イザナギとの会話は続く。
つぎは俺の特典と俺のこの世界における立場を決めるそうだ。
―――それで、お主の設定についてなのじゃが。お主、特典に神機使いの能力、神機と決めたじゃろう?
―――はい。それがどうしたんでしょうか?
―――儂の方でこの世界との擦り合わせを行った結果の設定がこれじゃ。
--------------------------------------
名前:クリス・レディア
性別:男
年齢:17歳
使用武器:神機
オーブメント:空2風1/5-3
マスタークオーツ:覇王
アタックランク:不明
所属組織:武器メーカー≪フェンリル:帝国支部≫所属・性能検査技能士
武器メーカー≪フェンリル≫:
近年エレボニア帝国を拠点として各地に新しいアイデアの武器を売る武器メーカー。
本部はカルバードにあるが、今のところ特に批判は出ていない。
主な販売物として、新型導力弾、充填式導力カートリッジ、換装兵装が存在する。
所長はヨハネス・フォン・シックザール(45)
開発主任はペイラー・サカキ(47)
新型導力弾:武器メーカーフェンリルが開発した商品。弾頭に結晶回路を仕込み、敵の戦車や防壁にぶつかった際に導力魔法を展開し相手の防壁に致命的な一撃を与えるという製品。 弾頭に仕込まれる結晶回路は使い捨てであり、はめ込まれる七耀石も本来捨てられるはずの七耀石の欠片を使用しているため、製造コストは段違いに低い。
充填式導力カートリッジ:武器メーカーフェンリルが開発した商品。本来なら戦術オーブメントなどの一部の導力機器は導力が切れてしまうと長時間使わずに置いておくか、使い捨てのカートリッジを使用しなければならなかったが、その手間を大幅に軽くした製品。 一度使用してしまっても2~3時間ほどで再び使えるようになる。 ただ、これが大幅に出回ると従来の商品が売れなくなってしまい、市場に大きな影響を及ぼすと思われたため現在のところ価格設定は高めである。
換装兵装:武器メーカーフェンリルが生み出した新たなる概念。七耀暦1204年に発表され広まった。
特定の武器種を使用することによって魔獣の体内の導力バランスを乱れさせ体勢を崩すことによって致命的な隙を作り出せることが研究によってわかっている。
しかし、魔獣は基本的に複数で行動し、時には全く別の種類の魔獣と協力して襲いかかってくることもある。
そのときに活躍するのがこの換装兵装である。
換装兵装は基幹パーツに様々な兵装を取り付けることができ、フェンリルで開発された武器種は10種類の刀剣と銃に分けられている。
問題点としては、各兵装が重いことであろうか。
強度の問題で一番軽い刀剣の兵装であるショートブレードや銃の兵装であるアサルトであっても重さは0.01トリムもし、一番重い刀剣の兵装であるバスターブレードでは0.05トリムを超えるものがあるため一般人では所持しにくい難点が存在する。
また、基幹パーツに一度に取り付けることができるのは一つのみであり、現在フェンリルでは複数の兵装が取り付けることができる基幹パーツの開発と軽量化が行われている。
クリス・レディアはつい最近完成した第三世代の換装兵装のテストプレイヤーである。
また、武器メーカーフェンリルは本部こそカルバードにあるが立場は中立的な立場にあるため今回エレボニア帝国の≪放蕩皇子≫と呼ばれる、オリヴァルト皇子からクリスをトールズ士官学院に新設されるクラスに入学させないか? と打診があったため本人の意思と第三世代の兵装の実地試験も含めての入学となった。
--------------------------------------
―――というふうでよろしいかな?
―――特典の神機使いの能力とはどんなふうなんでしょうか?
―――主に身体能力の強化じゃ。それと、これは本来神機使いの能力ではないが、全アラガミのアラガミバレットを技として使うことができるようになっておる。
戦闘中に神機パーツを変更したい場合は、頭の中で使いたい神機パーツを選択してそれを呼び出せば自動的に変更される。
あと、スキルについてじゃが……。呼び出した神機パーツごとにゲームのように設定されておる。ただし受け渡しバーストや喚起率上昇などの一部のスキルは消滅して居るがな。
―――説明ありがとうございます。
―――では、詳しい説明も終わったのでお主の意識をもとに戻すぞ。
―――一つ伝え忘れたが…まぁ、すぐに気づくし大丈夫じゃろう。
俺の意識はそこで列車内に復帰した。
さほど時間は経過していないようだが―――――――――。
【君、誰?】
突然、俺の横から声が聞こえてくる。
俺が意識を横に向けると、そこには青い髪のサイドテールの青年がいた。
(……もしかして、この世界の俺か?)
【この世界って言うのが、わからないけど……君は僕なのかな? 雰囲気も似てるし。
もう一人の僕っていう感じかな?】
(……………そんな感じかね。)
【おお!よろしく! これからトールズ士官学校ってところに通うんだけど、向こうに知り合いはいないし、生徒兼講師みたいな立場に勝手に決められてるしで心細かったんだ!】
これは本当にこの世界の自分なんだろうか?些か元気すぎる気もするが。
(まぁ、よろしく)
と、俺とクリスが脳内で話し合っていると車内放送が聞こえてきた。
―――――≪今回はケルディック経由、バリアハート行き旅客列車をご利用いただきありがとうございます。---次はトリスタ、トリスタ。 一分ほどの停車となりますのでお降りになるかたはお忘れ物のないようにご注意ください。≫
クリスは自分の隣りにおいてあった狼のマークが描かれたスーツケースを手にして降車準備を始めた――――――――――――。