今回は戸塚と小町のお話です。
どうぞ
八幡とめぐりがデートしていた頃の戸塚は……
~戸塚side~
ふぅ~、八幡は今日城廻先輩と映画行ってるんだよね。ちゃんと名前呼びできてるかな?
時刻は昼過ぎ。ぼくはお腹が減ったのでリビングに入る。
「お母さん?お昼は……」
誰もいない。
ぼくはテーブルに置いてある1枚の紙を見つけた。
『ママ友とお昼食べてくるね。夕飯前には帰ると思うけど、お昼は自分で何か作って食べてね』
ぼくは手紙を持ちながら冷蔵庫を開ける。
くしゃっ
冷蔵庫の中身を見てつい持っていた紙を握り潰してしまった。
何も入ってないじゃん。
「はぁ、買いに行くのも馬鹿らしいし、何か食べに行こうかな」
防寒対策としてマフラーと手袋をし、財布と携帯を持って家を出た。
「うぅ~、寒っ」
八幡大丈夫かな?まぁ映画館の中は暖かいし、大丈夫かな。
そんなことより、早くどこかに入ろう。もうお昼も過ぎてるし、店も空き始める頃だろう。
そんなことを考えていると、前の方から見覚えのあるアホ毛の女の子が寒そうに手をポケットに突っ込みながら歩いてくる。
「あれ?小町ちゃん?」
「……?およよ?戸塚さんじゃないですか」
まさかの八幡の妹である小町ちゃんと遭遇。
「どうしたの?こんなところで?」
「いやー、気分転換に散歩でもしながら、遅めのお昼をと思いまして。戸塚さんは?」
「ぼくもお母さんが友達と出掛けちゃって、お昼食べようと思って出てきたんだ」
どうやら、小町ちゃんもお昼を食べるつもりらしい。
「では、一緒にサイゼでもどうですか?」
「うん。もちろんいいよ」
小町ちゃんに誘われて、一瞬ドキッとしたのは内緒にしておこう。
~サイゼリア~
「戸塚さん、どうします?」
「ぼくはミラノ風ドリアで」
ぼくはメニューを見ずに答える。
すると、小町ちゃんが驚いたように目を見開いてぼくを見る。
「……今戸塚さんが一瞬、お兄ちゃんに見えました」
「ははは、まぁミラノ風ドリアが1番っていうのは八幡に教えてもらったしね」
「……やっぱり」
そういうわけでぼくはミラノ風ドリア、小町ちゃんは本日のランチを頼んだ。
「でもその感じですと、お兄ちゃんとはちゃんと仲直りできたんですか?」
ん?小町ちゃんはあのことを知ってたのか。
「ああ。小町ちゃん知ってたんだね。うん。もう大丈夫だよ」
「それは良かったです。まぁ、戸塚さんとお兄ちゃんなら、あまり心配はしてませんでしたが。……お兄ちゃんも(めぐりさんのことは)戸塚さんにだけは言ってるみたいですし」
小町ちゃんの言葉にピクリと反応してしまう。それって、八幡の夢のことだよね?あれ?小町ちゃん知ってたの?八幡、小町ちゃんの受験が終わってからって言ってたのに。
「……小町ちゃん、(八幡の夢のこと)知ってたの?」
「ええ、この前兄から(めぐりさんが好きって)聞きましたよ?」
八幡!?話と違うよ!?
「……それを聞いて何とも思わなかったの?」
「……?まぁ、驚きはしましたね」
「……(ぼくと結婚とか)嫌じゃなかったの?」
「……??何で嫌なんですか?むしろ小町も(お兄ちゃんたちの関係は)積極的に協力しようと思ってますよ?」
「えぇ!?積極的にっ!?」
「そ、そりゃそうですよ。兄があそこまで積極的なのは初めてですもん。小町としても(お義姉ちゃんができるのは)ずっと願ってたことなので、大歓迎ですよ」
「大歓迎!?ていうか、ずっと願ってたの!?」
まさか八幡の言う通り、本当に小町ちゃんはぼくのことを……?
「……じゃあ小町ちゃんは八幡(の夢)に賛成なの?」
「はい。(お兄ちゃんとめぐりさんが付き合うのは)大賛成ですよ?」
「」
これは、やっぱりそういうことなのか?確かに小町ちゃんは可愛いし、嫌いじゃないけど……。いや、ここは正直に聞いてみよう。
「……小町ちゃんは(ぼくのこと)、どう思ってるの?」
「へ?(お兄ちゃんとめぐりさんが)付き合えたらとても嬉しいし、素敵なことだと思ってますよ?」
「」
これは確定だよね?ていうか、半分告白みたいなものだよね?あれ?今ぼく告白されてる?小町ちゃんに?いや、ぼくも男だ。女の子の小町ちゃんにここまで言わせて何も言わないなんて、そんなことはできない。ぼくの正直な気持ちを小町ちゃんにちゃんと伝えよう。
「あのね、小町ちゃん」
「はい?」
「じ、実はぼくも、小町ちゃんのことは気になってて、まだ好きかどうかはわからないんだけど、でもやっぱり他の女の子とは違う感情を持ってて。こんなぼくでよかったら、ぜひ、あの、付き合って、みる?」
「…………え?」
「……え?」
「……」
「……」
「「え?」」
アンジャッシュ風にしてみました。
この話はもう1、2話続きそうです。
八幡たちのデートの続きはもうちょっと待っててください。
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