東方新記伝   作:黒鉄球

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こんちゃーっす。黒鉄球でーす。まずは前回の話が長文だったことの詫びです。なにせ前後編と予告してしまった為「収めねぇとやべぇだろ」と思ってやっちゃいました。申し訳ありません。と、謝っておきながら今回も長文です笑

本編スタート!


第七話 皐月の秘密と宴

 

 

 

皐月「……………知らない天井だ。」

 

目を覚ました俺の一言目はこの言葉だ。え?何故って?言わなきゃいけない気がしたんだよ。

 

皐月「まずは俺の頭部は……………回復してるな。相変わらずだなまったく。さて、目は…………見えねぇな。それに左腕の感覚もねぇ。って事はまだって事だな。」

 

俺はまず自分の怪我の確認をした。頭、目、腕の3つが吹き飛んだのは知ってる。痛みを感じる暇なく左頭部が飛んだのは不幸中の幸いだった。でなきゃ痛みでショック死するところだ。…………いや、死んだほうがまだ楽かな。まぁ確認した限りまだ完治してないみたいだ。

 

皐月「はぁ…………。相変わらず中途半端だなぁ、俺の自然治癒能力は。」

 

???「目を覚ましたんですか!!?」

 

何事かと思い頭を右に向けたらそこには長い赤髪で中華服みたいなのを着た女性がいた。

 

皐月「うぉっ!!?ビックリしたぁ!!ってなんだ美鈴か。脅かすなよ。ってか煩い。俺一応怪我人だし寝起きn美鈴「お怪我は!?えーっと、目は見えますか?!何処かに痛みは?!あとは、あとは、えーっと、えーっと………。」………人の話は最後まで聞きけよ。」

 

美鈴は冷静さを取り戻したのか俺に謝ってきた。

 

美鈴「ご、ごめんなさい。私その、と、とっても心配で。もし皐月さんがこのまま目を覚まさなかったらどうしようって………。」

 

今にも泣き出しそうなってか泣いちゃってるよこの子。

 

皐月「はぁ…………。心配してくれてありがとうな。でももうちょい静かにな?」

 

そういいながら俺は美鈴の頭を撫でてやった。………俺がガキの頃、あやされるときはいつも撫でてもらってたから同じことをしてやった。

 

美鈴「ふぇ?あ、あの、ちょっと、さ、皐月さん…………。」//////

 

お、おぉ。こいつの髪の毛さらっさらだなぁ。それに顔が少し近いからかいい匂いがする………。そんなことを思っていると扉が勢い良く開いた。ま、誰が来たのかは容易に分かったが。

 

みんな(美鈴を除く)「起きたのね(か)(ですね)!!」

 

皐月「……………うるさいぞアホ共。静かにしてくれるか?」

 

美鈴の頭を撫でながら同じことを言うと怒られた。

 

霊夢「どんだけ心配したと思ってんのよ!あんた三日間ずっと眠りっぱなしだったのよ?!」

 

皐月「3日?俺3日も寝てたのか。…………15食食い損ねたな。」

 

魔理沙「なんで1日5食計算なんだよ………。」

 

皐月「いや三日間寝てたって言うから言わなきゃなぁって。」

 

魔理沙「???」

 

うーん、分からないかぁ。やっぱり某海賊漫画ネタも通じないか。まぁ当然だよな。

 

咲夜「皐月さん、具合の方は?」

 

皐月「ん?あぁ。左目と腕が無いのを除けば問題ないかな?」

 

咲夜「そうですか………。良かった、とはあまり言い難いですわね。」

 

そんな顔しないでくれよ。俺がすげぇ悪いみたいじゃん。

 

フラン「………………。」

 

皐月「ん?おぉ。フランじゃねぇか。ここにいるって事は狂気はどうにかなったって事かぁ?いやぁよかったよかった。」

 

フラン「全然良くない!」

 

俺がそう言うとフランは大声で叫び、懺悔をするように俺に告げた。

 

フラン「全然、良くないよ………。私が、私のせいで皐月は、こんな………大怪我を…………。私の狂気が鳴りを潜めて、みんなと一緒に入れるようになったけどその代償が………こんな………。ごめんなさい………ごめんなさい。」

 

フランは泣いていた。多分俺が気を失ってる三日間もの間ずっと抱えていたのだろう。仮に俺が死んでしまったら全部自分のせい、狂気を抑えられなかった未熟者とそう思ったのだろう。俺もそこまで馬鹿じゃない。フランの気持ちは分かる。嬉しさ半分、悔しさ半分ってとこだろうな。俺の目が覚めた嬉しさ、俺の腕と頭が飛んだ自責の念。この2つが重なったんだろうな。こういう時ってどうすりゃいいんだっけ?

