今回の地の文は第三者目線にしました。
それではどうぞ。
月曜日の放課後の奉仕部
紅茶の香りが漂うこの部室で3人の美少女たちがあることについて話し合いをしていた。
「早速なのですがお2人に報告があります」
一色いろはが話を切り出す。
「報告?」
「なになに?いろはちゃん」
雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣は本と携帯から目線を上げ、一色いろはを見る。
「これは、一昨日の土曜日のことです。暇だったので駅前辺りに買い物に行ったのですが」
「ちょっと待ちなさい。確か私は週末に送辞の原稿をある程度書いて、今日持ってきなさいと言っておいたはずなのだけれど」
「あ、えっと、でもそれもちゃんとやってきましたので!」
いろはは慌てながらも鞄から原稿用紙を出し、雪乃に差し出す。
「はぁ、まったく。先にこれを出しなさい」
雪乃は栞を挟み本を閉じると、原稿を読み始める。
「あはは、まぁまぁゆきのん。それで、土曜日どうしたの?いろはちゃん」
「あぁ。そうなんですよ。昼過ぎに買い物を終えて帰ろうとしたときなんですけど、映画館のフードコートにはるさん先輩がいたんですよ」
ピクリと雪乃の動きが止まる。
「へぇ、陽乃さんもフードコートなんて行くんだね」
「それが、誰かと同じ席に着いて話してたんですよ。それでなんとなくその相手を見たら、なんと!先輩と城廻先輩だったんですよ!」
くしゃっ。
「ああ!!わたしの原稿がぁ!!」
「ゆ、ゆきのん落ち着いて!」
つい、原稿用紙を握り潰してしまった雪乃を結衣が何とか宥める。
「え、ええ。ごめんなさい。少し取り乱したわ」
「もう。原稿がくちゃってなっちゃったじゃないですか」
「ご、ごめんなさい……」
雪乃は原稿を伸ばしていく。
「それで、何とか話し声が聞こえるくらい近くに行ったんですが、話を聞く限りどうやら先輩と城廻先輩の2人で映画を観に行ったみたいです」
ピシッと部室の時間が止まる音がする。
「………そう。まぁ別にあの男が誰とどこに行こうが私には関係のないことだわ」
「………そうそう。あ、ゆきのん。あたしにも原稿読ませて」
雪乃と結衣はいろはの原稿を読み始める。しかし、2人とも原稿を持つ手が震えている。
「その後なんですけど、はるさん先輩がいなくなったんで先輩たちに話しかけたんですよ。そしたら、逃げるように手を繋いで走っていっちゃいました」
ビリィ!!
「原稿がぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」
雪乃と結衣が持っていた原稿を勢いよく破る。
「…………ふふっ、フフフ」
「…………あはははははは」
部室には2人の美少女の不気味な笑い声が響く。
「お、お2人とも落ち着いてください。あの、雪ノ下先輩、紅茶のおかわり頂けますか?紅茶を淹れたら落ち着くと思いますよ」
「何を言っているのかしら。落ち着く?そもそも慌ててなんていないわよ。常に私は冷静なのだから。でもそうね一色さんがどうしてもと言うのなら、紅茶を淹れましょうか」
「あたしも飲みたいな」
「ええ淹れましょうか」
雪乃がいつもの紅茶コーナーへ向かっていった。
「あーあ、せっかくの原稿がぁ」『……あっ、あれ?』
「ご、ごめんねいろはちゃん。つい感情的になっちゃって」『……しまった』
「……ほんと、頼みますよ。まだ何とか読めますけど」『あ、間違えた……』
「……あたしも何とかして直すね」『あ、あつっ』
「……」『よしっ。あ』
「……」『……ふぅ』
「おまたせ」
「ちょっ、これ大丈夫なんですかっ!?」
「ゆきのん!?色々聞こえてきたんだけど!?」
結衣といろはの前に湯気の上がる紅茶が出される。
「色と匂いはいつも通りなんですけど。どう思います?結衣先輩」
「ゆきのんなら大丈夫だとは思うんだけど。でも、さっきの声を聞くと……」
「失礼ね。大丈夫よ」
雪乃の言葉を信じて、2人は紅茶を口に含む。
「……」
「……」
「……」
「「ぶぅっーーーー!!」」
「!」
口に含んだ紅茶を同時に吹き出す2人。
「まっず!!ちょっ、雪ノ下先輩!これはひどい!どんだけ動揺してるんですかっ!」
「ゆきのん!さすがにコレはフォローできないよ!」
