Tari tari 1人の少年   作:一塔

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よろしくお願いします


思い出だったり、夏だったり

  夏休みが終わり、新たに新学期が始まった。

  夏休みの間は旅行に行ったり、海に行ったり、友達と遊んだり、みんな様々な思い出が詰まっているだろう。

  学生として1番のメインイベントと言っても過言ではないだろう。

  そんな中、高校3年になっても夏休みを堪能出来ていない人物が1人いた。

  教室に行ってもみんなは夏休みの思い出を楽しそうに話をしている。

  それを聞いて、自分は夏休みが楽しい思い出になったかなんてわからなかった。

  新学期が始まって、半日授業、夏休みの宿題を提出して、部活を行う。

  「大河〜夏休みの思い出とかあるか?」

  部活終わりに家の帰り道の近くにあるコンビニでアイスをかじりながら竜司が大河に呟いた。

  「そうですね、海に行ったり、朝まで遊んだぐらいですかね」

  「お前は夏休みを夏を満喫してるな」

  「急にどうしたんですか?」

  なんかいつもより元気が感じられない竜司を見て大河が呟いた。

  「高校生活最後の夏休み、俺は何一つ満喫してないんだよ」

  「はぁ〜そんな事ですか」

  少し真剣に考えていた自分が馬鹿らしくなって、頭が痛くなってきた。

  「そんな事って、お前な」

  「夏を満喫したいなら彼女と遊べばいいじゃないですか?いるんでしょう付き合えそうな人」

  夏と言えば恋、大河はそう思っていた。

  「そんな人俺にいるのかよ」

  その返しに大河はもしかしたらこの人はバカなのか?と思えてきた。

  「何にも分かってないんですね、先輩、結構モテるんですよ」

  「そうなのか?」

  「ええ、噂では音楽科の上野っていう人や沖田さんとかと付き合ってるんじゃないかって言われてますよ」

  「なんだそれ」

  自分が知らない所でそんな噂が流れているとは知らず竜司は苦笑いを浮かべた。

  「夏を満喫したいなら彼女を作るから、それかお手頃で言えばBBQとかですかね」

  「BBQかぁ〜」

  彼女を作るのは諦めるとしてもBBQなら簡単に出来るな。

  「よし、今度の日曜日、BBQをやろう」

  「日曜日って、部活はどうするんですか?」

  「午前練だから午後からやればいいだろ、そうと決まれば人を集めるか」

  「ちょっと先輩」

  BBQをやると決めた竜司は楽しそうに自転車を漕いで1人先に行ってしまった。

  この人についていって大丈夫なのだろうかと大河は痛くなってきた頭を押さえた。

 

 

 

 

  「おはよう」

  「あ、きたきた」

  教室に入り、朝の挨拶を済ませると来夏が笑顔で口を開いた。

  朝から沙羽の机に来夏と和奏が集まっていた。

  笑顔でいる和奏を見て、もう心配はいらないかなと竜司は思った。

  沙羽の後ろが竜司の席、荷物を置くと前の席に集まっていた女子達が集まってきた。

  理由は一つだろう。

  「BBQ、私達参加ね」

  やっぱりBBQの事だ。

  昨日の夜、BBQをやりたいとメールで知り合い全てに送っていた。

  「よし!」

「竜司にしては気がきくじゃん」

  「来夏、失礼だよ」

  「何処でやるの?」

  「海で午後からやろうと思ってる」

  「いいね!」

  海でBBQ、これぞ夏だろう。

  来夏は嬉しそうに声を上げた。

  「道具とかはあるの?」

  「一応、サッカー部の武と太郎が持ってるから準備してくれるって」

  「誰が来るの?」

  「一応、色々誘ったけど、サッカー部の武と太郎にバレー部は大河と光輝、それに誠、後、大智とウィーンは確定だったかな」

  昨日のメールの返信を思い出しながら竜司が呟いた。

  「楽しみだなぁ〜」

  「BBQしたら海で泳ごうよ」

  「来夏、クラゲが出るよ」

  「クラゲがなんぼのもんじゃい」

  椅子に片足を力強く起き、叫んだ。

  「刺されても知らないからね」

  呆れた様子で沙羽は呟いた。

  せっかく海でBBQをやるんだから海に入りたいのは当然だが、クラゲに刺されたら元も子もないだろう。

  まあ、浜辺で遊ぶぐらいなら大丈夫だろうと沙羽は心の中で呟いた。

  「とりあえず、お前らには手伝って貰いたい事があるんだ」

  嬉しそうな笑顔で何かを企んでいる竜司に来夏達は首を傾げた。

 

