ドワーフの酒蔵   作:爆焔特攻ドワーフ

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閃の軌跡×GOD EATER 15

そこは暗い部屋だった。

部屋の真ん中には導力ランプが灯っているがその光だけでは部屋を完全に照らすことは叶わなかった。

 

その部屋には一人の帝国軍人が縄で椅子に括り付けられていた。

その帝国軍人いや彼は頬は痩せこけ憔悴しきっていた。

 

彼は何かの音に気付いたのか、顔を上げると部屋の扉が開き誰かが入ってきた。

カラコロと何かが回る音を聞き、薄らぼやけた視線の先には――――金髪の淑女がいた。

金髪の淑女―彼女―は彼の顔を両手ではさみ唇を彼の耳に近づける。

彼には彼女がまるで空の女神のように思えた。

 

任務中見知らぬ男に襲われ、意識が戻った時にはこの部屋で椅子に縛り付けられていて、この部屋には窓もなく意識を失ってから何時間経ったのかもわからず声を挙げても誰もやってこない。

声も枯れ果て体力も殆ど無くなったとき彼女は現れた・・・まさしく彼女は自分を助けるためにやってきた空の女神の使いではないだろうか!

 

そんな事を考えていると彼女は自分に向かって微笑みそして――――――――――痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイィぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!

 

 

彼はその瞬間を見なかったから幸せだっただろう。

彼に向かって妖艶な笑みを見せた彼女は注射器を取り出して彼の首筋に突き刺した。

 

何かを撃ち込まれた彼の身体は突如として震えだし――――頭が弾けた。

脳漿や眼球、夥しい量の血が彼女に掛かったが彼女には嫌悪感はなく、そこには不満の色があった。

 

 

「あぁ、なんで人間はこんなに脆くて弱弱しいのでしょう?やはり試作品程度では耐えられませんか・・・。どうにかして、あの方が満足するような個体を見出さねばなりませんね。」

「世界の終焉を齎しましょう。」

「ええ。『私』の願い私が叶えましょう」

そう彼女は呟くと唇に付いた血を舐めとり車椅子を動かしながらその部屋を出て行った。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

帝都・ヘイムダルのバレッド地区

そこにあるフェンリル帝都支部の執務室では白髪の男性が大量の資料を広げて唸っていた。

「やはり、これは事実なのかねぇ・・・高位魔獣が集まるところには何かしらの大事件が発生するというのは?普通だったら噂程度の物なんだろうけどこうも事実が上がっているとなぁ・・・」

唸っていると、扉が開き金髪の白いコートを着た男性が部屋に入ってきた。

「ペイラー。やはり、最近の帝国全土で高位魔獣の発見・遭遇報告が増えているのには何かしらの関係があるのかね?」

「おそらくその可能性は高いだろうね。でも、僕たちが帝国政府に訴えかけたところで信じてはもらえないだろう。ただでさえ帝国政府からしたら僕たちは共和国のスパイだと思われているだろうし潰されかねない。」

「しかも、最近ではフライヤで怪しい実験が行われていると雨宮君から報告を受けている。先にこちらを片付けて置かなければのちに厄介なことになるだろう。

「しかし・・・・・本物とは違うとはいえあちらの世界で確認されていた堕天種や神融種までいるとは・・・・・。」

「私はそのとき既に死んでいたが、まことに厄介な事案だなこれは。」

「そうだね、ヨハン。まさか、時空を超えて全く知らない世界に来てしまうとは僕は夢にも思っていなかったよ。」

「問題はペイラーだけではなく既に死んでいるはずの私や、神機や機材までここに移転してしまっている ということだな。」

「安心できるのは、こちらに来てから神機は一切稼動していないどころかアラガミ関連の素材が暴走を起こさないことだけかな。」

「アラガミ・・・いや、高位魔獣か。 現在のところ小型しか確認されていないようだが、中型や大型が出てくるとなると早急に新たな対抗する武器を作らなければならないな。」

「僕たちの時には完成していた神機兵を作りたいところだけど、あれは生産コストが高いうえに、アラガミの合成筋肉を使用しているからこちらでは作成が不可能なんだよね。」

とペイラーが呟くとヨハネスは懐から一枚の報告書を取り出しペイラーに差し出した。

「・・・これは?」

「・・・・・最近、ルーレのラインフォルト社のある制作チームが妙なロボットを作っていたらしくてな。潜り込ませておいた工作員から伝えられた情報だ。」

「・・・ほう、これは使えそうだね。よし、早速開発部に回してみるよ。」

「頼んだぞペイラー」

彼らの話合いはそのあとも続き、金髪の男性の息子が呼びに来るまで終わることはなかった。

 

 


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