Tari tari 1人の少年   作:一塔

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よろしくお願いします。

今回は和奏の回となっています。


愛されてたり、愛されてたり。

  ぼーとして海を眺めているとなぜか心が落ち着くのは何故だろう。

  広大な海を見ていると自分の考えている事がちっぽけに思えるからだろうか。

  理由は分からないがなんとなく落ち着く。

  今は海水浴の客で賑わているがそれほど気にはならなかった。

  だがふと目に入った。

  小さい女の子とお母さんが仲良く遊ぶ姿に和奏はじっと見つめていた。

  もし今、お母さんが生きていたら何をしていただろう。

  無くなって始めて気付いた事。

  そう考えながら親子のやり取りを風を感じながら見ていた。

  「和奏ちゃん?」

  後ろから声が聞こえて来たので振り返るとそこには自転車を押して、片手にはサーフボードを持って歩いている志保の姿があった。

  「ああ、やっぱり」

  「あ、沙羽のお母さん」

  「志保よ、イタッ!、はは、久々にやっちゃったよ」

  笑いながら答える志保を見てみると足に包帯が巻かれていた。

 

 

 

  怪我をしている志保を見て家まで荷物を運ぶ事にした。

  足を引きずりながら志保は自転車を押して、和奏はサーフボードを片手に持って家まで送っていた。

  「助かったー沙羽には内緒ね、もう若くないとか言うからあいつ、年々生意気になっていくよね」

  口ではそう言っているが志保の表情は嬉しそうであった。

  それを見た和奏は寂しそうに下を向いて。

  「仲、良いんですね」

  その言葉と和奏の表情を見た志保はやってしまったと思った。

  少し、気まずかったが家の近くの物置小屋に着き、自転車を止めてから物置小屋の中に入った。

  中に入ると蒸し暑い空気が感じ取れた。

  「あっつぅー」

  自分の手で煽りながら志保が入った後に続いて和奏が周りを見ながらゆっくりと足を踏み入れた。

  「ありがとう、その辺、適当に置いといて」

  志保の言葉に和奏は入り口近くに置いてあるサーフボードの隣に膝をついてそっと置いた。

  「汗かいたでしょう、風呂入ってけば」

  「いえ、大丈夫です」

  汗はかいていたがお風呂に入るまでではなかったので和奏はやんわりと断った。

  「そっか、あ、そうだ、ちょっと待ってて」

  何かを思い出した志保は物置小屋の奥に歩いて行き、待つように言われた和奏は待つ事にした。

  奥にあるダンボールを一つ取り出した。

  「なんですかそれ?」

  「私も白高だったのよ、和奏ちゃんの先輩、この辺じゃ白高か鎌高かのどっちかだからね」

  ダンボールをあさりながら志保は和奏の問いに答えた。

  そして探し物が見つかったのかゆっくりと立ち上がった。

  「ほら、これ、和奏ちゃんのお母さんじゃない?まひる先輩」

  差し出されたのは当時の学生達の集合写真のようだった。

  写真には合唱部優勝おめでとうと段幕まで写っていた。

  写真を見ていると母が写っていた。

  「お母さん」

  「でしょう、私の一個上だってのよ、そしてこっちが高倉先輩」

  写真に写っているまひるの隣にいる生徒を指差しながら続けた。

  「高倉直子って今、教頭先生でしょう」

  志保の言葉に確かにと驚きと確信した声が出てきた。

  「それ、今度綺麗にコピーしとくからまた今度取りにおいで」

  「ありがとうございます」

  若い頃の母の写真を見て和奏は嬉しそうに感謝の言葉を述べた。

  「みんな合唱部だったんですか?」

  「そうよ、それはコンクールで優勝した時の写真、お母さんから何か聞いていない?」

  その言葉に和奏は首を横に振った。

  母の写真を見てふと昔の事を思い出していた。

 

