モノクマが笑い。僕は涙した。
みんなは状況についていけずにいた。
「最原……どういうこと?」
春川の質問に最原は答えた。
「そもそも僕たちは自分の意思でコロシアイゲームに参加したと白銀さんは言ったけど、それはおかしいんだ。いくらコロシアイゲームが娯楽になっていても実際に人の記憶を操作して殺し合わせ、視聴者が見るなんて国が許すわけがないし、いくら何でも実際に参加したいと僕たちが思うわけがない。だって死ぬんだよ?」
僕の疑問に皆はうなずいた。
「春川さん。新世界プログラムは絶望の残党を更生させるシステムだったよね?」
「……えぇ」
「そしてこの世界も新世界プログラムと同じ、もしくは似た世界だ」
「……」
「じゃあ、なんで視聴者なんて存在するんだ?」
「それは……」
春川さんが言い淀む。僕は構わずに続ける。
「僕たちはなんでここにいるんだ?」
僕の問いに誰も答える人はいない。
だから、僕は答えた。
「僕たちは―――刑罰を受けているんじゃないか?」
みんなは目を見開いた。
「刑……罰?」
「そうだよ。春川さん」
僕は俯きながら言った。
「僕たちは大なり小なり、罪を犯しているのかもしれない。僕たちは絶望の残党で、希望から刑罰を受けている―――かもしれない」
「なんですって?」
「なんじゃとう!?」
全員が驚愕する。
「全員がどういった経緯なのかわからない。けれども、心当たりがある人はいる」
「―――ッ」
そう言って僕は春川さんと入間さんを見た。
「入間さんは人に恨まれそうな性格をしている。真宮寺くんは人を殺していた。そして春川さん…君は―――」
「―――超高校級の殺し屋」
春川さんを爪を噛んだ。
「…そう、僕たちは絶望の残党で、希望側から刑罰を受けている。そうじゃなければ視聴者がいるわけがない。どうなんだモノクマ……答えろ!」
僕は強く叫んだ。
「僕たちは53回も同じコロシアイゲームをして、終わるたびに生き返らせては記憶を操作しているんじゃないか! 答えろ」
「……」
少しの間があった。
「うぷぷぷぷぷぷ」
モノクマは笑い出し、
「はーはっはっはっはっはっは」
景色が歪んだ。
絶望が現れた。
目の前に―――江ノ島盾子がいた。
「まさか真実にたどり着く勇者がいるなんて…考えもしなかったわ」
「―――江ノ島―――盾子ッ!」
「そんな――死んだはず」
「ん? 死んでいるわよ?」
江ノ島は事もなげに言った。
「現実に存在していた私も、絶望の残党を絶望させようとした私もいない。私はそのコピーね」
「コピー?」
「そう。貴方たち絶望の残党を罰するためだけの存在、そういうプログラム」
「なッ!?」
「まぁ、私的には絶望させれば誰でもいいって感じだし、結局のところ貴方たちが二人になったら復活させて記憶消して54回目のコロシアイゲームするつもりだしぃ」
「私たちがコロシアイゲームをすると思っているの?」
春川さんが殺気を籠める。
「別にぃ、強制的にやめることは可能だし、私的にはもう54回目に移行してもいいんだぁ」
「―――ッ」
春川さんが悔しそうにする。
「いやぁ、まさか真実にたどり着くとはね」
江ノ島は呟いた。
「春川はクロとして死ぬことが多いんだよね。そして最原とキーボは最初に殺されやすいんだ。最原は探偵だからさっさと殺した方が良いと判断されやすいし、キーボは罪悪感がでにくいから殺される。夢野も途中で死にやすいんだよなぁ。だいたい最後に生き残りやすいのって獄原と百田、天海、茶柱なんだよねー。特に最原が最後まで生き残ったのは今回が初めてだよ。頑張ったね。偉い偉い」
江ノ島は笑顔で言った。
僕たちは絶望するほかなかった。
たどり着いた真実。それはとても残酷で、知らない方が良かった真実。
こんな真実に立ち向かえるわけないよ……赤松さん。
「じゃ、今回はここまでということで54回目に行きましょうか!」
江ノ島は元気よく片手をあげた。
あぁ、もう一度―――始まってしまうのか。
―――大丈夫。
残り7日7話
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明日はきっと熱い展開! 私が一番やりたかった展開!