「挑発しつつ時間を稼ぐ・・・平時に日産4両の戦車もヘッツァーと日産2両のシャーマン・・・国力が無いと辛いな。・・・幸いヘッツァーは数があるが、帝国が本気を出してこちらに来たら踏み潰されるだろうな。」
必死に国力を上げてきたが弱小国のダキアではこれが限界だった。
平時で月1000両造る帝国と月産でも180両が限界のダキアでは普通なら勝てない。
ましてや消耗戦となれば人的、物的においてすぐさま枯渇するのが目に見えていた。
「まぁ普通に戦うならな。」
帝国並みに戦争経験が豊富な熟練兵と下士官は連邦戦で増加し、どこよりも早く戦略空軍構想ができているダキアは、合衆国という外付けの国力増加装置により潜在能力は未知数である。
「ボーイングが売り込んできた国内で生産できる爆撃機のY1B-9・・・投資したかいがあったな。」
近未来的なフォルムをした爆撃機は出力不足で高度も速度も遅いが、私からしたら20年バージョンアップを繰り返せば使い続けられる様に感じた。
そんな爆撃機だ。
「戦闘機は合衆国から供給されるP-1より自国産の1号戦闘機を量産たいところだが・・・。」
試作時の事故率7割のダキア製航空機はパイロットにとって死神であり、脱出装置と魔導師の補助が合ったため死傷者は少なかったが、終戦間際に完成したホーカー フューリーの劣化コピーは試行錯誤とダキアと一般の海外企業の全てを注ぎ込んで作られた傑作機で、525馬力は当時から諸外国と一線を画す出来映えであった。
が、技術が他国にも漏れたため航空機の技術競争が始まってしまい、アンチョビ的にこちらは物足りなかった。
「皇国からの客が来ているとはいえ、国政を疎かにするわけにもいかんからな。・・・さて、帝国
どれぐらい消耗するか・・・楽しみだ。」
帝国のとある将校は頭を抱えていた。
彼は鉄道を愛する者だが兵站を任せられいたがために悩んでいたのだ。
「まだ2週間でこれ程の物資を消費するか。」
物資のなかには食料に関するものもあり、この2週間で蓄えていた備蓄分の食料が消し飛んだ。
インドア王国で起こった噴火の影響で収穫量が下がったのが原因である。
(しかし、ダキアは豊作だったではないか。・・・農業省・・・いや、文官はやはり信用できんな。)
今年度のダキアからの穀物依存率は10%とやや高い位であったが、戦争により輸入に制限がかけられたため今後ダキアの輸入は増えていくだろう。
「ダキアの中立は我国を勝利に導くだろう。」
「ダキアの中立は我が連合王国に利益を与えるだろう。」
副首相のチャーブルは首相であるロイドに向かってそう雄弁を振るった。
どちらも対帝国で一致しており、アンチョビの中立もチャーブル経由でいち早く知らされていた。
「彼女は最終的な戦略目標として帝国の餓死を選択した。その為には協商連合は見殺しにし、共和国には防波堤として機能してもらわなければならないのです。」
「明確に宣戦を布告するのは議会の意見を統一志手からで良かろう。共和国にはダキアと我々が武器を売って耐えてもらうことにし、止めは連邦でよかろう。」
「ロイド首相、それは共産圏が広がるが・・・。」
「なに、共倒れを狙えば良い。合衆国の経済界も戦争に最終的には参加する旨を伝えられている。」
「ではまずは海軍と軍需の拡張を。」
「そのようにキッチャーに伝えてくれ。」