爽と霊夢は魔理沙を布団に寝かせた後、縁側でお茶を飲みながら話していた。
「そういえば、さっき魔理沙さんが持ってた八角形の箱みたいのは何ですか?」
「あれはミニ八卦炉といって、魔理沙のスペルのマスタースパークを発動させる物よ。」
「へぇぇ…」
爽は理解したようで、頷いた。
「……僕も弾幕が出せたらなぁ。」
「そうね、弾幕もスペルもその人が持っている魔力に比例するからね…」
「僕にも魔力はあるんですかね?」
「テストしてみる?」
「なんのですか…?」
「あなたがどれくらい魔力を持っているかのテストよ」
「僕みたいな普通の人間も魔力はあるんですか?」
「まぁ、少なからずあると思うわ。」
そういうと、霊夢は白い札を取り出し、爽に持たせた。
「何ですか?これは?」
「これは被験者の魔力の大きさを測ることが出来る特殊な札よ」
「…どうすればいいんですか?」
「その札をしっかり持って強く念じれば、札が光りだすわ。」
爽は目を閉じ、強く念じた。
「……………!」
すると、札が淡く光り出した。
「!光りました!」
「んー、まぁ普通ね。」
「そ、そうですか…」
「でも、これくらいあったら弾幕くらいは出せるんじゃないかしら?」
「本当ですか!?」
「ええ、試しに空に向かって手を向けて。」
「こんな感じですか?」
と爽は青空に向かって手を向ける。
「そう。次に、丸い玉をイメージして。」
「しました。」
「それが、手のひらから出てくると念じると出来るはずよ。」
「……とりゃ!」
すると、爽の手のひらから、拳くらいの大きさの赤白い玉が出てきた。
「わ!で、でましたよ!!」
「よかったじゃない!大きさは…まだ少し小さいけどね。」
「おー!今の弾幕は爽のか?」
「あっ、魔理沙さん!起きたんですね!」
「大丈夫だった?」
「あれくらいなんともないぜ!」
魔理沙はニカっと笑い胸をトンと、叩いた。
「そういえば、爽はスペルカードは持ってないよな?」
「え、はい。まだ無いです。」
「それなら、これをやるよ。」
そういうと、魔理沙は白い紙を取り出し、爽に渡した。
「これは?」
「これはスペルカードの素だぜ。これを持って意識を集中させると、自分のスペルカードが出来るんだぜ。」
「なるほど、やってみます!」
そういって、爽は先ほどと同じようにスペルカードの素に意識を集中させ、念じはじめた。
すると、スペルカードが光り出し、絵と文字が浮かび上がってきた。
「で、できました!」
「おぉ!やるじゃないか!」
「早速使ってみたら?」
「そうですね。使ってみます!」
「なら、私に向かって使うといいぜ!」
「魔理沙、大丈夫なの?」
「そうですよ。あまり無理をしない方が……」
「大丈夫だぜ!さぁやるぞ!」
というと魔理沙は箒に乗り、飛び上がった。それを見た爽は思った。
(あれ、どうやって飛べばいいんだ)
それを察したのか霊夢は爽にハシゴを渡し、
「爽はまだ、飛べないと思うから、とりあえず屋根に登ってそこから打てば?」
「……そうします」
屋根に登った爽はスペルカードを構えた。
「いきますよ!」
「いつでもいいぜ!」
爽はスペルカードに書いている文字を詠唱した。
並符「憂鬱の日々」
すると、スペルカードから青白い光の玉が扇形に広がっていき、魔理沙めがけて飛んでいった。
「ほい、ほい、ほいっと!」
魔理沙は、それを軽々よける。
「それが爽のスペカか。少し量が少ないが、初めてだからそんなもんだろう。」
「そうね、これから経験を重ねれば、強いスペカも作れるようになるわよ。」
「…そうですか。もっと強いものを作れるように頑張ります。」
でも、爽は彼なりに満足していたようだった。