「そ、そんなはずは……」
雪乃がひと口紅茶を飲み込む。
「」
固まる雪乃。
「ゆきのん?」
「雪ノ下先輩?」
「…………ごめんなさい。少しお手洗いに」
席を立ち、走ったりせず、何事もないかのように歩いて部室を出ていく雪乃。
「だ、大丈夫ですかね雪ノ下先輩。部室出た瞬間ダッシュしてましたよ」
「ゆきのんがあそこまで動揺するなんてね」
結局、雪乃が戻ってきたのは15分後だった。
「ふぅ。お騒がせしたわね。もう大丈夫よ」
「よかったよ。何事もなくて」
「ですね」
3人は雪乃が口直しにと自販機で買ってきたお茶を飲み一息つく。
「それで、どうします?」
「どうするって?」
いろはが切りだし、結衣が聞く。
「先輩ですよ、先輩。明日にでも呼び出して何があったか聞きます?」
「あー、そうだね。ちょっとは気になるかな。明日部室に来るように、教室で言ってみるよ」
「ちょっと待ちなさい」
いろはと結衣が提案していると、雪乃がそれを止める。
「どうしたのゆきのん?」
「別に明日である必要はないわ。どうせ今も図書室かどこかにいるのでしょう?なら、今呼べばいいわ」
「あ、なるほど。城廻先輩と答辞を考えてるんでしたね」
「ならあたし電話してみるよ」
そう言い、結衣が携帯を取り出す。
「由比ヶ浜さん。図書室ならメールの方がいいわ」
「あ、そっか。さすがゆきのん!」
「これくらい一般常識よ」
雪乃は髪をファサーとする。どうやら、いつもの調子が出てきたようだ。
『ヒッキー、ちょっと話があるんだけどいいかな?』
送信。
ピロン。
「あ、きたきた」
『なんだ?』
「うわっ、短っ!これはひどくないですか?」
「あはは、ヒッキーはいつもこんな感じだよ」
そう言いながらポチポチと返信をする。
『今、どこにいるの?』
送信。
ピロン。
『家』
「……家って言ってますけど」
「そ、そんなはずはないわ。まだ5時前だもの。きっと私達に呼ばれると思って嘘をついているのよ。そうだ、由比ヶ浜さん。電話をしてみてちょうだい。図書室にいるなら出られないはずよ」
「わ、わかった」
プルルル、プルル、ガチャ
『……なんだよ』
「ゆ、ゆきのん。出たよ?」
「いえ、きっと図書室から出ただけよ。家にいるという証拠を要求すれば、小町さん、小町さんに代わるように言えば証明できるわ!」
「なるほど、妹ちゃんですね!」
「あ、ヒッキー?小町ちゃんと代われる?」
『小町?小町に用があるなら小町に電話しろよ』
「あー、もし勉強が忙しかったら迷惑かなと思って」
『ほーん、なるほどな。由比ヶ浜にしては考えてるな』
「うるさいしっ!それで、どうなの?」
『ああ。今ちょうどリビングで休憩してるから大丈夫だろ。……おい小町。電話』
「……何か代われるっぽくないですか?」
「そ、そんなはずは……」
『お電話代わりましたー。小町ですー。結衣さん、どうかしたんですか?』
「「「」」」
『あれ、結衣さん?』
「……はっ、あー、ごめんね。今小町ちゃんの受験の話になってね勉強の調子どうかなーと思ってさ。いきなり小町ちゃんに電話したら迷惑かなと思って、先にヒッキーに電話して確認しようと思ったの」
『あーそうなんですか。それはお気遣いどうもですー』
「流石結衣先輩ですね」
「ええ。咄嗟によく思い付くわ」
通話は3分ほどで終わり、電話が切れる。
「えーと、どうやらヒッキーは本当に家にいたみたいです」
「『どうせ今も図書室かどこかにいるのでしょう?なら、今呼べばいいわ』ふぁさー」
「ぷっ」
「い、一色さん?それは一体誰の真似かしら?」
いろはのモノマネに顔を赤くしながらも笑顔を作る雪乃。
「『由比ヶ浜さん。図書室ならメールの方がいいわ』ふぁさー」
「ぷぷぷっ」
「由比ヶ浜さんまで!?」
結衣も負けじと雪乃のモノマネをする。
雪乃は突然のいろはと結衣の弄りに戸惑う。
「ぐっ。と、とにかく、明日彼をここに呼ぶのよ!」
「「はーい」」
今日も奉仕部は平和である。
はい。ギャグです。前に感想の返信かどこかで言ったと思いますが、この3人はギャグ担当なんです。はるのんがポンコツということは、ゆきのんもポンコツなんです。皆さん、あくまでもこの作品はギャグだと言うことを忘れないでください笑
感想と評価をお待ちしております