この姫君に純愛を!   作:メンダコとスミス

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いやー。
花粉がすごいですねほんとに。
おかげで外に出るのもおっくうになって完全に休日ニート化してますよ。
部屋から出ませんもん。

p、s
第一話のセリフとかを結構いじったんで暇だったら見返してみてください。


俺と姫の変化

 「……お待ちしておりましたお兄様」

 

 「結構待ったか?」

 

 「いえ、私もさっき来たばかりですから……」

 

 めぐみん達はとっくに寝静まって、もうすぐ真夜中という時間……。 

 

空は雲一つなく、星々が光り輝き、満月が湖の水面に映っている。

 

 「……本当に綺麗だな……」

 

 「えっ!?」

 

 そう言うと、なぜか急にアイリスが顔を赤らめて……。

 

 「どうしたんだ? こんなにいい景色なのに……」

 

 「えっ? そっ、そうですよね……。本当にいい景色ですね……」

 

 また驚いたかと思えば、今度は恥ずかしそうにうつむいた。

 

 そして、少し間を開けてから……。

 

 「……あっ、あの……お兄様……そっ、その……」

 

 焦ってるせいか、口ごもって言葉がうまく出せていないみたいだ。

 

 「……落ち着いてからでいいよ……何か大切なこと言おうとしてるのは分かるから」

 

 それを聞いたアイリスはちょっと安心したようで……。

 

 「……ありがとうございます。それでは少しだけ……」

 

 

 

 

 それからいくらか時間が過ぎた後。

 

 アイリスは何か決心をした表情になり……。

 

 「お兄様……私は……お兄様の事を心からお慕いしております……」

 

 ……………えっ?

 

 ……ま、まさかな。

 

 「まっ、まあ、お兄ちゃんとして好かれてるのは嬉しいぞ」

 

 「兄としてではなく……その……と、殿方として……です」

 

 

 

 

 ……一瞬、頭の中が真っ白になった。

 

 俺がショックのあまり放心してフリーズしていると。

 

 「ええと……恥ずかしいので何か言ってほしいのですけど……」

 

 そこでようやく意識が戻ると。

 

 いやいや、大事なことってせいぜい[私の付き人として一緒に来てくれませんか?]とかだと思ってたんだけど……。

 

 ……というかアイリスって俺のこと異性として見てたのか!?

 

 確かに今までそれとなくそれっぽいオーラは出してたけれども。

 

 でもそれは兄弟愛的な感じであって……そうじゃなかったってことだよな。

 

 ……どうしよう。

 

 めぐみんはいつも半々な感じで言ってくるからうやむやになるし、ダクネスははっきりとは言わないからそれとなく流れるけど……。

 

 ……これはどう見ても……告白……だよな。

 

 ……ということは返事を返さないといけない……のか?

 

 でもアイリスは俺の妹だし……本当にそうなのか?

 

 妹として見れているのか?

 

 最近のアイリスの一言一言にドキドキしてしまうのはなんでだ?

 

 妹相手にそんな反応は……ふつうしないな。

 

 

 

 つまり……俺もアイリスを……いっ、異性として見てるってこと……だよな。

 

 「アイリス……おっ、俺は……」

 

 クソッ、なんて言えばいいのか思いつかない。

 

 アイリスを女性として見ていたことは分かった。

 

 だけど今度は好きかどうかってことなんだが……。

 

 自分の中でアイリスの立ち位置が急に変わったせいで……正直……よくわからない……。

 

 ちなみにいろいろ考えてる間、ずっと俺の心臓は鳴りっぱなしだ。

 

 そんな風に俺が一人で悶々と悩んでいると……。

 

 「私に気を使わなくていいですよ……。お兄様が私の事を妹としか見ていないのは分かってましたから……」

 

 そう言って空元気な笑顔をしたアイリスは、どこか悲しみを必死に隠そうとしているように見えた。

 

 

 

 ……違うんだよ。

 

 「……そうでもないぞ」

 

 そんなことをつぶやきながら俺はアイリスを抱きしめた……。

 

 「きゃっ……おっ、お兄様!? 一体何を!?」

 

