教団の信者そして教団のアジトを燃やし尽くした少年はその後、無差別に街や村を放火していった。だがある時に少年はただこう思った。
少年「刺激がない………」
刺激がないと、生きたいと思える理由もない。だからこんなつまらない世界を生きるのが嫌になった。そしてこの世界と別れるため少年は自殺をはかった。ある時は槍で体を串刺しにしてまたある時は首を切った。だがそれでも死ねなかった。串刺しにしても首を切っても体は炎と共に再生をした。この時、少年は理解したのだ。力を得たがためにその代償として死ねなくなったのだと……
ポタン…ポタン……
何処からか水滴が落ちる音が聞こえる。そんな些細な音で玲音は目覚めた。
玲音「んっ………」
目を開けるとそこは狭く壁しかない部屋で目の前には分厚い鉄の扉そしてその少し上には鉄の格子がついていた。そして気がついたがガンブレードや服というか下着以外の身ぐるみは全部剥がされ下着だけとなっており手足は壁に設置されている枷で拘束をされていた。
玲音「………そういえば失敗したんだったな」
レミリア・スカーレットを捕獲出来ず失敗したのを思い出した。どうやらその後に自分はまんまと地下牢に収監されたのだと推測した。
玲音「ちっ…殺してくれたら良かったのによ…」
レミリアの槍で貫かれた時、自身の奥の手というか勝手に事故再生する呪炎は使い果たし、ようやく死ねると思った矢先にこれだ。
玲音「まぁ吸血鬼に血を吸われて死ぬのもありか」
こんな刺激もなく楽しくもない世界から別れを告げれるのならもう血を吸われてミイラになって死ねるのもありかと考えたが、
ガチャン!ギィーーーー!!!
と、地下で扉の開かれる音が聞こえたかと思うと足音が近づいてくる。そして自分がいる部屋の前で足音が止まると、
ギィーーーー……
と、重い扉を開けてきた。開けたのはここの館の門番だった。
門番「あっ目覚めていたんですね♪」
玲音「………何のようだよ?」
素っ気なく答えると目の前の門番は屈んでジーとこちらを見て、
門番「目覚めたのならお嬢様がお会いしたいよう
ですよ?」
玲音「ほう何だ?生き血を全部出すのか?肉を
解体するみたいによ」
門番「まさか…まずお話がしたいと」
玲音「なら伝えてくれお前から会いに来いってよ」
そう答えた瞬間だった。
ゴンッ!
玲音「痛っ!?」
突然、門番が自分の頭上にチョップをしてきた。しかもあまりにも強烈だったためか血が噴水のように出てきた。
玲音「何すんだてめぇ!」
門番「目覚めたのならお嬢様がお会いしたいよう
ですよ?」
玲音「だから行くわけ……」
ゴンッ!ボキッ……
玲音「だぁ痛っ!?」
また強烈なチョップをしてきた。更に頭蓋骨に少しヒビが入ったのか鳴っては鳴らない音が聞こえた。
門番「目覚めたのならお嬢様がお会いしたいよう
ですよ?」
血まみれの右手を見せてニコニコと笑顔で言ってくる。しかもRPGのNPCみたく同じことを言ってくる。恐らく壊れたラジオ作戦をやり続けてくるのだろうと思った。
玲音「行けば良いんだろ!行けば!!」
これは面倒だと思い仕方なく行くことにした。それを聞くと門番は、
門番「それではこれを」
そう言い黒い服を地面に置く。その服は自分が着ていた服ではなく執事服だ。
玲音「なぁ何で執事服なんだよ?」
美鈴「それしかないからだとか?あっ拘束は外し
ますが抵抗はしないでくださいね?」
玲音「するって言ったら?」
念のために聞くと門番はニコニコと笑顔で、
美鈴「目覚めたのならお嬢さ……」
玲音「もうそれはいい!」
拘束を外されまず玲音は蒼炎で頭を燃やし傷を再生させ渡された執事服を着る。
門番「似合ってますね♪」
玲音「そいつはどうも……なぁあんた名前は?」
名前を聞きそびれたため聞くと門番はニコやかに笑って、
門番「
玲音「答える名なんてわあ………」
美鈴はまたニコニコと右手を上げる。
玲音「玲音……雨月玲音だ……」
美鈴「玲音さんですね♪此方へどうぞ」
そう言われ玲音はジメジメと所々から何かの呻き声が聞こえる地下牢から出てレミリアの元まで案内された。そして一室に来ると、
美鈴「お嬢様、連れてきました」
レミ「良いわよ入って」
美鈴「失礼します」
扉が開けら先に入れと美鈴入れとジェスチャーされ玲音は中へと入り美鈴も中へと入ると扉を閉める。そして部屋には長いテーブルが設置されていて食事場所というのは分かる。テーブルの奥にはレミリアと拘束した魔女が座っており魔女の後ろには低級悪魔が立っていた。
レミ「よく来たわね♪まぁ座りなさいな」
そう言われとりあえず席に座り右足を左股に乗せる。そして美鈴は移動してレミリアの後ろに立つ。
玲音「で、何のようだ?てめぇを捕獲しに来た
奴をこんな所に呼び出してよ?」
レミ「ふふっ単刀直入に言うわ貴方、私の所で
使用人やらない?」
本当に単刀直入すぎる。何故ハントされる側の奴がハントする奴を雇うのだと。しかも使用人としてだ。
玲音「………聞きたくもねぇが何で俺、何だよ?」
レミ「ふふっ♪貴方は面白そうだからってのと
お父様の代の使用人達は皆もういないし
美鈴の負担も大きいから雇いたいのよ♪
それに貴方、フランを撃退出来るほどの
実力も持ち合わせてるし♪」
玲音「すまないが俺はこんな下らないことをしろ
ってなら地下牢で寝てるほうがマシだわ」
そう言うとレミリアはニヤリと笑って、
レミ「まぁ構わないけどそれで良いのかしら?
