「黒幕は―――お前だろう。モノクマ」
「え、ボク? どうして?」
僕の言葉にすべての視線がモノクマに集まった。
「うぷぷぷぷ。いくら黒幕がわからないからってボクを指名しても意味ないよ?」
「いや、犯人を指名することはできない。―――多すぎるんだ」
「多すぎるって――最原! もしかして」
「あぁ、黒幕は視聴者……もっと言うには関係者だ」
「関係者じゃと?」
夢野が最原に言った。
「この世界は不自然だ」
「不自然ってなんですか?」
「死体の痕跡が完全に消えること、記憶が弄られる環境、そして―――虫がいないこと」
「………」
「虫がいないことは不自然すぎる。どれだけ地球の環境が壊れようと、どれだけ人の手を尽くしても―――――虫一匹もいないのはありえない。ましてや、草むらがあるんだ。虫がいないことは不自然だ」
「……」
「この世界は絶望の残党を更生させた新世界プログラムと同じ世界なんじゃないか?」
「……」
モノクマは黙ったまま、しかし、春川が言った。
「つまりここは電子世界ってこと」
「うん。そうだよ」
「ということは、現実世界ではみんな生きているということか!?」
「………うん」
僕は少し間をあけて肯定した。
「もう一つ、電子世界の可能性を示すことがある」
僕はさらにモノクマに追い打ちをかける。
「アンジーさんが蘇りの儀式をしたとき―――お前は絶対に確実に人を甦らせれる―――と言ったな? つまりはここが電子情報だからじゃないのか?」
「……ザナドゥ!」
モノクマはたじろいた。
「なるほど……そういうことでしたか。さぁ、モノクマ、真実を解き明かしました。僕たちを開放してください」
「そうじゃぞ。解放しろ!」
キーボと夢野は希望に満ち溢れた。
けれども、僕は―――絶望した。
この世界に希望がないことを―――理解した。
「モノクマ―――僕たちは…何回目だ?」
僕はモノクマに問いかけた。
「何を言っているんですか? 最原くん」
「少し静かにしていてくれ。キーボくん。……モノクマ―――答えろ」
「……53回目だよ」
「そうか…もう一つ―――僕は―――僕たちは何をしたんだ」
春川、夢野、キーボ、白銀、入間は最原の言葉が理解できなかった。
しかし、モノクマは理解した。
理解して―――
「ぶひゃーひゃひゃひゃっひゃひゃひゃーーー、ぶひゃーひゃひゃひゃっひゃひゃひゃーーー、ぶひゃーひゃひゃひゃっひゃひゃひゃーーー、ぶひゃーひゃひゃひゃっひゃひゃひゃーーー」
笑った。
モノクマの哄笑に、最原以外の全員が悪寒を感じた。
「最原くん! 理解したの? どう絶望した!?」
あぁ、そうか―――と最原は絶望した。
残り8日8話
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次回あたりから解答編が始まります。