 アイリスは突然のことで一瞬驚き、その後にどうすればいいのかわからないというような困った顔を浮かべた。

 

 「今俺が思っていることを全部言うから聞いてくれ」

 

 アイリスはコクッとうなずく。

 

 悩んでも仕方ない……。

 

 未だに結論なんて出せていない。

 

 ……なら、せめて正直に言おう。

 

 「まず一つ目だけど、俺はお前の事を女として見てるみたいだ」

 

 「ええっ!? それは、私は妹としてではなく、一人の女性として……いえ、異性として見てくださる……ということですか?」

 

 「そうだよ、アイリスは可愛い妹で素敵な女性だ」

 

 「妹で……女性……」

 

 「だけどアイリスが好きなのかはわからないんだ」

 

 「わからない……ですか?」

 

 とても不安そうに……というより純粋に不思議そうに聞いてくる。

 

 「ぶっちゃけるとアイリスを異性として見てるってさっき自覚した」

 

 「ず、ずいぶんはっきりと言いますね」

 

 「だからさ、すごく都合のいいことを言うけど……俺の考えがまとまるまで待っててくれないか?」

 

我ながらなんて最低なことを言ってるんだ。

 

 「……………」

 

アイリスは押し黙ってしまった。

 

 「……やっぱりダメだよな。こんな身勝手な「いいですよ」」

 

 「へっ? いい……のか?」

 

 「お兄様が我儘なのはよく知っていますから。なので……私も一つ我儘を言ってもいいですか?」

 

 「……わかった。アイリスの気が済むのならそれでいいぞ」

 

 「それでは……」 

 

 

 

 

 

 

 

 ☯☯☯

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……まずい、非常にまずい。

 

 とりあえず聞いてくれ!

 

 俺は今理性との壮絶な戦いをしている。

 

 なぜこうなったかと言うと……。

 

 

 

 

 

 

 「……添い寝してください……」

 

 アイリスは振り絞るように願いを言った。

 

 ……………!!??

 

 いや、確かにいつぞやの一夜の夢ではそんなことをしたこともあったけれども……。

 

 あの時は妹だったけど、異性として見ている今は天と地ほど違うものに思える。

 

 そもそもあの時は夢だと思ってたからあんなに大胆になっていただけであって……つーか夢だとしても何やってんだよ俺……。

 

 「……分かってるのか? 俺はアイリスを女として見てるんだぞ。男は皆野獣であってだな……」

 

 こういえば少しは怖気づいてくれるといいんだが……。

 

 「……別に……いいんですよ?」

 

 まるで誘ってくるかのよう、アイリスはクスッと笑いながら小悪魔な笑みを浮かべている。

 

 一体どこで覚えてこんなことを覚えてくるんだ?

 

 サキュバスのお姉さん達にレクチャーでもしてもらったんじゃないのか?

 

 「おっ、おれは紳士だからな!」

 

 「ふふっ、わかってますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 ……というやり取りがあり現在に至る。

 

 前は気づかなかったけどこれはヤバい。

 

 この距離だと髪の毛からの甘い匂いがダイレクトにくる……。

 

 それに密着してるわけだからその……いろいろと……ね。

 

 さらにはさっきのアイリスの発言も相まって……。

 

 

 

 ……静まれ俺!

 

 さすがにこれは犯罪だから!

 

 ここで止まらないとR-18まっしぐらだから!

 

 「お兄様、もう少し落ち着いてください」

 

 「いや、なんでお前はこの状況でそんなに落ち着いていられるんだ?」

 

 「ふふっ……私だって……本当は……とても緊張……してるんですよ」

 

 今度は照れながらそんなことを言ってくる。

 

 ……ほんと女ってズルいな。

 

 ころころ変わる表情にいちいち翻弄されるこっちの身にもなってほしい。

 

 「それに……前は何か勘違いされていたようでしたけど、今日は気まぐれ……ではありませんよね?」

 

 「安心してくれ。今は正気だ。ついでに言わせてもらうと……くっつきすぎじゃないか?」

 

 「そうですか? 小さいときにララティーナが添い寝してくれた時には[私の事は抱き枕と同様に思ってください]と言っていたのですけど……」

 

