それはⅦ組が結成されたすぐ後のこと。
教室に戻った際にサラ教官からエリオットの「死にかけた」という言葉について聞かれた。
クリスとユーシスを除いた全員からサラ教官に抗議の声が上がり、慌てたサラ教官はエリオットに重傷を負わせた魔獣についてリィンに尋ねた。
リィンからその魔獣の特徴を聞かされたサラ教官は深刻そうな顔になり、「学院長に伝えてくるわ」といって教室から出て行ってしまったのだ。
それから数分後教室に学院長とサラ教官が戻りその魔獣についての説明を始めた。
「いい…?アンタたちが遭遇したのは高位魔獣って呼ばれてる魔獣よ。ただし、普通の魔獣と違ってとてつもなく強いのよ。しかも、生半可な武器じゃその頑強な皮膚に弾かれてしまうかガイウスが体験したみたいに武器がへし折れるっていうことが起こるわ。
でも、付け入る隙もあってね、アイツらはなぜか他の魔獣と違って七耀石を一切体内に含んでいないの。
他の魔獣は七耀石を摂取することで皮膚に薄いコーティングが出来たり、摂取した七耀石に対応した属性に強くなったり、簡易的な結晶回路が出来ることでアーツを放ったりするワケ。
だから、摂取していない高位魔獣は頑強な皮膚を持っていて物理攻撃に強い反面その皮膚の表面には一切七耀石によるコーティングがないおかけでアーツはものすごい効きやすいのよ。もちろん、下位のアーツじゃまともなダメージソースにはならないんだけどね。」
サラ教官から一通りの説明を聞いた後
今度は学院長から説明があった。
「近年、周辺国で高位魔獣の出現が相次いでいてな、基本的に高位魔獣は自分から人間を襲わないのじゃが、高位魔獣は普通の魔獣と違って倒してもその場に骸はそのまま残りその身体からは貴重な素材が回収できる。
それを狙ってか多くのものが高位魔獣に挑んで犠牲になっておる。
学生がそんな無謀なことに頭を突っ込むとは考えたくないが、その気がなくても高位魔獣に鉢合わせたときに対処できるように今年から士官学院に特別講師を招いたのじゃ。」
話し終わった学院長にリィンが質問する。
「では、その特別講師とは?入学式にはいなかったようですが。」
そうリィンが質問する。
そうすると学院長はうなずきなぜかこちらを向いて一礼する。
そして、衝撃の一言を告げた。
「クリス・レディア殿。本日より対高位魔獣の技能教員として本学に来られたことに対して感謝します。」
「「「「「「「「「ええええええええええ!?」」」」」」」」」
「ご紹介に預かりました、本日より皆さんと共に勉学に励みながら高位魔獣に対しての基本戦術や対抗方法を実戦形式で教えることになりました、教師兼生徒のクリス・レディアと申します。」
俺も驚きを隠せないが、クリスは事前から知っていたらしいし、大丈夫だろうと思っていた。
そして、寮に行く途中俺とクリスは今日のことについて話し合っていた。
(教師を受け持って大丈夫なのか?)
【うーん、本当はリンドウさんが行く予定だったんだけど、リンドウさんが教える自信がないってこっちに丸投げしてきてね。】
(リンドウさん、アンタ………)
【まぁ、僕たちの方が遭遇経験があったからね。あと、リンドウさんは感覚派だったから分かりずらいってのもあったかもしれないけど】
(ま、頑張るしかないのか…)
【引き受けちゃったしね……。 お、部屋に着いたみたいだね。どれど…】
と、寮の部屋の扉を開けた俺たちを待ち構えていたのは授業のための資料や武器のレプリカなどが乱雑に積まれた部屋だった。
「えー。これ整理するの?」
(みたいだな…)
それから部屋の片づけが始まり、