現在2つの戦線を抱えた帝国は次なる一手を打とうと模索していた頃、アンチョビはカタルーニャ合同王国(スペイン)と相互不可侵及び貿易協定を締結した。
合衆国からの船舶からダキア向けの中間拠点として中立宣言をしているカタルーニャ合同王国との歩み寄りは自然な流れである。
合同王国と手を組んだことで、ダキアは旧大陸と南方大陸の間にある海域の安全を獲得するにいたる。
アンチョビが合同王国と手を組んだことによりダキア膨張が決定的になり、南方司令部ではダキア制圧作戦を立案するが、親ダキア派の参謀本部将校による介入で頓挫する。
そんな中で、共和国の大攻勢を防ぎきった皇太子殿下率いる第5軍は一旦後方にて再編を受けることとなり、替わって中央より歩兵中心の第7軍と第8軍が到着、そのまま攻勢を開始する。
(・・・なぜ敵は機械化していないのだ?・・・あれほどの戦車を再び投入されれば、我々共和国軍は第二防衛ラインまで下がらなければならなかったが・・・。)
「ヘタン大将(前大将戦死のため昇進)、塹壕より迎撃を開始します。」
「よろしい。ダキアより輸入した新型のPMライトマシンガン(Perino Model 1908軽機関銃の改良型)の威力を確かめるぞ。」
「は!!」
ヘタン大将は70近い高齢者であったが、防衛戦での指揮能力と継続戦闘能力は共和国内部で突出していた。
分厚い弾幕と、魔導師のエース部隊の活躍により難なく撤退に追い込むにいたった。
攻勢の失敗により帝国参謀本部は戦略の見直しにとりかかり、南部方面軍の削減を決定し、北部方面軍を増強し、協商連合の瓦解を目的とするオース・フィヨルド上陸作戦の基礎が出来上がる。
そんな中、ターニャ・デグレチャフ技術検証要員がエレニウム95式の運用実験に成功する。
『同志アンチョビ、我々に技術提供とは太っ腹だな。』
「いやいや、このままでは帝国が旧大陸を呑み込むからな。合同工場を国境沿いにつくり、そこでとある戦車を開発したくてね。私の国だけだととてもじゃないが生産ラインが違いすぎてね。」
『ふん。混合経済等をやっているからそうなるのだ。』
「いやぁ、大きな政府の資本主義型経済は今の状態なら必要だ。私の後ろにいるスポンサー方もいるからな。」
『ふん。・・・で、同志アンチョビ、我々連邦に望む戦車はどんなものだ?』
「一言で言えば・・・そうだな・・・怪物。」
アンチョビはKV-1を連邦が大戦参加までにある程度揃えるつもりでいた。
KV-1も良作ではあるが、量産はダキアではできないので、今度は合衆国でBT-SVを大量生産できるように工場を建てることになる。