 ダクネスめ、余計な入れ知恵を……。

 

 「……それに……今夜が正真正銘の最後の夜……ですから」

 

 そうポツンとつぶやくアイリス。

 

 「……なあ……もしもの話だけど、今回の縁談を断ることとか投げ出すことはできないのか?」

 

 そう言うとアイリスは静かに諭すよう……。

 

 「それは……無理な話です。この同盟には我が国の存亡がかかっているんですから……」

 

 「……だ、だけど他にも何か手段はなかったのか?」

 

 「様々な手段を模索しましたが、これが最善策だと……。いいんですお兄様、これは私の責務なんですから」

 

 そしてまた、あの哀しそうな笑みを向けてくる。

 

 ……今の今まで邪なことを考えていた自分をぶん殴ってやりたい。

 

 

 

 「アイリス……」

 

 そして、まるで包み込むようにアイリスを抱きしめる。

 

 「……約束する。告白の返事は必ず返すって……」

 

 「……はい、いつまでも……お待ちしています……」

 

 そうすると急に眠気が襲ってきたのか、アイリスは安心した顔で眠ってしまった。

 

 この小さな体一つに国の存亡がかかってるんだな……。

 

 その重圧は一体どれほどのものなのだろうか。

 

 本当に俺にできることは何もないのか?

 

 俺はどうしようもないことに悩み続け、結局、夜が更けても一睡もすることはなかった。

 

 その後、今回目指す国に到着するまでの間、アイリスは普段通りの振る舞いをしていた。

 

 そして、一行は遂に目的地に到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☯☯☯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回アイリスが嫁入りをする国。

 

 国名は[ガルガンダ]。

 

 ベルゼルグに最も多くの精鋭を送り、そして現最強国とうたわれる武闘派。

 

 すべての基準が戦闘力であれ魔法であれその力によって評価される。

 

 そんな何よりも力を求めている奴らが代々勇者の遺伝子を取り入れてきたベルゼルグの王族の血を手に入れようとするのは、ある意味至極当然ともいえよう。

 

 実を言うと、ベルゼルグはそんなに弱体化していない。

 

 なぜなら、日本からやってきたチート持ち達は今だにとどまっているからだ。

 

 それに王族が一人加わっただけで他の国は瞬殺できるだろう。

 

 だがそれが出来ない国が一つだけあった。

 

 それがこの国である。

 

 ではなぜ?

 

 一つは神器にも匹敵する魔道具を多く所持しているからである。

 

 なぜそんなものを持っているのかという理由は明らかにされていない。

 

 そしてそれらの存在をカズマ達が知らないのは、極秘にされているので当然である。

 

 このことは各国のトップ層しか知らない。

 

 だがこれでもまだベルゼルグとは同等レベル。

 

 その二国の勝敗を決定づける要因は、今回のアイリスの結婚相手にしてガルガンダの第一王子。

 

 大英雄と称えられるその男の名は[グレン]。

 

 その一つの体で十を超える魔道具を扱う、人間としてのイレギュラー。

 

 中でも彼を大英雄とまで言わせた魔道具がある。

 

 世界で彼だけが唯一使うことが出来る[神器を無効化する神器]。

 

 彼の前では神器は無効、魔法も物理攻撃もすべて他の魔道具で無効化される。

 

 ……[無敵]。

 

 ……ちなみに齢は今年で三十になる。

 

 長くなってしまったがこれが……いや、彼こそベルゼルグがガルガンダに後背を取っている要因そのものである。

 

 よって、唯一敵に回したくない国の機嫌を損なわないために今回この縁談は行われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……というのが今回の縁談の真相だ」

 

 「いやいや相手が三十って犯罪だろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☯☯☯

 

 

 

 

 

 

 

 

 このときは誰一人として思いもしなかったであろう。

 

 後に語り継がれるほど大事件が起ころうとしていることに……。

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか……最後の方作風がフェイトとかの説明文っぽくない?

それはさておき今回はずいぶんカズマの心情が変わりましたねぇ。

アイリスもどんどん女っぽさが出てきてるし……さりげなく一話からアイリスも成長してきましたよね。

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