  3年前

  「病気の事、聞いてなかったのか」

  「ええ、ほらあの子受験だったから」

  高校合格通知を握り締めながら和奏は階段に座っていた。

  圭介は葬式に参列してくれた方に頭を下げていた。

  高校受験があるからと言い、母の最後の願いも聞けなかった自分が嫌で仕方がなかった。

  昔の事を思い出していると直ぐに家についた。

  圭介は店番をしていると思い、店の裏口の扉を開けようと手をかけたが今、自分がどんな顔をしているかは鏡を見なくてもわかった。

  これでは父にも心配をかけてしまう。

  いつもと変わらない表情に変え、裏口の扉を開けた。

  「お父さん、今日の晩御飯、作ろうか?」

  「おお」

  雑誌を読んでいた圭介は和奏の声に軽く驚いた。

  「じゃあ頼むよ」

  雑誌を読んでいる圭介を見て和奏は疑いの目を向けた。

  「今日、暇なの?」

  「あ、忙しいよ⁉︎」

  本当は暇だったが和奏に当てられて圭介は動揺した様子で雑誌を机に置こうとした時に雑誌が机の上に置いてあったコーヒーに引っかかり、床に零してしまった。

  その光景に和奏は昔の事を思い出した。

 

 

  病室で同じようにコーヒーを零してしまう圭介がいた。

  病室のベットに横たわっているのは和奏の母、まひるであった。

  和奏はベットの近くのイスに座っていた。

  「もう、きよつけてよ」

  「ごめん、ごめん」

  まひるに言われて圭介は零したコーヒーを拭きながら答えた。

  「倒れたって聞いたからびっくりしたよ」

  「もう、大袈裟なんだから」

  いつものように笑って答えるまひるに和奏も安堵した表情を浮かべた。

  コーヒーを拭きながら圭介は何も口にしなかった。

  今、思えば唯一真実を知っているから辛かったのだろうと思えた。

  「また、直ぐに退院できるんでしょう」

  「ちょっとコーヒーを貰ってくるよ」

  圭介は病室を後にした。

  まだ真実を知らない和奏を見ているのが辛かったのもあるがもう助からないと知っているからまひると和奏のやり取りが見ていられなかった。

  「お母さん、身体もっと大事にしてよ」

  「和奏が一緒に歌を作ってくれたら元気になっちゃうかも」

  まひるが楽譜を取り出した。

  「和奏のアイディアとか意見とか聞かせて「そんな事やってる場合じゃないんだよ、受験ももうすぐだし」」

  まひるの言葉を遮るように和奏が強めの口調で言い放った。

  まひるは少し驚いた表情で和奏を見つめた。

  「じゃあ一緒に歌おっか?ララララ〜♪」

  「そんな気分じゃない」

  またしても強めの口調で和奏が叫んだ。

  その事にまひるは少し寂しい表情を浮かべながら呟いた。

  「あんまりカリカリしてると実力が発揮できないわよ」

  「誰の所為だと思ってるの!!」

  またしても和奏は強い口調で言い放った。

  「怒られちゃった、ごめんね」

  口ではそう言っていたがどこか寂しそうであった。

  自分の所為で和奏に迷惑をかけているんじゃないかと思うと悲しくなってきたのだ。

  「私、散々酷い事、言ってたのかな」

  和奏は自分の部屋の扉の前でポツリと呟いた。

 

 

 

 

  「ぎっくり腰ですか、ええ、土日は僕が、いえ、こう言うのはお互い様ですから」

  電話をしている圭介を横目に和奏は夕飯を口にしていた。

  受話器を置いたところで和奏が口を開いた。

  「東野のおじさん?」

  「ああ、また腰だって、今度の週末、畑手伝いに行こうと思うんだ」

「うん」

  「2、3日だと思うけど大丈夫か?」

  「もう、子供じゃないんだから、晩御飯、お寿司取っちゃおうかなぁ〜」

  「ええ」

  「お父さん」

  「ん?」

  和奏は手に持っていた茶碗と橋を食卓に置いた。

  「部屋のピアノの片付けようと思うんだけど、もう私使わないし、本当に音楽を好きな人に使ってもらった方がお母さんも喜ぶと思うし」

  「・・・そうか」

  和奏の決断に圭介は寂しそうにポツリと呟いた。

  「CDも小さいものでいいし、他に入らない物も片して貰って代わりにベットでも置こうかな」

  寂しそうな表情を見た和奏は心配させないようにと口にしたが圭介の表情は晴れることはなかった。

 

 

 

  次の日の朝.

