革命は計画的に行われた。
近衛という切り札の壊滅と指揮をしていた第一王子が戦死という情報は貴族社会に凄まじい衝撃を与えた。
まぁ私の家族は革命開始初期に合衆国に亡命させたがな。
何だかんだで肉親は大切に思うのだな。
だが、両親にはもうダキアの土を踏ませることはしないと決めていた。
「国外に逃がすな。富はダキア国民の血と汗でできているのだからな!!」
到着した臨時政府ですぐさま首相の地位を渡された私は総統と名乗ることにした。
半日でダキアの国境は臨時政府に忠誠を誓った軍と親衛隊で固めた。
そして公都に合衆国で製造したトラクターを改造した自走砲と色々技術的に問題があるため短距離をノロノロ走る戦車擬き(ルノーとかⅠ号戦車擬き)を親衛隊が率いて堂々と侵入した。
「これでもくらいやがれ!!」
貴族の男子だろう。
私に向かって旧式の機関銃で攻撃してきた者もいたが
ガキン
私は魔導師だ。
トップクラスのな。
銃が効かないことに恐れ、腰が抜けてしまった男子を散々搾取されていた町民達はここぞとばかりに殴りかかった。
ザッザッザッ
鉄と灰色の兵士達の行進は城に着くまで続いた。
「全体停止。ここから先は私の時間だ。」
「やぁやぁ公国の重鎮の方々が勢揃い。ここまで歓迎してくれるとはね。」
「黙れ反逆者風情が。貴族としての誇りもないのかね!!」
玉座の前には追い詰められた大物貴族達が勢揃いであり、今だ公王は豪華な椅子に堂々と座っていた。
「ダキアの国政は止まるぞ。この反乱でダキアは他国と10年の差がついた。アンチョビよ。これをどうするつもりなのだね?」
「なにが10年だ。もうそんな責任を擦り付ける事で揉める時間は無い。近隣列強の同行は日々悪化している。戦争も20年以内に起きるだろう。だから私が動いた。民無くして何が国家だ。」
「まぁ私も悪魔ではありません。国内にある全資産を臨時政府に譲ることで他国に亡命させましょう。ライン川周辺地域になら家もつきますがね。」
結果、公王一家は連合王国に亡命し、半分以上の貴族が共和国と帝国に亡命、一部反対した者は一家まるごとギロチンにかけた。
「「「・・・。」」」
貴族の一掃を果たしたアンチョビはダキア議会を成立させ、7政党が各々主義を主張するようになる・・・が、ダキア政府としてできた閣僚は表向き主義主張を無くした統一内閣だったが、アンチョビと何かしら関わりがある人物達だった。
その人物達が黙っている理由は3つある。
1つは誰もアンチョビが諸外国から貰った支援が膨大であり、武器やある程度の機械類は当分困らない事。
2つ目は魔導部隊、機械化部隊や初めて実戦に投入した戦車の将来性。
3つ目は貴族が溜め込んでいた資金が予想よりも膨大だったことである。
「これでダキアは飛躍できるぞ!!」