結果的には、俺たちはサラ教官から前借で給料をもらうことに成功した。
ただし・・・・・・・
「手合せかぁ・・・・」
(あの教官だからな。教官の立場からすると生徒相手に全力で戦うことは出来ないだろうし、ましてやリィンたちはひよっこだからな)
「いちおう、僕も対人戦の経験はいくらかあるけど・・・・・」
(なぁ、提案があるんだが・・・・)
「ん、なに?」
(今回の手合せ、俺にやらせてくれないか?)
「え、どうやってやるの?」
(お前が俺と意識を交代すれば俺がお前の身体を動かせるようにはなるぞ?この身体は俺とお前で共有しているようなもんだしな)
「うん、わかったよ。けど、何を使うの?」
(任せておけって、俺にも俺なりの考えがあるし)
俺はそう言って、神様と話しをすることにした。
―――うむ。お主の頼みは出来るだけ聞いてやるが・・・何が欲しいのじゃ?
(俺に・・・と・・・の技を使わせてほしいんだ。あとは、練習場所かな?)
―――了解した。では、クリスが寝ているときに使えるようにしておくぞ。・・・はお主が呼び出せば使えるようにしておく。
(ありがとうございます。)
―――よい、儂らにも原因はあるしの。
そして午後―――
「では、これから高位魔獣に対する講義を務めさせていただくクリスです。みなさんよろしくお願いします!」
「今回の講義で話をするのは、近年増加しつつある≪結晶病≫についてです。結晶病とは高濃度の七耀石の力場に長時間身を置くと発病します。
感染が確認されてから数日すると全身に黒と紫の入り混じった結晶が生えはじめ、何もしなければ発病後数か月で衰弱死します。
また、高位魔獣の分泌物にも結晶病を誘発させる物質が含まれており高位魔獣と準備なしに戦闘を行うのは大変危険です。
高位魔獣は七耀石を摂取しないため、通常なら魔獣の死亡と共に土に還るはずの七耀石は地面に散らばり、様々な七耀石が結晶となることであたりに特別な力場が発生します。
このような場所では通常よりも導力魔法の効果が高くなりやすい分、≪結晶病≫に罹患しやすくなります。
僕が務めていたフェンリルの直属の部隊は対結晶病のワクチンを常備することで隊員が結晶病に罹患するのを防いでいます。
このワクチンを定期的に摂取すれば結晶病をある程度抑えることが出来るんですが、完全に回復することはなくやはり数年後には死亡してしまいます。
レマン自治州から派遣された医療チーム≪フライア≫ではラケル・クラウディウス博士が中心となって結晶病の治療・治療法を研究しています。」