 

皐月「フラン、ちょっとこっちに来い。あ、美鈴ちょっと退いて。」

 

そう言われると美鈴は後ろに下がり、フランは俺の方に歩み寄ってくる。俺の真ん前に来た瞬間俺はデコピンを食らわせた。

 

皐月「えい。」

 

フラン「うにゃっ!?………って何するの!!」

 

わけもわからずデコピンを食らったので理由を求められた。だから俺はこう返してやった。

 

皐月「これがお前の罰だ。これでチャラ。これ以上の異論は認めないからな。」

 

フラン「え!?で、でもそれじゃあ私の………。」

 

皐月「気が収まらないってか?じゃあお前は一生背負え。自分のした事を悔いるのならそれを背負うのがてめぇの贖罪だ。気が収まっちまったらそいつは過去を忘れるのと変わらねぇ。罪の意識が無くなっちまうのと同じだ。忘れたら………何も残らないだろ?」

 

フラン「…………お」

 

皐月「お?」

 

フラン「お兄様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フランが意味不明なことを言いながら突っ込んできた。ちょっと待て!俺動けないんですけど!?

 

皐月「ごふぅ!!!?」

 

有無を言わさずタックル………というか抱きつかれた。そしてフランは俺の胸の中で泣いていた。

 

フラン「私…………絶対忘れないよ!自分の過去と向き合ってヒック…………い、いづがングッ……………克服じでみぜるがら!!!」

 

フランはずっと泣いていた。なんだか泣かせてしまった感が否めないから、贖罪になるかわからないけど俺はフランの頭をそっと撫でてやった。少しでも落ち着いてもらえるように。

 

 

 

 

皐月「ところでフラン。」

 

フラン「ん?にゃに?お兄様?」

 

そう、俺は一つ疑問に思っていた。それはこれだ。

 

皐月「その[お兄様]ってのはもしかしなくても俺の事か?」

 

フラン「うん!お兄様はお兄様しかいないよ!」

 

この日より俺はフランのお兄様に任命されました。ま、悪い気はしないからいいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー「少しいいかしら?」

 

パチュリーは神妙な眼差しで俺を見ていた。わかってる。多分俺の能力についてだろうな。

 

パチュリー「貴方のその能力、規格外すぎるわ。脳を治すなんてあり得ないわ。それにあなたの心臓なんだけど、一時的に止まってたのよ?要するに一度は死んだと言う事よ。なのに何故あなたは生きているのかしら?」

 

全員が気になってる事を全部言いやがって。まぁもう隠しきれるようなもんでもないし別にいいか。

 

皐月「俺の能力は[自然を操る程度の能力]。それがなんであれ[自然]に働くものを俺は操る事ができる。例えそれが自然治癒でも、自然災害でもだ。俺が雷を操れるのはそういう理由だ。」

 

パチュリー「でもそしたら辻褄が合わないわ。だって頭を飛ばされて死んだはずの人間が能力を発動して復活なんてあり得ないもの。不自然だわ。………!!!」

 

パチュリーは何かに気づいたような顔をした。流石だな。

 

魔理沙「え?パチュリーどうしたんだ?何がわかったんだ?」

 

パチュリー「皐月は人の傷を治したわ。でも果たしてそれは自然治癒能力なのかしら?」

 

魔理沙「だからそれは皐月が美鈴達の自然治癒能力を上げたからで………。」

 

パチュリーが溜息をついて説明した。

 

パチュリー「いい魔理沙?自然治癒っていうのはそれだけで体力を消耗するのよ?それが普通でそれが[自然]なの。咲夜は三日前にそこの巫女に倒され、重症を負ったはずよ。その時皐月が治したと咲夜自身が言ってたわよね?」

 

魔理沙「あぁ、それがどうし…………っ!!まさか………。」

 

気づいたか魔理沙。俺の能力の真髄が。

 

パチュリー「そう、咲夜は傷を治してもらった。仮に自然治癒能力の向上なら咲夜はそれと同等の体力を消耗するはずなのよ。でもそれはなかったんでしょ咲夜?」

 