貴方その呪いのせいで死ねないのよね?
そうなると地下牢は暇で死にたくなるわ
よ?でも貴方は死ねないわよね♪」
玲音「このクソガキが……」
レミ「それに元々貴方がダークハンターやって
いる理由は死ぬ場所を探すためにやって
いるんでしょ?」
玲音「………そう思う理由は?」
レミ「貴方の戦い方……まるで自分ごと殺そうと
しているようにしか見えなかったからだ
けど?」
合っている。相手を掴み自分もろとも炎で焼く技はそういった意味も込められているのは確かだ。
玲音「そうだが?それが何か問題あるのか?」
レミ「……それは貴方のその肩の烙印のせいなの
かしら?」
玲音「………お前にそれを言う義理はない」
肩の烙印に手を置いてレミリアを睨む。この烙印は自分がどれだけ無力だったか。どれだけ弱かったのかの示す見せしめなのだから。
レミ「ねぇ貴方は自分を無価値だと思ってる?
無益で何の役にもたたないって?」
玲音「…………………だとしたら何だよ?」
レミ「ならこういうのはどうかしら?そうね貴方
3年ぐらい執事として働いてみてそれでも
自分が無価値、無益だと思ったなら貴方の
願いを聞き入れてあげるわ」
それを聞くと下らないと言わんばかりに、
玲音「そんなんで俺の自殺願望が消えるとでも?」
レミ「えぇ私は運命を見る力がある保証はする
わよ?」
ただ一転に此方を見る。その真っ赤な紅玉のような目で。そして魔女や低級悪魔、美鈴も此方を見てくる。
玲音「けっ………2年だそれで決める」
それを聞くとレミリアはクスリと笑って、
レミ「そう歓迎するわ貴方、名前は?」
玲音「名乗るなんて………」
レミリアに聞かれ答えるのも面倒だから適当に済まそうかと思ったが美鈴が笑顔で此方を見てくる。正直この女は面倒だと思った。
玲音「雨月玲音………」
レミ「そう♪それならって私はもう自己紹介は
いらないわね紹介するわ隣の魔女は……」
と、レミリアが紹介しようとするが魔女は本を置いて、
魔女「パチュリー・ノーレッジ……」
と、警戒心ありげな目で見てくる。そしたその後ろの低級悪魔は頭を少し下げて、
悪魔「あっえと…パチュリー様の補佐をしている
小悪魔です気安くコアで構いませんよ♪」
2人は名乗った。続いてレミリアは美鈴の紹介をしようとするが本人は大丈夫と言う感じで笑顔で首を横に振っていた。
玲音「そういえばてめぇ似のあの金髪の吸血鬼
は誰なんだよ?」
それを聞くとレミリアの顔は少し険しくなった。
レミ「あの子はフランドール・スカーレット
私の妹よ……」
玲音「ふ~ん妹ね」
これ以上聞くのは無粋と考え聞くのをやめた。そしてレミリアは玲音を見つめて、
レミ「それじゃ改めてようこそ紅魔館へ貴方を
歓迎するわ仮執事の玲音」
玲音「けっ………」
そうして玲音は紅魔館の執事となったのだった。
狗神「今回もありがとうな読者様方よ」
神楽「一応は仮執事なんですね」
鈴蘭「みたいだねでもこれが現在の駄執事になる
って誰も思わないよね」
狗神「というかよ彼奴のあの何だ?女だよな?」
神楽「見た感じ最初の頃の私みたいか方ですよね」
鈴蘭「いや多分神楽ちゃんの方がマシな気がする」
狗神「彼奴の名前が気になる」
鈴蘭「前にそれ聞いたんだけど内緒の一点張り
なんだよねぇ…ただ」
神楽「ただ?」
鈴蘭「何でも戦い方はダークソウルのボスキャラの
1人?をイメージしたとか?」
狗神「何じゃそれゃ」
神楽「ですが進んでいけば分かるって事ですよね?」
鈴蘭「多分ねおっともう時間だねごめんね読者様
怠惰ったら旅行に出ているせいで後書きに
出れなくて」
神楽「えっとそれではまた月曜日に本編でお会い
しましょうね♪それでは」
狗神「またな♪」