理由とか、デートじゃないとか、あれ実は嘘というか、ちょっと意地悪したくなってしまったというか」

 

「ご、ごめんね。ちょっとヒッキーにヤキモチ妬いちゃって」

 

「は?ヤキモチ?なんで?」

 

 何か最近わかんねぇことが多い気がする。

 

「……昨日一色さんに怒られたわ。この私としたことが醜い真似をしてしまった」

 

「あたしも……」

 

「……理由は?」

 

「貴方が好きだからよ」

 

「……え?」

 

「もう隠すのも、自分に嘘をつくのも面倒だわ。私は貴方が好き。だから嫉妬した。それが理由よ」

 

 いや、は?雪ノ下が、俺を好き?何言ってんだ?

 

「……あたしも、あたしもヒッキーが好き」

 

「……は?」

 

「ヒッキーが城廻先輩とデートしたって聞いたから、意地悪したくなった。ごめんなさい」

 

 何だこれ、何が起きている。ドッキリか?外に三浦とかが隠れてるのか?

 

「ドッキリでも罰ゲームでもありませんよ先輩。お2人の気持ちは本物です。なので先輩も、正直に答えてあげてください」

 

 ……まぁ、告白する勇気は昨日俺が身をもって経験したからな。無下にはできねーか。

 

「……悪い。俺はめぐり先輩のことが好きだ。だから2人とは付き合えない」

 

「……ええ。知ってるわ」

 

「……えへへ、わかってるよ」

 

 2人は悲しそうに笑う。その顔を見ると胸が苦しくなる。

 

 まさか、こんなすげぇ奴らに告白されるなんて思いもしなかった。もしも1ヵ月前に告白されていたら、俺はどうしていただろうか?いや、こんなIfには何の意味もないか。

 

「……それじゃあ、俺はもう行く」

 

「ええ。謝罪と告白、聞いてくれてありがとう」

 

「あと、ちゃんと振ってくれてありがとねヒッキー」

 

 俺は扉を開け、廊下に出る前に1つだけ聞いておく。

 

「……あー、今回の依頼が終わったら、またここに戻ってきていいんだよな?」

 

「……ふふ。当たり前じゃない。貴方はこの部の一員なのだから。無断退部は許さないわ」

 

「そうそう。ヒッキーは奉仕部部員!」

 

「ああ。サンキュ」

 

 俺はそのまま扉を閉め、ベストプレイスへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかってたけど、辛いねゆきのん」

 

「そうね。初めて告白して、初めて振られたわ」

 

「いろはちゃんはよかったの?」

 

「……?何がですか?」

 

「とぼけても無駄よ。貴女も彼に好意を寄せていることくらいわかっているもの」

 

「…………何のことですかー?ちょっとわかんないですぅ。わたしは、先輩が誰と付き合おうが関係ないですしぃ、もし、お2人のどちらかと付き合ったとしてもお構いなしに生徒会の仕事とか手伝ってもらうつもりでしたけどぉ?」

 

「……ふふ。流石、といったところね」

 

「うんうん。それでこそいろはちゃんだね」

 

「そんなことよりぃ、お2人は今泣きたくて仕方がないんじゃないんですかぁ?」

 

「なっ」

 

「そ、そんなことないもんっ」

 

「まぁまぁ、ここは2人きりにしてあげますから、存分にお泣きください」

 

 さてと、先輩はまたあそこかな?

 

 

 

 

「せーんぱい!」

 

 ベストプレイスで飯を食ってると、後ろからそんな声がかかる。

 

「あ?何だ?何か用か?」

 

「いやー、少々あの部屋には居にくいもので」

 

「あー、何かすまんな」

 

 マジごめんねいろはす。

 

「いえいえー。そんなことよりー、城廻先輩が好きと言ってあの2人の告白を断ったからには、何かしら進展はあったんですかー?」

 

 ニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべながら、一色が聞いてくる。

 

「あー、昨日告白した」

 

「」

 

「……?おーい、いろはすー?」

 

 一色がニコニコのまま固まっている。

 

「……はっ。いかんいかん。先輩がおかしな冗談を言うから、つい固まっちゃったじゃないですかぁ」

 

「冗談?何のことだ?」

 

「……え?マジで告ったんですか?」

 

「ああ」

 

「……城廻先輩に?」

 

「うん」

 

「え」

 

「え?」

 

「エエエェェェェぇぇぇぇぇぇぇ!!!!???」

 

 うわっ、うるせっ!てかこいつ、リアクションが小町に似てるな。やっぱりキャラが被ってる。

 

「マジですか!?いつですか!?」

 

「いや、部室でお前らと話した後」

 

「それでそれで!何て返事を返されたんですか!!!!???」

 

「……」

 

「……?先輩?」

 

 これは言っていいのだろうか?いや、1人で抱え込むよりもスッキリするか?

 

「あー、それが、実はな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……は?何ですかそれ?」

 

 

 

 

 




 前回の続きが気になっていた人ごめんなさいね。
 次回、あの告白の後どうなったかがわかるので、待っていてください。

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