咲夜「はい。消耗どころか体がすごく軽かったんです………。不自然なくらいに………。」

 

咲夜がそう言うと美鈴も同じことを言った。

 

美鈴「そういえば私も回復しもらった時すごく体が軽くなりました。普通ならダメージの蓄積もあるはずなのに………。」

 

こうなってくると、もう答えを言ってるようなもんじゃねぇか。てかパチュリーの頭の回転が早すぎてビックリなんだけど………。

 

パチュリー「皐月、貴方もしかして[自然の理そのもの]も操れるんじゃないかしら?」

 

皐月「……………そうだ。俺は自然を操れる。でも同時に不[自然]をも操れるのさ。しかも俺の意思とは関係なく発動するものもある。」

 

美鈴「それが……………体の再生、復活………ですか?」

 

皐月「そうだ。俺は死に直結する怪我を負ったら能力が勝手に発動して死なない程度に回復する。しかも超スピードで細胞の一つ一つから全てを。そして峠を越えたら今度は俺の意識が覚醒して怪我が治ってくってのがいつもの流れだ。どうだ?不自然だろ?でもこれが俺の能力の全貌なのさ。死にたくても死ねない、気付かれたくなくても気付かれ、そして[化け物]と忌み嫌われる。それが例え家族であったとしてもだ。だってそうだろ?そんな奴がいたら厄介者にするのが[自然]だからな。」

 

霊夢「あんたならそれを書き換えられたんじゃないの?その[自然]を操ればあんたは。」

 

皐月「みんなの輪に入れただろうって?そりゃ無理だ。」

 

霊夢「なんでよ!」

 

皐月「俺の能力の使えない所は[人の思う自然を操れない]ってとこでね。以前操ろうとして出来なかった。幾つかのパターンを試したけど駄目だった。それにほら、お前らの思う[自然]が変わってないのが何よりの証拠だろ?」

 

全員「!!!!」

 

皐月「だから俺はこの力が嫌いなのさ。」

 

…………………あーあ、言っちまった。俺としてはこの事はあまり言いたくなかったんだよなぁ。なんせ俺のこの能力を知った人間は皆が皆俺を[化け物]と呼び忌み嫌った。これでこいつらも…………。

 

美鈴「嫌いになったりしませんよ!」

 

皐月「!!!」

 

何言ってんだこいつ?今の話聞いてたのか?俺は死なないんだぞ?不自然な事を起こせるんだぞ?それなのに嫌わねぇってどうやって…………。

 

美鈴「だって皐月さんは私達の事を助けてくれたじゃないですか!自分が化け物だと思われるリスクを顧みず、私達の傷を治して、私の事を身を呈して庇ってくれたじゃないですか!!自分が死なないから、傷が回復することを知っているから、それを見られるリスクを顧みずに助けてくれたじゃないですか!!!そんな人を嫌いになれるわけないじゃないですか!!!」

 

涙を流しながら俺に向かって「嫌いになれるわけがない」………か。自然じゃない俺に向かって。そんな事を言われたのは生まれて初めてだ………。あ、あれ?なんだこれ?

 

皐月「……………本当に…………。」

 

やめろよ、こんなん恥ずかしいじゃねぇかよ。こんな………。

 

皐月「本当に…………俺を肯定してくれるのか?こんな…………[不自然]なこの俺を………。」

 

霊夢「当たり前でしょうが。そんなあんたの何を受け入れるなって言うのよ。全部受け止めるわよ。だから」

 

………………おい、霊夢。これは……??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「今は思いっきり泣いちゃいなさい。そんなあんたも私達は受け止めるから。ね?」ギュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――その瞬間、俺は思いっきり泣いた。すべてを忘れ、子供のように俺は泣きじゃくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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霊夢「落ち着いたかしら?」

 

………………一体どれだけの時間が流れたのだろうか?そんなことを忘れるほど俺は泣いていたらしい。しかもみんなに慰められながら。……………格好がつかねぇなこれじゃ。

 

皐月「……………あぁ。ありがとうな、霊夢、みんな。」

 

魔理沙「気にすんなって!私はどんなお前であっても受け入れるつもりだったぜ?だった私達はずっと前から[友達]なんだからさ!」

 

魔理沙はそうやって得意げに帽子を上げ、ニカッと笑った。まったく敵わねぇな。

 

