学戦都市アスタリスク〜過負荷と魑魅魍魎の主を併せ持つ転生者〜   作:all

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7話

今日は鳳凰星武祭一回戦。綾斗たちは難なく一回戦を勝ち進んで次は俺と沙夜のペアだ。

 

『第一回戦、開始!』

 

電子音が試合開始を告げる。その合図と同時に敵の界龍の二人、片方は青竜刀、もう片方は素手で俺に向かって突っ込んでくる。

 

『おっと、これは界龍ペア奴良選手を先に潰す作戦ですかね?』

 

『そうっすね。まあ彼は言わば規格外っすから。先に潰すってのは間違ってはないっすね。ただ、二人でも彼に勝てるのは不可能に近いっすね。にしても彼、印象変わりましたねー。あんな長かった髪もバッサリ切って』

 

おーおー、いってくれるな。人を人外みてーに言って。

界龍ペアは中々の連携で俺に攻撃を仕掛ける。それを軽々いなしなす。ちなみに髪に関しては綺凛がやってくれた。はっきり言ってあの髪邪魔なんだよ。

 

「んー、動きに無駄が多い。熱くなりすぎ。しっか。回りを把握しろ」

 

「くそっ!」

 

「当たらん!」

 

当然。お前ら程度に攻撃当てられてたまるか。

さて、今日は気分的に素手できている。…決めるなら打撃?鬼道?うーん…鬼道だな。

俺は二人の攻撃をバックステップで後ろに下がって避け、距離を取った。

 

「君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 焦熱と争乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ

破道の三十一、赤火砲」

 

俺が詠唱を唱え、右手をちょうどよく固まってくれている界龍ペアに向ける。その手から現れた巨大な火の塊に界龍ペアはなすすべもなく飲み込まれた。

 

『校章破損、勝者奴良・沙々宮ペア』

 

俺達の勝利を知らせる機械音が鳴る。俺は今回出番がなかった沙夜の方を見ると彼女は俺にたいしてジト目を向けていた。

 

「なんだよ?」

 

「私に出番がなかった。これは武器の宣伝も兼ねているから、私にも譲ってほしい」

 

「あー、そういやそうだったな。わりぃ、次は気をつける」

 

「ならいい。…鯉桜先輩、ちょっと口調変わった?」

 

あー、その事ね。

 

「まあそうだな。前の口調はあの髪に引っ張られてたっつーか…。そんな感じだ。まあこっちが本来の喋り方だ」

 

ここで過ごしていくうちにあの口調疲れてきたんだよな。慣れてはいたけどこっちの方が性に合う。性格は鯉伴に似てきたけど。

 

「?…そう」

 

沙夜はよくわかってないみたいだけどまあ良いだろ。

つーかこれ他のやつらにも言われたな。綺凛とか綾斗とかクローディアとか。後は電話でだけどオーフェリアとシルヴィだな。…後ろで実況が人間やめてるとか言っている気がするがもう気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、一回戦が終わって俺は綺凛と二人で他の試合を部屋で観戦している。沙夜はさっさとシャワーを浴びて綾斗達のところに行った。

 

「鯉桜先輩、あ、あの…少し遅くなりましたが一回戦突破おめでとうございます」

 

「ん、ありがとよ綺凛」

 

すると綺凛が少し申し訳なさそうな顔をした。

 

「ごめんなさいです…。星武祭で忙しいのに私のトレーニングにも付き合ってもらって…」

 

「気にすんなよ。迷惑なんて思ってないぜ」

 

といって俺は綺凛の頭を撫でた。綺凛はみるみる顔が赤く染まってきた。

 

「ふぇっ!?り、鯉桜先輩!?」

 

「嫌だったか?」

 

「い、いえ!そんなことないです!…むしろそのままの方がいいなぁ、なんて…」

 

「ははっ、わかったよ」

 

俺は綺凛の頭を撫で続けた。綺凛は気持ち良さそうな顔をしている。

ああ、これでまた次も頑張れそうな気がする。

 


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