私はジョンから得た資金を全て使って、この時代でも使えるセルモーターを開発し、これを基礎として特許を取得する。
ホ〇ダのカブA型を目標に定め、スコット式2ストロークガソリンエンジンにセルモーターを発展させるのに1年、生産工場にダイキャスト製法、ライン製造法といった当時の最新製造法(今後メジャーとなる製造法)を導入し、大規模な工場を作るのにこれまた1年かかった。
「さぁ、攻撃の開始だ。」
攻撃目標こと、ライバルはモペッド(自転車にエンジンをくっ付けた物で、カブことカーブAと命名されたアンチョビの力作の4世代くらい前の性能しか出せない原チャリ)と来年発売されるであろうフォードT型と定め、1年間でどれだけシェアを奪えるかがアンチョビの将来を左右する。
アンチョビは話術だけでなく、大衆心理も心得ていたので、これを販売に利用した。
ダキアで成功した靴の売り込み方法をカーブAも同様の販売方法をとり、グループ社だけで販売するモペットに取り扱っている店舗数で圧倒させると、デリバリーサービスにカーブAを使う様にし、様々な人に見てもらうことにした。
デリバリーサービスは私がエンジンを試行錯誤している時期に、自転車を用いて開始し、1年半が経過した今はミレムだけでなく合衆国の北部3州に浸透していた。
それはアンチョビバーガーが有る地域を示す。
まさに宣伝だ。
ミレムで作られたシューズに制服を着た若い男性がかっこよくカーブAに乗って自宅まで食べ物を運んでくれる。
カーブAはアンチョビの会社が製造した安全自転車が有れば格安でエンジンを付けたカーブAに替わるので中産階級から労働階級に浸透していく。
売り込みの方法はまだある。
郵便局に使用してはどうかと町長に助言し、ジョンに【現代型の】ガソリンスタンドシステムを提唱し、完全にバックに付かせることに成功した。
つまり、今までは亡命貴族の嬢ちゃんが地域密着の商売で稼いでいるという認知だったのが、末席ながらサービス女王の地位に就いたと言われるようになる。
王・・・私はこれをアメリカ政府に介入できる力を持つ存在と知っているからこの力を政府・・・ではなくもっと効果的な場所に使うとしよう。
流石正義と自由の国。
まぁその自由と正義感を最大限利用する私は悪役かもな。
「我々に何か様ですかな?」
警戒心バリバリの3人の記者。
大手新聞社の重役達だ。
こいつらを味方に付けないとジョンみたいに泥棒男爵呼ばわりされるからな。
ジョンがバックに居るから余計に警戒されてるし、スキャンダルを探しにチラチラ工場に来るからな。
「私と飛躍しないか?私は君達の仕事である新聞は人に希望を与えると信じている。まぁこれだけなら詐欺だが、私は君達に提案するよ。」
「何をですかな?」
「広告を頼みたい。商品ではなく求人広告だ。」
「求人広告?」
「どの様な物ですかな?」
「人の人生を広げるシステムだよ。求人広告に店の場所とそこで何ドルで雇い、仕事の内容を簡単に書く。現場に来てそこから面接して雇うか決める。そんなシステムだよ。」
部数が稼げそうだと言う目をしてる・・・釣れたな。
「求人広告費として会社からお金を貰い、値段によって配布する広さ、枚数は事前に提示する。これだけでも新聞社儲かり、部数だけでなく会社も儲かる。」
「素晴らしいな。・・・それだけではないのだろう?」
「広範囲に新聞をなるべく早く配って欲しい。我が社のカーブAを1台当たりを安くするから買って欲しい。どうだ?良い取引だとは思わないか?この会話を新聞にして結構だ。別の新聞社にも同じ条件をしたいからな。・・・だが、それだけ伝わるのは遅れるからイメージは有利に働くだろうなー。」
「・・・流石としか言えんな。我々新聞社は貴女の提案に協力する。」
「「我が社もだ!!」」
「では今後ともよろしく。」
「」