美鈴「………………霊夢さんちょっと羨ましいなぁ。」ボソッ

 

咲夜「どうしたの美鈴?」

 

美鈴「え?あ、いや!なんでもないですよ!!」

 

咲夜「??そう。ならいいんだけど。」

 

フラン「美鈴顔赤いよ?大丈夫?」

 

美鈴「だ、大丈夫ですよ!何でもありませんよ妹様!!」

 

パチュリー「ま、聞こえてたけどね」ボソッ

 

なんの事がさっぱり聞こえなかったけど向こうは向こうで楽しそうだな。やっぱり命を張った甲斐があった。でなきゃこんな光景は見れなかっただろうからな。

 

霊夢「それで。その、怪我はいつ治るの?」

 

皐月「ん?さぁ?あと4日で腕は治るんじゃないか?」

 

俺とて完全に把握してるわけじゃない。突然治るからわからんのだ。

 

霊夢「なんかいい加減な能力ね。」

 

皐月「言うと思った。でも仕方ねぇだろ?そういう能力なんだから。」

 

霊夢と話をしていると扉をノックする音が聞こえた。その主はやはりあいつか。

 

レミリア「失礼するわ。」

 

皐月「やっぱりお前かレミリア・スカーレット。」

 

レミリア「普通にレミリアでいいわ。………見る限りじゃ大丈夫そうね。みんなと打ち解けたようだし。」

 

皐月「おいおい、それだと俺の何かを知ってるように聞こえるのは気のせいか?」

 

質問してみるとレミリアではなくフランが答えた。

 

フラン「お姉様の能力は[運命を操る程度の能力]なの。多分、お兄様の運命を見たんじゃないかな?」

 

皐月「なるほどね、つまり俺の未来予知をしていたって事だな。面白いことをする。」

 

レミリア「見たくてみたわけじゃないわ。寝てる最中に夢の中で能力が発動して今の光景が出てきたのよ。」

 

レミリアも大変なんだなぁってそうじゃなくて。

 

皐月「んで何のようだ?」

 

本題に入る。

 

レミリア「あなたに話があるのよ」

 

……………なんだろう?だがその疑問は一瞬で晴れた。

 

レミリア「あなたにお礼を言いたかったの。傷を負った美鈴と咲夜を治してくれたこと、パチェを助け出してくれたこと、美鈴を身を呈して守ってくれた事。そして我が妹フランを救ってくれた事。紅魔館の主として深くお礼と謝罪をするわ。ありがとう、そしてゴメンナサイ。」

 

………………知ってた。絶対謝罪が入ると思ってたよ。

 

皐月「またそれか。お礼はともかく謝罪なんていらん。俺の好きでやった事だ。だからお前は謝らなくていい。それでもなんかあるんなら一つだけ言わせてもらう。」

 

レミリア「ええ。なんでも言ってちょうだい。私はなんでも受け入れるわ。」

 

それじゃあ、と前置きをし俺は………。

 

皐月「もうこの件に関して俺に謝んな。ゴメンよりありがとうの方がいいからな。それに…………俺達はダチだろ?友としての頼み、聞いてくれるか?」

 

そういうとレミリアは照れ臭そうに笑った。

 

レミリア「分かったわ。貴方のお願い聞き届けるわ。と、友達ですものね。」//////

 

この日は泣いたり笑ったり照れたり、いろんな感情が巡る日となった。そして、皐月にとって大切な日になった8月3日であった。

そしてそれから4日後…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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皐月「え、偉い人数が来たもんだなおい。」

 

霊夢「ふふふ、いつもの事よ。あんたの歓迎会でもあるんだからあんたも楽しみなさいよ?」

 

8月7日、異変解決祝い&皐月の歓迎会が行われた。そこには魔理沙がいて、紅魔館組がいて、そして初めて見る人たちが沢山いた。よくここまで集まったものだと感心する皐月。

 

皐月「しっかし、よくまぁこんなに………。」

 

霊夢「みんなお酒が飲みたいだけよ。いっつもこうなんだから!」

 

少し呆れつつ、でもちょっと楽しそうな霊夢。そして…ろ……それをいじる魔理沙。

 

魔理沙「とか言ってお前も飲みたいくせにぃ。なぁに自分だけ清純ぶってんだよこのこの〜。」

 