  キッチンでドラの餌を置き、夏休みの補習に出掛けるため、自分の机に置いてあったカバンを取りに向かった。部屋に入ると昨晩まとめた荷物で部屋を埋め尽くしていたが、和奏は気にせず自分のカバンを肩にかけた。

 カチャ!カチャ!とカバンに着けていたキーホルダーが目に入った。

 母が作ってくれたキーホルダーを見つめて初めて作ってくれた時のことを思い出した。

 「出来たぁ~」

 嬉しそうに両手の平に乗せて見せたが、何回か確認した和奏は首を傾げて。

 「何これ?金魚?」

 「くじら!」

 「はは、金魚だよ、金魚!」

 「くじら」

 「金魚ぉ~」

 楽しそうにとび跳ねたり、部屋の中を駆け回りながらまひるの作ったくじらのキーホルダーを金魚と言ってはしゃでいた。

 こうなると何を言っても埒が明かないと思ったまひるはいいことを思いついた。

 「じゃあ、間をとってイルカさんかな~」

 そう言うと和奏はまひるに抱きついて、手に持っているキーホルダーを見て。

 「イルカさん歌ってるの?」

 「そうよ、ララ~♪ララララ~」

 楽しそうにまひるは歌った。

 

 

 

 和奏はカバンからキーホルダーを外して、ピアノの上にそっと置いた。

 これでいいんだよね?

 いつまでも過去にしがみついていたら前には進めないんだから。

 自分に言い聞かせるように心の中で何度も呟いた。

 そして部屋を後にした。

 階段を下りたところで外に置いてあった花を玄関に入れていた。

 予報では今日は大きな雨雲が接近していて大雨が降る。

 その為だろう。 

 和奏は靴を履き、外にいる圭介に「いってきます」と声をかけた。

 「和奏、部屋の荷物、今日、取りくるからな」

 「・・・うん、いってきます」

 少し考えたが和奏はいつもと変わらない表情で答えた。

 

 

 

 