 

 

  「うわー広い!!」

  「一人暮らしなのにわりと綺麗なんだね」

  土曜日の夜、明日のBBQに備えて今夜は下準備をする為、竜司は来夏達に協力を求めた。

  始めて竜司の部屋に入った来夏と沙羽は部屋の中を見渡している。

  対照的に和奏は顔を少し紅く染めて、静かに立っていた。

  それに来夏が気付いた。

  「和奏〜どうしたの顔紅いよ、体調悪いの?」

  「う、ううん、大丈夫だよ?」

「何で疑問系?」

  まさか、一回家に来た事があって、しかも泊まったなんて言えない。

  明らかに動揺している和奏に来夏は疑問を抱いた。

  その和奏の表情を見て、沙羽は悲しく視線を逸らした。

  「何騒いんでんだ、とりあえず、2組に分かれて野菜と肉に串を刺す係とおにぎりだったりその他諸々を作る係に分かれよう」

  「私、お肉刺す係がいい」

  「私はどっちでもいいよ」

  「私もどっちでも」

  「じゃあ、来夏と俺で肉を刺すから和奏と沙羽はおにぎりを作ってくれ」

  役割分担が決まったところで作業に取り掛かった。

  机の上に肉と野菜(和奏の家からの差し入れ)を置き、ビニール手袋を装着して、肉と野菜を交互に刺し始めた。

  「うわ!このお肉柔らかい、何処のお肉?」

  「これは静岡の伊豆牛だ」

  お肉の柔らかさに感動しながら竜司と来夏は喜んでいた。

  一方、キッチンではビニール手袋を装着して炊かれたご飯を一生懸命、おにぎりを作っている。

  「和奏、上手だね」

  和奏が作っていく綺麗な三角のおにぎりを見ながら沙羽は少し形が崩れている自分のおにぎりを見ながら呟いた。

  「そんな事ないよ、ただ料理はお母さんがなくなってからずっとやってから」

  少し悲しい表情を浮かべていたが雰囲気は前の時と全然違った。

  それには沙羽も嬉しく感じた。

  「ねぇ和奏」

  「ん?」

  沙羽はおにぎりを作る手を止めて和奏に呟いた。

  和奏は炊飯器から自分の手にご飯を乗せながら口を開いた。

  「竜司くんの家に来た事あるんだ」

  「ええっ⁉︎ないよ⁉︎」

  明らかに動揺してご飯を炊飯器に落としている和奏を見て沙羽は可笑しくなって軽く微笑んだ。

  「和奏、分かりやすい」

  ここまで分かりやすい人がいるなんて思わなかった。

  和奏らしいと言ったら和奏らしい。

  「実は1回だけね」

  和奏は竜司が熱を出して看病していた時の事を全て話した。

  別に隠していた訳ではないが女子として口にしにくかっただけだ。

  「だから様子がおかしかったんだ」

  沙羽は軽く微笑んだ。

  もう!と言いながら和奏は炊飯器からまたご飯を手のひらに乗せた。

  「・・・和奏は竜司くんの事が好きなの?」

  「え?」

  再度、和奏はご飯を炊飯器に落とした。

  沙羽の言葉に顔が真っ赤になる和奏を見て、可愛いなとも思えた。

  気づくと沙羽もおにぎりを作る手を止めて、じっと和奏を見つめていた。

  「・・・好きだと思う」

  沙羽の真剣な眼差しに和奏も誤魔化さずに答えた。

  「思うって?」

  好きと断言しない和奏に沙羽は表情一つ変える事なく問いかけた。

  「まだ、自分の気持ちが分からないの、でも竜司くんと一緒にいると何故か心があったかくなるの、この感情はきっと恋だと思ってるから」

  それは間違っていないと沙羽が1番に感じた。

  和奏の言う事はなんとなく分かる気がする。

  真剣な表情を崩して笑顔を作った。

  「頑張れ!・・おっと」

  いつもの感じでお尻を叩こうとする沙羽であったが、手にはおにぎりがあり、叩くわけにはいかないと判断した。

  「でもどうして竜司くんなの?」

  沙羽から見ても和奏は十分に可愛い。

  そんな彼女なら他にいい男はいっぱいいるだろう。

  口にはしなかったが沙羽はそう思う事にした。

  「竜司くんはいつもふざけて笑っているイメージだったんだけど、自分の事より人の事を優先して、時にそれが優しさだったり、救ってくれたり、何より、私を救ってくれたから」

  和奏はあの時の夜中の事を話した。

  母の気持ちを汲み取って勇気を付けて、また音楽を初めて見ようと思わせてくれた人。

  私にとっては大事な人。

  だから安心して頼れる。

  だから一緒にいると心があったかくなるのを感じる。

  「なんか得した気分」

  「どういう事?」

  沙羽の笑顔の言葉に和奏も軽く微笑んで口を開いた。

  「そのままだよ、来夏には内緒にしとくからね」

  「うん・・・ありがとう」

  来夏に知られるという事は白浜坂高校全ての生徒に話すような事。

  和奏はそれだけは避けたかったので沙羽の言葉に救われた。

  ただ一つ不安が心の中に残っている。

  どうしてこんな事を聞くのだろう。

  真剣な表情を浮かべていたが、すぐにいつもの沙羽に戻った気がした。

  もしかしたら・・・・沙羽は・・・。

  和奏は改めておにぎりを作りながら一つの不安を抱いた。

 

 

 

 