霊夢「んなっ!そんなんじゃないわよ馬鹿!………いいわよ、飲んでやるわよ。」

 

魔理沙「お、そう来なくっちゃな!皐月!お前も飲むだろ?」

 

皐月「少しもらう。飲んだ事ねぇけど。」

 

そして三人はお猪口に酒を汲み、そして。

 

魔理沙&霊夢&皐月「異変解決を祝して……………乾杯!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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結構人が来た事には驚いたがまさかただの集りだったとは。まぁ楽しいからいいけど。ん?誰かこっちに来る。

 

???「君が神条皐月君か?初めましてだな。私は上白沢慧音という者だ。人里の寺子屋で教鞭をとっている。」

 

皐月「ご丁寧にどうも。ん?寺子屋?って事は先生なのか。」

 

慧音「ああそうだ。子供が好きで色んなことを教えていくうちに寺子屋で………そうだ。今度うちに来てみてはもらえないだろうか?外の世界の話を子供達に効かせてあげてほしいのだが………駄目だろうか?」

 

皐月「いんや、断る理由がないしここの学校がどんなのか気になるしお邪魔させてもらうよ慧音さん。」

 

慧音「ふふ、慧音でいい。それじゃあヨロシク頼むよ、皐月。」

 

そういうと慧音は霊夢たちのいるとこに向かった。それにしても教師か……。俺の知ってる教師はあんなに優しい人はいなかったな。ここな子達は羨ましいな。ん?また誰か来た。

 

???「アンタ!あたいと勝負しろ!さいきょーなあたいがあんたの力を見極めてやる!!!」

 

???「や、辞めようよチルノちゃん……。この人すごい微妙な顔してるよ………。」

 

いきなり勝負を挑まれたわ。なんだこのちっこいのは。……………見た感じ人じゃないよな。羽根生えてるし。

 

大妖精「あの、私大妖精って言います。皆からは大ちゃんって呼ばれててこの子は………。」

 

チルノ「アタイはチルノ!この幻想郷でアタイはさいきょーなの!だからアタイがあんたの実力、見極めてあげる!!」

 

非常に面倒臭い子だなこの子は。つーか最強なのは霊夢か紫さんくらいなもんだろ。とは言えんなこと言ったらさらにめんどいししゃーないな。

 

皐月「アンタじゃねぇ。皐月だ。さいきょー様が態々出向くのには不足過ぎるから他当たってくれるか?「勝負!」って聞かねぇか。ならしょうがないな。」

 

チルノが突進してくるので俺は能力で力を少し上げ、デコピンで吹っ飛ばした。

 

チルノ「うぎゃああああああああああ!!!!」

 

大妖精「チ、チルノちゃん!あ、えっと、ご迷惑をおかけしました!!!待ってぇーチルノちゃーん!」

 

なるほど、大ちゃんは⑨のお守役なのか。大変そうだな。ん?なんで⑨なのかって?だってバカ正直に真っ正面から突っ込んでくるんだもん。⑨だろ?あ、また誰か来た。魔理沙と…………誰だ?

 

魔理沙「アリス!コイツが皐月だぜ!」

 

アリス「初めまして、私はアリス・マーガトロイドよ。名字じゃ長いから気軽にアリスって呼んで。」

 

短い金髪に赤いカチューシャ、紫の入ったドレス、それになんか傍らに人形が浮かんでる。

 

皐月「初めましてだな。俺は神条皐月だ。俺の事も皐月でいい。ヨロシクな、アリス。それよりその浮いてる人形は?」

 

気になったので聞いてみた。

 

アリス「この子は上海。私の作り出した人形で、私の[魔力]で動いてるの。」

 

上海「シャンハーイ」

 

皐月「よろしくなー。ん?魔力?って事はお前魔法使いか!?」

 

アリス「ええ、そうよ。[七色の人形遣い]って二つ名で通ってるわ。」

 

七色の人形遣いね。なるほど、人形を操るのか。なかなかに強そうだな。雰囲気からも分かるけど。」

 

アリス「魔理沙から色々聞いてるわ。[初めて私を負かした外来人がいる!]って聞かされたわ。それに、あなたの正体も。」

 

普通なら照れてるとこなんだが最後のが聞き捨てならん。

 

皐月「魔理沙?お前…………。」

 

魔理沙「え!あ、いや!よ、良かれと思ったんだよ!そ、それにと、友達だし言ってもいいかなぁ、なんて…………。」

 

全くこいつは口が軽いから困るな。まぁでも隠す必要ももう無いし別にいいか。

 

皐月「別に怒ってねぇよ。俺の秘密に関してはな。」

 

はいそこ安堵しない。まだ話終わってないんだから。

 

皐月「俺が怒ってんのは勝手に言ったってとこだ。勝手にバラすな。せめて一言あっても良かっただろ。」

 

魔理沙「わ、悪かったよ………。だから、その手を引っ込めてくれると有り難い……………。」

 

間違ったことしたんだから当然報いは受けろよ?

