戦争は儲かる・・・それは自国が圧倒的に優位であるか、周辺国で大規模な戦争がある事ならばなおよろしい。
ダキア経済発展には周辺諸国の不安定な情勢も利用してきている。
連合王国領土、テヘランがメフメット帝国崩壊直後に分離独立した時はメフメット帝国の中心的だったオスマン(アナトリア半島)双方の仲介役として両国に武器をばら蒔いた。
普通なら恨まれる行為だが、自国軍が弱体化していた双方には感謝され、連合王国の圧力がテヘランに行った時には非公式に避難し、内紛で更にダキアは儲けた。
・・・確かにダキアは儲かっているがそれはダキアに存在する多国籍企業だけではないか?
という疑問は最もである。
実際大企業はアンチョビの個人的に持つ企業除けば中規模が精々だが、最新の軍事技術を民間に転用をしていたお陰で昔の時計工育成も合わせたからこそ自国産戦車が造ることができたわけで・・・。
まぁ集中管理させれば十分な力はある。
順調に戦争に備えるダキアに対し、アレーヌ周辺の帝国軍と共和国軍は消費だけを繰り返していた。
2日目
渡河に成功した共和国軍は部隊を再編もせず、攻撃を継続する。
一方戦術的な撤退に成功していた帝国第五軍は簡易塹壕と有刺鉄線を組み合わせ、そこそこの防衛陣地を構築した。
また、川から陣地まで緩やかな上り坂となっており、地の利は帝国軍に味方した。
時間を置かず攻勢したため、共和国軍は砲撃支援が間に合わず、3時間に両軍4万人の死体で川周辺の坂が埋め尽くされ、美しく咲いていた草花は無くなり、体の一部が破損した肉袋だけが夕方には転がっていた。
「は、ハハハ、アハハハハ・・・見ろ人がゴミのようだ!」
「殿下、あまり人を蔑むのはよろしくないかと。」
「ふふ、少々興奮していたようだ。ありがとうエリカ。だが、私も血だな。先祖のフリード大王陛下の血が・・・な。」
「そ、そうですか。」
「ドルフ、僅かな時間余の話を聴いてくれないか?」
「へへへ、悪人みてーな面だな。いいぜ、殿下。」
「殿下がいれば帝国は安泰だな。いいぜ、その作戦やってやるよ。聴音機を出せ。陛下が別次元の作戦を考え付いたぜ。明日から反抗作戦に出るぞ。」
それは皇太子殿下が考え付いたのは音の世界である。
共和国軍の死体を見ていて彼は集団の歩兵が機関銃のど真ん中に突っ込み、体を破損していく光景を見ていて、いかに敵の死体を量産しつつ、防衛を成功させるかを考え続けた。
共和国はなぜあれほどの損害が出ているのに攻勢をやめないかは、その先に勝利の希望が有るからであり、帝国は受け身という構図が有るから攻勢をやめないと考え、受け身は共和国であると考えさせる必要があった。
その為には効率的に打撃を与える必要があり、戦車をいかに活用するかが肝であるとも考えた。
そしてそのピースが音で相手が多くいる地域を探し、戦車を大量に突っ込ませる作戦であった。
共和国軍は戦車の対抗策が大砲しかない・・・戦車が共和国軍と乱戦になれば誤射を恐れ撃てない、撃っても必ず士気を落とすと考えた。
それは別の世界線でカンブレーと呼ばれた地域で起きた戦いに酷似していた。
無いのはガスだけである・・・。