  「よし!大河行こうぜ」

  シャワー室から出てきた竜司が廊下で立ちながら携帯をいじっている大河に声をかけた。

  今日は念願のBBQ、朝からテンションが高い竜司はバレーの練習も人一倍真剣に取り組んでいた。

  汗だくの身体をシャワーで流してまずは誠と光輝と合流する為、光輝の家に向かう。

  光輝達とと合流した後でBBQに参加する形となっていた。

  大河を連れて、自転車置場に向かいながら竜司はポケットの中に財布がない事に気が付いた。

  「やべ、財布部室に忘れた、取り入ってくるから先に光輝の家に先に行っててくれ」

 それだけ言い残して竜司は駆け足で部室に向かっていった。

  部室に到着して、中を調べると床に茶色の長財布が落ちていた。

  良かった、良かったと言いながら財布を拾ってポケットにしまい、部室を後にした。

  急いで自転車置場に戻ると大河の姿は無かった。

  「佐原くん」

  竜司も光輝の家に向かおうとすると後ろから声をかけられた。

  振り返るとそこには自転車を押ているみどりの姿があった。

  「上野、今帰りか?」

  「うん、この時期は忙しくないの」

  「そっか次のイベントは文化祭か?」

  「ううん、次は合唱コンクールかな」

  「ああ、合唱コンクールか」

  海星高校にいた時にそんな話を聞いた気がする。

  「ええ、今は歌う歌を決めてる所だから、今は発生練習が主にやってるよ」

  「発生練習か基礎は大事だからな」

  「本当だよね」

  確かにと思ったみどりは頷き、そしてため息を一つ吐いた。

  「どうした?」

  「声楽部の1、2年生は基礎の大切さを分かってくれてないの、センスはあるんだけど」

  どうやらみどりは今の声楽部より、来年の声楽部の事を気にしているようだった。

  基本を出来ない奴はいつか壁にぶつかった時に乗り越える事が出来ず崩れ落ちてしまう。

  その事はみどりは理解しているようだった。

  「いい先輩だな」

  「そんな事ないよ」

  「そうだこの後、時間空いてる?」

  「この後?ちょっと待って」

  カバンの中から携帯を取り出して予定を確認した。

  「大丈夫だよ」

  「だったら今からBBQするんだけど、上野も来ないか?合唱部の奴だったり、バレー部の奴とかいっぱいいるんだけどさ」

  「合唱部がいるのに私が行っても大丈夫?」

  合唱部は部活をやめた来夏が作った部活だ。

  来夏とは仲は良いが他の人達からして見れば声楽部は合唱部をバカにしていると思われているかも知れない。現に声楽部の何人かはバカにしている。

  その事を知られていたらみどりも気まずかった。

  「やっぱり、気にはなるんだ」

  「少しわね」

  「でも心配するような事は起きないから大丈夫だよ」

  竜司に言われてそれもそうだよねとみどり思った。

  「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな」

  「よし!」

  「とりあえず、家に帰って着替えてから行くね」

  「おう、それか一緒に行くか?」

  「そうして貰えると助かるかな」

  竜司に言われて安心はしたが1人で行くとなると少々心細い。

  竜司の提案に乗る事にした。

  「よし、じゃあ行こうか」

  「うん」

  竜司とみどりは自転車にまたがって漕ぎ始めた。

 

 

 