 

皐月「問答無用だぜ、魔理沙ちゃん?」

 

魔理沙「笑顔でアイアンクローするなぁ!!…………っていだだだだだだだ!!!!!」

 

アリス「ふふふ、あなた達中がいいのね。」

 

皐月「当然だろ?俺たちゃ友達だからな。」

 

魔理沙「ならもうちょい手加減してくれよ!」

 

こうして魔理沙は頭を抱え、アリスは呆れた顔をして霊夢の方へ行った。アイツら仲いいんだろうな。さて、俺はそろそろ向こうへ行くか。

 

そう言って皐月は紅魔館組のいるところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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早く会いたい。そういう衝動に駆られる日が多い。………………どうしちゃったんでしょうか私は。[彼]が博麗神社に行ってからというものずっとこんな調子、門番にも集中出来ず、寝ることも出来ず………。本当に何が…………。まだ出会って一週間しか経っていないのに、別れてからまだ二日しか経っていないというのに。

 

フラン「あ、お兄様だ!!!おーい!!!」

 

美鈴「!!?」

 

か、彼がここにくる!ど、どうしましょう。私は一体何を………。へ、平常心、平常心。

 

皐月「よぉお前ら、2日ぶりだな。元気にしてたか?って傘?」

 

レミリア「私達は吸血鬼なのよ?日光が当たったらとんでもない事になるじゃないの。」

 

皐月「あ、そっか。」

 

美鈴(し、失念してたんですか?凄い人なのにどこか抜けてますね…………。でもそこもなんと言うか……。)/////

 

皐月「ん?どうした美鈴ぼけぇっとして。………まさか熱でもあるんじゃねぇのか?」

 

そうして皐月は美鈴の額に自分の額をくっつけて熱を図りだした。予想だにしていなかったため美鈴は固まってしまった。

 

美鈴「!!!!?」

 

皐月「うん?熱はないみたいだけど………大丈夫か?」

 

そう言って額を離す皐月。

 

美鈴「あ………。」

 

ちょっと残念そうな顔をする美鈴。そして傍からそれを見てニヤニヤするレミリア。

 

レミリア「どうしたの美鈴?名残惜しそうな顔してるけど何かあったのかしら?」ニヤニヤ

 

美鈴「お、お嬢様!!?な、なんでもありませんよ!!」

 

皐月「何でもないってなにが?」ヒョコッ

 

美鈴「なんでもないですってば!!!」

 

そう言って勢いで皐月にグーパンを食らわせてしまった。

 

皐月「あべし!!!」

 

そして吹っ飛んで気を失った。

 

美鈴「あ、ご、ごごごゴメンナサイ!!!!だ、大丈夫ですか!!と、取り敢えずちゃんと寝かさないと…………。」ハワワワ

 

咲夜「ふふふふふふ、面白いことになりそうですわね。」

 

同様に昨夜も面白がっていた。だがそれはレミリアのそれとは違うものだということはまだ誰も知らない。

 

 

 

そしてこの日皐月は終盤に目を覚まし、美鈴にめっちゃ謝られたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「よろしかったのですか?彼に会わなくて。」

 

紫「いいわよ、会う機会なんてそれも永遠にあるのだから。ふふふ、また会いましょうね、皐月くん?」

 

 

 

 

 

 

 




皐月「ここが人里ねぇ。いいとこだなぁ。」

慧音「それでは頼むぞ皐月[先生]。」

霊夢「あいつ大丈夫かしら………。」

紫「過保護ねぇ。」


次回 : 皐月と寺子屋

皐月「何という無茶振り………。」

慧音「まぁなるようになるだろう。」

???「そうだぞ皐月。」

皐月「いやあんた誰だ!!?」


作者「また次回お会いしましょう。感想、お気に入り登録どしどしお待ちしております。」

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