  今日はなんだか集中できなかった。

  補習授業の内容も全く頭に入ってこなかった。

  ずっとピアノとイルカのキーホルダーが頭に浮かび上がってくる。

  何故だろう。

  ずっと自問自答をしていた気がする。

  補習授業も終わって和奏は荷物をまとめて駆け足で教室を出て、階段を降りようとした。

  「和奏〜」

  自分の名前を呼ばれて振り返ると階段の上に来夏と沙羽が立っていた。

  「こないだのバトミントン大会の打ち上げをするんだけど」

  「田中の奢りでね」

  「ごめんね、今日忙しくって」

  まさか断られるとは思っていなかった来夏と沙羽は少し驚いた。

  「えっ、でも和奏の分のケーキも買ってあるよ、ケーキだけでも食べていったら、こんなでかいイチゴのやつ」

  「ごめんね、またね」

  そう言って、和奏は駆け足で階段を降りていった。

  それを見て来夏はしょんぼりと小さくなった。

  「イチゴ嫌いだったのかな」

  「それはない!」

  イチゴが大好きなのは一緒に喫茶店とかに行った時に沙羽はしっかりと和奏がショートケーキのイチゴを美味しそうに食べているのを見ているからだ。

  イチゴが嫌いじゃないともしかしたら。

  「私うざがられてる」

  「・・・それはちょっとあるかもねぇ〜」

  「ええっ⁉︎」

  「という訳なんだけど、竜司くんは何か知ってる?」

  バトミントンの打ち上げを終えた沙羽は自主練をしている竜司の元に来て事情を説明した。

  「理由は知らないな、そう言えば最近会ってないしな」

  柔軟をしながら竜司は呟いた。

  「竜司くんも知らないか」

  「和奏だって色々考えているんじゃないのか?」

  「やっぱり何かあったのかなぁ」

  「あんまり詮索はするなよ」

  「どうして?」

  「下手したら余計に和奏を苦しめるかもしれないだろう、今はそっとしといてやるのが一番じゃないのか?」

  柔軟を終えて立ち上がりながら竜司は呟いた。

  やっぱりそうかなと沙羽も考えていた。

  あんまり、人には知られたくない事なのかも知れないと考えていたからだ。

  「そうだ沙羽、前みたいにボールを投げてくれ」

  「もう、それどころじゃないでしょう」

  「心配なのは分かるけど、和奏から話してくれなかったらどうにもできないだろう、こういう時は体を動かすのが一番だよ」

  そう言うとボールカゴを持ってきて沙羽に渡した。

  バレーバカと小声で呟いた沙羽は思い切り力を込めて竜司の顔面に投げ抜いた。

  それを簡単に竜司はレシーブをした。

  いつからか沙羽は1発でいいから顔面に当ててやると思いながら何十球も投げつけた。

 

 

 

 

  自主練も終わり、辺りはすっかりと暗くなっていた。

  おまけに土砂降りの雨が降り注ぎ、風も暴風のように吹き荒れていた。

  「降ってきちゃった」

  「カッパ持ってるか?」

  「うん」

  自転車通学をしている沙羽なら今日の天気も予想していただろう。

  こんな中、1人で帰らせるのは危険だと思った竜司は送ってくと言おうとしたがちょうど携帯が鳴り響いた。

  携帯を確認すると竜司は焦った表情で携帯をしまい、自転車にまたがった。

  「悪りぃ沙羽、急用ができたから先帰るは、きよつけて帰れよ」

  「ちょっと竜司くん⁉︎・・・行っちゃった、もうこんな雨の中1人で帰らせる気、てかカッパ持ってきてないのかな」

  カッパも着ないで走り出した竜司を見て大丈夫かなぁと沙羽は思った。

 

 

 

  夜の9時

  玄関が開く音が聞こえた。

  誰か来たのかな、お父さんかなぁと思いながら、自分の部屋に倒れるように寝ている和奏はうっすらと瞼を開けた。

  身体が熱い、身体が怠い。

  そういえば熱があったんだ、だからお父さんにメールをしたんだった。

  中々、部屋に来ないなと思いつつも和奏は身動き一つ取らず、瞼を閉じた。

  しばらくして部屋の扉が開いた。

  「和奏!大丈夫か」

  やっと来てくれた。

  肩を抱いて上半身を起こされながら和奏は呟いた。

  「・・・お父さん」

  うっすらと瞼を開けてみるとそこには父とは違う人物がいた。

  「誰がお父さんだ」

  「えっ・・・竜司くん、どうしてここに?」

  まさか父とは違う人物がいることに和奏は驚いたが熱もあって表情には出せなかった。

  「お父さんにメールしたつもりなのか、間違って俺に送ってたぞ」

  「嘘、ごめんなさい」

  「いいから、横になってろ、薬は飲んだのか?」

  「ううん」

  起き上がろうとする和奏を抑制して竜司は荷物の中から薬と水を取り出した。

  「ほら」

  上半身を起こして竜司は和奏に薬と水を飲ませた。

  飲んだのを確認してゆっくりと畳に寝かせた。

  「布団を敷くから布団は何処にある?」

  竜司の問いかけに和奏は押し入れを指差した。

  竜司は静かに押し入れから布団を取り出して敷いた。

  和奏に声をかけようかと思ったが既に眠りに入っている。

  しょうがないかと思いつつ、和奏を抱き上げて布団の上にゆっくりと降ろした。

 

 

 

