オオカミが襲いかかってくる。
俺も現実ではテレビの番組でしか見たことはなかったのだが、オオカミの主な生息地は寒冷地域だった気がする。
「うおっ!?」
と考えた一瞬の隙をついてオオカミに腕を引っかかれてしま・・・
「いってぇぇぇぇぇえ!?」
腕に爪が刺さって血が出てくるガラスで抉られたかのようにズキズキとした痛みが走る。
俺はリアルすぎる痛みに腕を抱えて倒れ込んでしまう。
体勢を崩した俺をオオカミは前足で抑え込み俺の頭に顔を向ける。
むわっとした生温かくそれでいて生臭い息が鼻に入る。
「くっ、メラ!」
俺は吐きたい気持ちを抑えなんとかメラを左手から放つ!
キャイン!
胸に火球があたりオオカミは仰け反った。
「う、うおおおおおおお!」
俺はオオカミを大声を上げながら左腕で突き飛ばす。
俺の右腕からはまだ血が流れ痛みは続いているがそんなことを気にしていたら俺が喰われる!
突き飛ばされたオオカミは俺の方向を睨み付けつつ俺に攻撃する隙を狙っている。
攻撃される前に殺す!
「バギィ!!!」
オオカミに向けて翳した左手から無色透明だが太陽の光でかろうじてわかる刃が三つ飛び出し、オオカミの身体を切り刻みオオカミは断末魔の叫びを上げながら倒れ伏した・・・・・とオオカミの身体が光り出しその場に何かを残して消え去った。
「いてててて・・」
俺が痛みに耐えていると、だんだんと傷が塞がりだした。
「?俺は今回復魔法とか使ってないはずだし、そんなスキルは無かったはずだが・・・?」
と俺が不思議に思ってステータスを見ると、こんな表示があった。
【フィールド効果:セイレン島の恵み】
戦闘を行っていないとき、だんだんと体力が回復する。
ただし、建物内・洞窟内は効果が発動しない。
フィールド効果か・・・セイレン島の恵み・・・ん?セイレン島?
セイレン島って確か、イースⅧの舞台じゃ・・・・
「ってことはアドルが見つけてくれれば俺は助かるのか・・・・・?」
俺はこのことに喜んだが・・・・・
「でも、アドルがここに流れ着くのっていつだっけ?というか、いまはいつの時代なんだ?ダーナとかの時代だと俺詰むぞ・・・・」
もしここがイースⅧのセイレン島だとしてもアドルたちが来るのがいつか分からない限りは楽観視できない。
ダーナの時代だと隕石衝突の余波で俺が死にかねんし、アドルたちが諸々の出来事が終わって出港した後だと俺絶対にこの島からでられねぇ・・・・
「もしかして、俺詰んでる・・・?」
お先真っ暗だな・・・俺の転生ライフよぉ・・・・・
初戦闘の後の疲労感と空腹と最悪の未来を想像してめまいがしてきたぜ・・・