  海では着々と準備が進んでいた。

  あらかじめ竜司の家の鍵を受け取っていた来夏達は11時ぐらいに下準備をした材料を取りにいき、BBQを行う海岸に来ていた。

  多い食材を3人で手分けして持ち運ぶと既に武と太郎で準備は終わっていた。

  「お疲れ様」

  荷物を置きながら来夏が呟いた。

  2人ともお疲れと返し、食材を見た。

  「うわ、結構あるな」

  「食べきれるかな」

  「大丈夫、竜司君が全部食べるよ」

  食材の多さに驚いた2人に沙羽が声をかけた。

  竜司の大食いさを知っている2人は沙羽の言葉に成る程という表情を浮かべた。

  「ねぇ焼いてみようよ」

  「ダメだよ来夏、全員揃ってから」

  後は焼くだけという状況に来夏は早く始めたくてしょうがなかったが今回の主催者でもある竜司が来るまではと和奏が注意した。

  「はは、大丈夫だよ、試しに焼いてみようか」

  「流石〜太郎、たまにはいい事言うじゃん」

  「たまにはってなんだよ」

  笑顔で太郎を賞賛する来夏だった。

  網の上に串になっているお肉と野菜を置くと美味しそうな音が聞こえてきた。

  「おお〜」

  その音に来夏は感動に似た声を上げた。

  それには沙羽も和奏もクスッと笑った。

  しばらくして串の部分をタオルで巻いて太郎は来夏に渡した。

  「いただきます」

  焼きたてのお肉を一口で食べた。

  「ん〜美味い!」

  口の中に広がる香ばしい肉汁と柔らかいお肉、こんなお肉は今まで食べた事がないんじゃないかというほど美味しかった。

  「和奏も食べる?」

  「こら、野菜の所も食べないとダメだよ」

  串には肉、野菜、肉、野菜、肉の順番に並べてある。

  野菜があまり好きではない来夏は人にあげるという事で野菜を食べないという手段に出たのだが、沙羽にはばれていた。

  「もうやってるのか」

  大智とウィーンが遅れてやってきた。

  「試しに焼いているだけだよ」

  「これが、キャンプファイヤーか」

  「違うから」

  「今度ちゃんとした本買いに行こうな」

  BBQの道具を見たウィーンがバックの中から本を取り出して呟いた。

  それに慣れている合唱部はいつもの事かと思いながらツッコミ、それに慣れていない太郎と武は空いた口が塞がらない状態であった。

  「焼けてるからどんどん食べて」

  汗を流し流しながら武がお皿に乗せて持ってきた。

  それに美味しそうにかぶりつく来夏と大智とウィーン。

  肉を食べると美味いと微笑んだ。

  武と太郎は汗を滴らせながらお肉を焼いている。

  それを見て沙羽が紙コップを2つ取り出して烏龍茶を注ぎ、手に取った。

  「暑いなかお疲れ様」

  「「あ、ありがとう」」

  沙羽の優しさに嬉しそうな笑みを浮かべて烏龍茶が入った紙コップを受け取った。

  その烏龍茶を2人は大切そうに口に含んだ。

  「沙羽、竜司君達遅いね」

  「そうだね、そろそろ来ると思うんだけど・・・あ、大河くんが来たみたい」

  海岸の椅子の上に腰を降ろしながら和奏が呟いた。

  沙羽も隣に座って返したがそろそろ竜司達も来る頃だろうと思い、振り返ると後ろから大河らしき人が歩いてきた。

  「お疲れ様です」

  大河が沙羽に挨拶を交わしたが来たのは大河と光輝と誠だけだった。

  「あれ?竜司くんは?」

  「佐原先輩、誰か迎えに行くから先に行ってろってメールが来ました」

  太郎を迎えに行った後に大河の元に竜司からメールが入っていた。

