やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 第17話です

 どうぞ



お義兄さんとお義兄ちゃんでは大違い

 火曜日の昼休み。ベストプレイス。

 

「なぁ戸塚。昨日聞きそびれたんだが、土曜日はどういう流れで小町に勉強を教えることになったんだ?」

 

「ん?ああ。普通に外にお昼ご飯を食べに行ったら小町ちゃんと会って、どうせだからって一緒に食べて、兄は特に数学を教えれないのでよかったら教えてもらえませんかって言われたから、ぼくも特に予定もなかったから八幡のお家に上がらせてもらったってわけだよ」

 

 戸塚が丁寧に説明してくれる。自然に兄は戦力外通告されてるし。

 

「つまり、俺がめぐり先輩とデートをしている間、戸塚も小町とデートしていたわけだな」

 

「約束もしてなければ、待ち合わせもしてなくて、たまたま会って、したことと言えば勉強を教えることくらいなんだから、それはデートとは言わないよ」

 

 む、それもそうか。しかし、何だか先週と違って戸塚に余裕があるように見えるのは気のせいか?

 

「~~~♪」

 

 それに昨日からやけに機嫌が良さそうに見える。今も鼻歌歌ってるし。

 

「~~~これが恋だとしたなら~♪」

 

「!?」

 

 こ、これは、やはり土曜日何か合ったとしか思えない。

 

「と、とつk」

 

 ピロン。

 

「~♪……?あ、メール」

 

 どうやら、戸塚のスマホにメールが届いたようだ。しばしメールを確認する戸塚。

 

「………えへへ」

 

「!!!??」

 

 えへへ?えへへって言った?戸塚が?あ、戸塚が可愛い。略して、とつかわいい。

 

 はっ、いやいやそんなことよりも……

 

「な、何だ戸塚、友達からか?」

 

「え?あーうんそんなとこ」

 

 戸塚の返事が生返事。八幡寂しい。

 

 メールに夢中な戸塚と会話もできず、寂しくモソモソとやきそばパンを食べていると後から聞き覚えのある声がかかる。

 

「あ、ヒッキーやっぱここにいた。あ、さいちゃんもいたんだ。寒くない?」

 

「あ、由比ヶ浜さん」

 

「んあ?ああ由比ヶ浜か。まぁ寒いちゃー寒いが、我慢できないほどではないし、教室で食うよりはマシってとこだな」

 

 現れたのは由比ヶ浜だった。また以前にもあったじゃん負けというやつだろうか?

 

「で?何か用か?」

 

「あ、そうそう。今日も城廻先輩のとこ行くんだよね?」

 

「あ?まぁその予定だが」

 

「その前に部室に来てくれないかな?」

 

「部室?」

 

「うん。ちょっと話があって」

 

「そういや、昨日も言ってたな。今じゃ駄目なのかよ」

 

「うん。ゆきのんもいろはちゃんも待ってるから」

 

「は?」

 

「じゃあ放課後、待ってるから」

 

「お、おう」

 

「……ちゃんと来ないとだめだよ?」

 

「え?」

 

「じゃあ、さいちゃんもまたね」

 

「え?あ、うん……」

 

「ちょ、おい」

 

 俺の制止も聞かず、由比ヶ浜はそのまま歩いて行ってしまう。

 

「……………戸塚、どう思う?」

 

「八幡、何かしたんじゃないの?」

 

「やっぱそう思うよな。えー、何の心当たりもねぇ」

 

「でも最後、由比ヶ浜さんの眼から光が消えてたよ?」

 

「だよな。あれでカッターとか持ってたら即ダッシュで逃げるレベルだった」

 

「……」

 

「……」

 

「……と、戸塚、一緒n」

 

「八幡頑張ってね」

 

 戸塚に見捨てられました。

 

「はぁ、とりあえずめぐり先輩に連絡しないとな」

 

「そうだねー。連絡は大事だねー」

 

「……」

 

「……」

 

 戸塚はまたスマホに戻ってしまう。

 

「……メールの返信か?」

 

「うん」

 

「めぐり先輩にちゃんと言わないと駄目だよな」

 

「うん」

 

「……少し遅れるってだけでいいと思うか?」

 

「うん」

 

「……それとも、理由も言った方がいいと思うか?」

 

「うん」

 

「……土曜日、小町に告白したのか?」

 

「うん。………………………っ!?!?!??」

 

 バッと勢いよく俺の方を振り向く戸塚。

 まさか、簡単に引っ掛かるとは……

 

「戸塚……。お前やっぱり、小町のこと好きだったんだな」

 

「な、ななななななななんのことかかかかなな?」

 

「落ち着け」

 

「だ、大丈夫だよ?も、もちついてるよ?」

 

「餅ついてどうすんだよ。いいから落ち着け」

 

 ていうか、このやりとり前にもどこかであったな。あ、小町とだ。

 

「うん。やっぱりお前たちはお似合いのようだ」

 

「い、いいいきなり何を言ってるのさ、お義兄さん!」

 

「誰がお義兄さんだ。てか、ノリノリじゃねーか」

 

 まぁ顔は真っ赤だが。

 

「うっ、まさか八幡がこんなにも誘導尋問が上手だとは……」

 

「ものすごく自爆だと思うのは俺だけじゃないはず」

 

「……小町ちゃんから聞いたの?」

 

「……?いや?」

 

「え?じゃあ何でわかったの?」

 

「適当に言ってみただけ」

 

「」

 

「本当に告白してたなんて思いもしなかったよ」

 

「」

 

「戸塚って意外と積極的なんだな」

 

「」

 

「おーい。戸塚?」

 

「」

 

 返事がない。ただの屍のようだ。

 

「まぁ安心しろよ。戸塚が小町のこと気になってたのは何となくわかってたし」

 

「……いつから?」

 

「えーと、確か、戸塚が一色みたいになったときぐらい?」

 

 戸塚が真っ赤になった顔を隠すように両手で覆ってしまった。

 

「さっきからのメールも小町からだろ?」

 

「うっ」

 

「小町は何だかんだでしっかりしてるからな、受験が終わったらちゃんと返事するとでも言われたか?」

 

「くっ」

 

「それで、小町の反応的に意外と手応えがあったもんだからずっと機嫌が良かったと」

 

「がはっ!」

 

「『これが恋だとしたなら~♪』」

 

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 戸塚が耳を塞いでうずくまってしまった。

 うんうん。青春だね。

 

 

 

「戸塚」

 

 しばらくして戸塚が回復したので、話しかける。

 

「……なに?」

 

 まだ完全に回復したわけではなさそうだ。しかし、これからする話は真剣な話のため、しっかりと聞いてもらわないといけない。

 

「できればなんだが……」

 

「……うん」

 

 

 

 

 

 

 

「………できれば、お義兄さんじゃなく、お義兄ちゃんと呼んでくれ」

 

「うるさいよっ!!」

 

 

 

 

 




 流石八幡の回でした。今回は戸塚が弄られる番でしたねw

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