やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 やっと10話です

 どうぞ



名前呼びは印象が変わる

 午前9時40分。よし、まだめぐり先輩は来てないようだ。

 ふと店のウィンドウに映る自分の姿を見る。

 

 おいおい、どこのリア充だよ。小町本気出しすぎ。ていうか俺、こんな服持ってたんだな。

 

 そんなこんなで待つこと10分。

 突然視界が真っ暗になる。

 

「ふふっ。だーれだ」

 

 か、可愛いいいいぃぃぃ。

 それにめぐり先輩の手が俺の目を覆っている。何かスベスベしてて、柔らかい。それにすぐ近くにいるからか何か良い匂いがする。

 

「し、城廻先輩?」

 

「せーかいですっ」

 

 手をどけてもらい振り向くとそこには、天使?女神?いやめぐり先輩が立っていた。

 

「比企谷くん、早かったね」

 

 何か全体的にモコモコしてる。上は何て言ったらいいのか、何か薄いピンクでモコモコしてる。そして、ふわふわした白のスカート。寒くないのかなと思ったが、足も黒のモコモコしたロングブーツを履いているため温かそうだ。首には白のマフラーがしてあり、全体的にモコモコふわふわである。

 全然説明できてねーな。まぁ俺にだけわかればいいか。一言で言うなら滅茶苦茶可愛い。それでいいだろ。

 

「そんなことないっすよ。今来たところです」

 

「……」

 

 あれ?めぐり先輩が固まっている。

 

「どうしました?」

 

「あ、いや、何か今のデートの定番だったなぁって」

 

 てへっと照れるめぐり先輩可愛い過ぎる。

 

「それじゃぁ行こっか」

 

「はい」

 

 俺たちは映画館へ向けて歩き出した。

 

「……その服、似合ってますね」

 

「あ、ホント?よかったぁ。比企谷くんも今日は決まってるね」

 

「そうですかね?まぁせっかく城廻先輩と出掛けられるので、妹に頼んで選んでもらいました。俺はこういうの全然ダメなんで」

 

「そういえば妹ちゃんいるんだっけ。今年受験生って言ってなかった?」

 

「そうですね。もう追い込みかけてますよ」

 

「そっかぁ、総武高だっけ?受かるといいね」

 

「はい。まぁ頑張ってますよ」

 

 道すがらそんな話をしながら、映画館へ入っていった。

 

 

 

 ☆小町のデートの心得その1

『相手が年上だとお昼ご飯とかは奢らせてくれないだろうから、映画館に入ったらポップコーンやドリンクをさりげなく奢ること!』

 

「城廻先輩。ポップコーンとかいります?何か並んでそうなんで俺行ってきますよ」

 

「あ、本当?ならキャラメル味と烏龍茶お願いできるかな?」

 

「了解です。先に入っててください」

 

「はーい」

 

 よし、このまま買って席に着こう。めぐり先輩はお代を払おうとするだろうが受け取らなければこっちのものだ。

 

 

「あっ比企谷くん。こっちこっち」

 

「はい。キャラメル味と烏龍茶でしたね」

 

 めぐり先輩にポップコーンと烏龍茶を渡す。

 

「ありがとぉ。いくらだった?」

 

「いいですよこれくらい」

 

「だめだよぉ、後輩に奢ってもらうなんて」

 

「それをいうなら、俺も一応男ですので」

 

「で、でもぉ」

 

「それに親父から多めにもらってるんで、これくらいは良い格好させてください」

 

「それなら、お昼はわたしが奢るからっ」

 

「いや、ポップコーンと昼飯じゃあ全然対等じゃないでしょ」

 

「対等じゃなくていいのっ。わたしが先輩なんだからっ」

 

 やけに先輩を強調するな。それなら……

 

「めぐり先輩」

 

「へ?い、今めぐりって……」

 

「めぐり先輩」

 

「は、はいっ」

 

「わかってください。めぐり先輩の前で格好つけたいんです」

 

「う、うぅ~。わかったよぉ」

 

 よし、勝った。

 

 しかし、奢られることに納得いかないのかめぐり先輩は映画が始まるまで俯きながら何かぶつぶつ言っていた。

 

 

 映画はめぐり先輩が言う通り学園ものであり、戸塚の言う通り恋愛ものだった。

 

 中盤に1度うるっとさせ、ラストに号泣させる。なるほど、確かに感動すると云われているだけのことはある。

 

 めぐり先輩は本当に作り手の思い通りに泣かされていた。映画が終わった頃には超号泣である。俺?2時間の内1時間半くらいめぐり先輩見てたけど何か?

 

「良い映画だったねぇ。感動したよぉ」

 

「そうですね。めぐり先輩号泣でしたね」

 

「う、泣き顔見られちゃったかな?」

 

「はい。見ました」

 

「そこは嘘でも見てないって言ってよぉ」

 

 めぐり先輩は赤くなりながら、両手で顔を覆う。可愛い。

 

「めぐり先輩、お昼どうします?」

 

「……」

 

「めぐり先輩?」

 

「……あの、もう普通にめぐりって呼んでるね」

 

 そういえばそうだった。

 

「あ、すみません。嫌でしたよね。もうやめますね」

 

「あ、ううんっ、全然嫌じゃないよっ。ただ男の子に名前で呼ばれるの小学校以来だったから、ちょっと新鮮だなぁって思っただけ」

 

 どうやら名前呼びのミッションもクリアのようだ。

 

「あ、お昼だったね。どうしよっか。わたしは映画館の中にあるフードコートでもいいんだけど」

 

「俺もそれでいいですよ」

 

「よしっ。それなら今度はわたしが奢るからねっ」

 

「いえ、ですからそれは流石に駄目ですって」

 

「ダメじゃないもんっ」

 

 もんって可愛いいなぁもう。

 

「……あの、なら俺のお願い聞いてもらえませんか?」

 

「え?お願い?」

 

「はい。……俺のことも名前で呼んでくれませんか?」

 

「え?……それは、は、八幡くんって?」

 

「!はい。そう呼んでもらえたら、すごく嬉しいです」

 

「そ、そっか……。うん。わかった」

 

「ま、マジですか!?」

 

「え?う、うん。マジ」

 

 めぐり先輩は可愛く頷いた。え?マジ?めぐり先輩が男子のこと名前で呼んでるとこ見たことないんですけど。まさか俺だけ?何それ超嬉しい。

 

「じ、じゃあ、お昼行こっか。は、八幡くん」

 

「……はい。めぐり先輩」

 

 は、恥ずかしいぃ。

 

 

 

 




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