  太郎の家で待つ事をやめて2人は先に向かったのだ。

  「そっか、じゃあ先に始めちゃいな」

  「分かりました」

  部活でお腹も空いているだろうと思った沙羽が3人に声をかけた。

  光輝は初めて話す人ばかりであったが誠や大河が上手く会話を振り、仲良く楽しんでいるように見えた。

  「それにしても竜司くん遅いね」

  呆れた様子で沙羽が呟いた。

  「・・・沙羽」

  「ん?」

  海岸にある石を軽く蹴りながら和奏の声に沙羽が気にした様子もなく返した。

  和奏は唾を飲んで口を開いた。

  「沙羽ももしかして竜司「あ、きたよ」

  和奏が言いかける途中に沙羽が言葉を挟んだ。

  沙羽の声に全員が視線を向けた。

  竜司は自転車を走らせていた。

  「あれ、って・・・上野さん?」

  来夏が目を細めてみると竜司の自転車の後ろにみどりが乗っていた。

  みどりは自転車から落ちないように竜司にしがみついており、その光景を見た和奏と沙羽はムッとした表情を浮かべた。

  自転車を降りて手にはビニール袋を持って歩いてきた。

  「上野さん!」

  「宮本さん」

  みどりが来たことで来夏は嬉しくて大きく手を振り、それに淑やかに手を振って返した。

  「遅くなったな」

  ビニール袋の中身を置いて竜司が呟いた。

  「おい、これって」

  ビニール袋の中身を確認した太郎と武が慌てた様子で声を上げた。

  それもその筈、中にはサザエと鮑がたくさん入っているからだ。

  「上野の実家が漁師やってていつも食べきれないぐらい送ってくれるからって貰った」

  「良かったら食べて下さい」

  「ありがとうございます!!!」

  高級食材に男達の声が上がった。

  「ほら、竜司」

  「ありがと」

  「上野さんも」

  「ありがとう」

  全員の手にコップが行き渡った所で乾杯をした。

  全員が焼けた肉にかぶりつく。

  空腹の腹を満たしていく。

 太郎 「おい、鮑、スゲー美味いぞ」

 大智 「ウィーンそれ俺のだ」

 ウィーン 「早い者勝ちだよ大智」

 光輝 「大河、肉喰いすぎ」

  誠「俺のも残しておけよ!」

  来夏「上野さん、美味しいね」

 みどり 「うん、こんな美味しいお肉初めてかも」

  和奏「上野さん、ピアノ専攻なんだよね」

  みどり「そうだよ」

 和奏 「今度渡しにピアノ教えて」

 みどり 「うん、いいよ」

 沙羽 「良かったね和奏」

  来夏「こら誠!それ私の!」

  誠「知らないよ」

 来夏 「・・・みんなに言うよ」

  誠「お姉様、どうぞ」

 来夏 「よろしい」

  大河「何の事だよ」

  誠「うるさい!」

  沙羽 「ウィーン、そのお肉まだ赤いよ」

 ウィーン 「大丈夫だよ、ミディアムレア」

 沙羽 「お腹壊しても知らないからね」

  太郎「大智、烏龍茶取って」

  大智「ほら」

  武「サザエうまぁ!」

 みどり 「良かった、一杯食べて下さい」

 武 「はい!」

 

  みんな楽しそうに話をしている。

  良かった。

  竜司の心の中に思った言葉。

  あれ?何の為にBBQを開いたんだっけ?

  まあいいか。

  当初の目的とは違うがこれもいい思い出になるから。

  竜司は一口肉を食べてそう思った。




ありがとうございます

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