  真夜中に和奏はゆっくりと瞼を開けた。

  時計を確認すると夜中の2時を少し回った所であった。

  さっきとは違い、身体の怠さはだいぶ良くなった。

  薬が効いて効いて来たのだろう。

  部屋を見渡すと竜司の姿はなかった。

  それもその筈だ。

  こんな時間までいる訳がないかと自分を納得させた。

  暗闇に1人。

  寂しい気持ちが一気に込み上げてきた。

  でもそれはしょうがない。

  でも寂しい。

  その気持ちが心の中で暴れている。

  「目が覚めたか」

  部屋の扉が空き、良く知った安心する声が聞こえた。

  「り、竜司くん⁉︎何してるの?」

  「何って看病だよ、こんな状態で1人にしとく訳にはいかないだろ」

  その言葉に和奏は心の中があったかくなって行くのを感じた。

  「でも、風邪を移すと行けないし、だいぶ身体も楽になったからもう大丈夫だよ」

  と言いながら本当は1人にしないで欲しいと思っていた。

  行った後で自分のバカ!と心の中で叫んだ。

  竜司は静かに和奏のおでこに手を当てた。

  「あっ」

  ひんやりとした手の感触が伝わってきた。

  「まだ、熱があるな、明日、坂井さんに連絡するまではいるからゆっくり休め」

  竜司は静かに手を離した。

  「うん、ありがとう」

  ゆっくり休めと言われたが竜司の事が気になって目が冴えてきた。

  竜司は暗闇の中に1人でポツリと座っている。

  「眠れないのか?」

  いきなりの言葉に和奏は驚いたが「うん」と小さく呟いた。

  「なんかあったのか?」

  「どうしたのいきなり?」

  「来夏と沙羽が心配してたぞ、最近、元気がないって」

  学校ではそんな表情は見せていないつもりだったがすっかりばれていたようだ。

  和奏は一つ息を吐いて口を開いた。

  「私ね、お母さんが大事にしてたピアノやキーホルダー全て手放したの、いつまでもかわれない気がして」

 「・・・和奏」

 「お母さん、なんで私に病気の事、私に話してくれなかったのかな、そうしたら約束だって守れたかもしれないし、もっと優しくできたのに・・」

 「約束って歌を作ることか」

 「・・・うん」

 竜司は和奏の胸の内を聞いてしばらく黙った。

 そしてゆっくりと口を開いた。

 「病気の事を話したら和奏はお母さんに優しくするだろう」

 「うん、だって!!」

 声を上げようする和奏に竜司は手で抑制した。

 「お母さんは和奏に優しくして欲しかったんじゃないんだ、病気の事を言ったらお前は同情するかもしれない、お前が思っていなくてもお母さんはそう感じてしうのが嫌だったんじゃないか、本当は優しい和奏なのに、なんだか違くみてしまう自分が嫌だったんじゃないのか、それにお前に迷惑が掛かる事が嫌だったんだ」

 「そんな事ない!!私だって子供じゃない!」

 「分ってるよそんな事、だから和奏を傷つけてしまうかもしれない道を選んだんだ」

 「どうして」

 「約束したんだろ、お母さんと和奏と一緒に歌を作るって」

 「だったら教えてくれれば一緒に「悲しい別れの歌か?」」

 「えっ?」

 「違うだろ、お母さんが作りたかった歌は悲し歌じゃない筈だ、きっと楽しさや、優しや、強さがありふれた歌だと思う、その歌を聴いて和奏はお母さんを思い出せるように、和奏を一人にしない為にな」

 竜司の話を聞いて和奏はしばらく布団で顔を隠した。

 布団からは「くうっくっくっううっうっあっあっ」こらえつつも泣き声が聞こえてきた。

 推測の話だったがこれで良かったのかなと竜司は暖かく心の中で呟いた。

 竜司は今は一人にした方がいいかなと思い静かに部屋を後にした。

 

 

 その後、和奏は圭介に母が病気について教えてくれなかった理由を聞き、お母さんとの思い出もピアノも音楽も捨ててしまったことに後悔をした。

  だが、捨てたと思っていた思い出もピアノも圭介が持っていた。

  母の愛情を知り、もう一度、音楽を始めて、圭介から渡された未完成の歌を作り始めるのであった。

 




ありがとうございます。

2話分を一つにまとめたのは無理があったかなぁ〜・・。

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