「なにあれ…」
そのアリサの言葉は各々の気持ちを代弁していた。
サラ教官からマスタークオーツを貰い、この建物から出るために入り口から出発しようとしていた矢先、クリスが先行しようとしていた。
リィンは何が待ち構えているか分からないため止めようと声を掛けた。
そのとき振り向いたクリスが持っていたのは唖然とするほど異様な武器だった。
黒と黄金が交互に入り混じり禍々しい気配を放つ剣に赤黒い盾、黄土色の銃のようなモノ。
どれもこれも見たことがないうえリィンと同じような腕で巨大な武器を片手で軽々と担いでいるのだ普通の感覚なら驚くだろう。
「な、なんなんだその武器は!?」
マキアスがこらえきれずに叫ぶ。
「ん?ああ、これ?これは僕が所属している会社が作成した武器だよ。」
「もしかして、最近話題の換装武器っていう新しい武器のこと?」
エリオットが尋ねる。
「ああ。これは武器メーカー・フェンリルが手掛けた換装兵装の第三世代の試作品だよ。僕はフェンリルの試作品の実地試験を行っていてね、今回データを採るために学院に持ってきたんだよ。」
「重くないのか?」
「んーーー答えてもいいけどそろそろ実地試験に移りたいんでね、ちゃっちゃと行かせてもらうよ。 じゃあ、バイバイ!」
そういうとクリスは走って行ってしまう。
クリスが行ってしまって少し経った後、今度はユーシスが迷宮に向かっていこうとする。それに対してマキアスが声を掛ける。
「いきなりどこへ……。一人で勝手に行くつもりか?」
「馴れ合うつもりはない。それとも”貴族風情”と連れ立って歩きたいのか?」
自分の発言を皮肉で返されマキアスは「ぐっ」と言って返答に詰まってしまう。
それを見たユーシスは明らかに挑発するような物言いで
「まあ――魔獣が怖いのであれば同行を認めなくもないがな。武を尊ぶ帝国貴族としてそれなりに剣は使えるつもりだ。貴族の義務として、力無き民草を保護してやろう」と言い放った。
それに対してマキアスは
「き、貴族に守られなくても僕は魔獣を蹴散らせる!!!」
と怒って叫び、肩を怒らせながら迷宮へと走って出て行ってしまう。
ユーシスはマキアスの発言に鼻を鳴らして迷宮へと去って行ってしまった。
残された7名は呆然としていたが、ラウラが再起しある提案をした。
「とにかく我々も動くしかあるまい。念のため数名で行動することにしよう。」
アリサ、エマ、フィーに顔を向けながらこう言った。
アリサとエマはこれに対して
「え、ええ。別に構わないけれど。」
「私も…正直助かります。」
と賛同したが、フィーはラウラたちの制止を聞かず一人で行ってしまった。
そのあとはラウラたち女子三人は迷宮の中に入っていき、広間にはガイウス、エリオット、リィンの三名が残っていた。
彼等はそれぞれ自己紹介と自らが使う武器について簡単な説明をしあって、迷宮に入っていった。