ある鎮守府のエンゲル係数   作:ねこまんま提督

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現在(2017.02)進行中のイベントのE-3攻略のお話です。
ネタバレというほどのものはありませんが、見たくない方は回避して下さい。


大井と牛にんにくの焼きめし

「春も、もうすぐなのかなあ」

 

出撃していた艦娘を待つ埠頭で、提督が小さくつぶやいた。

 

この鎮守府も、大規模作戦としてウルシー環礁に発見された敵大規模泊地への攻撃を行っていた。

 

そして、そのほとんどの攻撃を跳ね返されて資源も尽き、攻略をあきらめかけていた最後の出撃によって……。

 

ようやく、「深海双子棲姫」を撃沈した。

 

この鎮守府では、他の有力な鎮守府が敵撃破に成功した後に、完全復活していない状態を狙って攻撃する「乙作戦」での作戦遂行だったが、ともかく一応の作戦成功となった。

 

 

まず、最初に鎮守府に帰還したのは、支援艦隊の艦娘たち。

超長距離から、見事な支援砲撃を決めた、大和、武蔵、イタリア、ローマ、夕立、時雨だ。

 

「提督が改修してくださった46cm三連装砲、とても照準しやすかったです」

「この試製51cm連装砲、よくここまで改修したな。当たるとは思わなかったぞ」

「アメリカの砲はすごいわね。初めて支援で直撃できました」

「このドイツのレーダー……もらっちゃダメかしら?」

 

犬のようにまとわりつく、観測用レーダーを満載した駆逐艦娘2人をあやしながら、提督は戦艦娘たちに慰労の言葉をかける。

 

 

次に、連合艦隊の第一艦隊が帰還する。

金剛、榛名、アイオワ、ビスマルク、千歳、千代田。

 

「うー……日頃の無理がたたったみたいデース……」

「被弾してしまいました……申し訳ありません」

「oh shit! うぅ…」

「私が一番ですって? 何言ってるの、あたりまえじゃない!」

 

(一隻を除いて)満身創痍の戦艦群。

それに続いて、盛大に被弾してほぼ半裸状態にまで艤装が引き千切れた、千歳と千代田が埠頭に上がってくる。

 

「飛行甲板、やられちゃいました」

「痛たたたたぁ……後で、提督の膝枕を差し出すのよ!」

 

「ともかく、金剛と千代田は即入渠! バケツを使って、次はビスマルクと千歳!」

 

提督があわてて修復の指示を出す。

 

「ほいさっさー!」

 

埠頭で待機していた漣が、手押し台車の上にバケツ型の容器に入った高速修復材をのせ、お風呂場へと運んでいく。

 

 

さらに帰還したのは、連合艦隊の第二艦隊。

 

「阿武隈、ご期待に応えました!」

「やったなぁ!」

「雪風、また生還しました! 司令のおかげですねっ」

「や~りま~した~」

 

阿武隈、摩耶、雪風、綾波だ。

ほとんど無傷な4人に安心し、提督は上着を千歳に被せようとするが……。

 

「まあ風呂もいいよね~。ね、大井っち?」

「そうですね、北上さん♪ 提督、人が激戦から帰って来たのに、千歳さんと何イチャイチャしてるんですか? 魚雷、撃ちますよ。いいですね?」

 

千歳、千代田に負けず劣らずの半裸状態にまで被弾しているハイパーズ。

 

「あ、北上、お疲れ……わ、待って、大井、これは違うよ?」

 

そして、千歳に上着をかける提督の手を、微笑みながら大井がねじ上げた。

 

ボロボロになり、かろうじて自分の手で押さえていた大井のスカートが、提督に手を出したことで風に舞う。

 

「痛い、痛いし、大井! スカート落ちてる! 見えてるから、千歳よりマズイことになってるから手で隠しなさい!」

 

 

ようやく落ち着かせ、ジャージに着替えさせた大井に、提督は庁舎のキッチンで食事を作っていた。

 

「ごめんなさ~い、提督。私ってば、早とちりして♪」

 

「いや、それより、今回は本当にありがとう。北上が夜戦の始めに大破って無線があったときは、もうダメかと思ったよ」

 

今回の戦いで「深海双子棲姫」を撃沈したのは大井だ。

 

「雪風ちゃんが、先に物凄い雷撃を叩きこんで、動きを封じてくれたおかげですけどね」

「あ~……うん、大井には申し訳ないけど、MVPは雪風かなぁ……」

 

「いいんですよ♪ MVPが他の子でも、提督が私と北上さんの他に何十人とケッコンしてようと、別に気にしてませんから♪」

 

あ、これはダメなやつだ、と察した提督は恐ろしくて振り返れない。

ちなみに、今回の出撃艦隊は支援も含めて全員がケッコン艦だ。

 

中華鍋を弱火にかけ、スライスしたにんにくをゆっくり炒め、油に香りを移したら取り出す。

続いて牛のこま切れ肉を入れ、肉の色が変わったら、みじん切りにしたねぎを加える。

 

「けど、この鎮守府の艦娘以外に浮気したら……酸素魚雷40発いきますからね」

 

提督は鍋にご飯を加え、一気に鍋をふるってご飯をほぐしながら、炸薬490kg×40発の威力を計算する。

 

TNT火薬換算で20トン以上の爆発力……。

この鎮守府ごと消し飛ぶだろう。

 

「そんなことしないってば」

「ならいいですけど」

 

鍋に酒をふり、濃厚な再仕込み醤油をまわしかけ、塩こしょうで味を調え、にんにくを戻して混ぜ合わせる。

 

「はい、牛にんにくの焼きめし完成」

「ありがとうございます♪」

 

大井はスプーンをとり、焼きめしを食べ始める。

 

にんにくの香りをたっぷり吸いこんだ牛肉の旨味と、それに負けない濃い目の味付けの米の味を堪能する。

 

そこに、大淀がやって来る。

 

「提督、持ち帰った「深海双子棲姫」の残骸を基に建造を行ったところ、イ13とイ14が建造できました」

 

「え? 新しい艦? …ちっ、また邪魔な娘が……」

 

大井が小さく舌打ちする。

 

「ん、何か言った?」

「いえ、なんでもないの」

 

大井は提督の問いにしらばっくれて、焼きめしにスプーンを戻すのだった。




ようやく冬イベントの攻略、掘りともに完了しました。
連合艦隊に基地航空隊、支援マシマシでの掘りで資源が吹き飛びました。

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