『………………さぁて、お仕事開始だぜ!』
乱入者・デスサイズは湾曲したビーム刃を持つ大鎌、ビームサイズを構えて、謎のISに向けて突撃する。
ISはデスサイズを目標に定めたらしく、デスサイズめがけてビームを放つ。
『うぉ!』
寸分の狂いもなく放たれるレーザーを余裕そうに掻い潜るデスサイズは、あっという間にISに肉薄していた。
だが向こうもそうはさせじと、アームを高く振り上げた。
「っ、危ない!」
それを傍で見ていた春十は、思わずスラスターを吹かしていた。
だが次の瞬間、信じられない事が起きた。
『………………!』
その肥大化したアームが振り下ろされる直前で――――デスサイズが、消えたのだ。
「…………え?!」
これには春十、そして鈴も驚きで固まってしまう。
そしてそれはISも同じで、一瞬ではあるが動きが止まっていた。
そして――――気づけばISの右アームが独りでに宙を舞っていた。
スパークを起こして爆発するアーム。
その爆発により周りに広がる煙。
「うわっ…!」
「……ちょっと春十」
「な、何だよ?」
こんな混乱の中で鈴に声をかけられ、春十は訝しげに鈴に返事する。
「あのIS、ハイパーセンサーにも反応がないんだけど……」
「え……」
言われて、春十は改めて白式のハイパーセンサーを起動させる。
すると、鈴の言った通り、乱入してきたISの反応はちゃんと存在しているが、もう一人の死神の反応が全くないのだ。
「センサーの、故障?」
「それだったらあの変なISだって探知出来ないでしょ?」
狐につままれたような錯覚に陥る二人だったが、やがて煙が晴れていくのを感じ取り、反応がある方へと目を向ける。
煙が晴れた先では、左腕に装備されていた鋏上になった盾でISの胴体を挟み込むデスサイズと、力が抜けたかのようにぐったりとするISがいた。
「……まさかっ」
鈴が感じた嫌な予感――――ISを破壊する――――の通り、鋏の中央からビームの奔流が迸り、挟まれたISの胴体を貫いた。
大きく轟音を轟かせて崩れ落ちるIS。
その中でも身じろぎ一つせず聳え立つデスサイズ。
春十と鈴の目には、まさしくデスサイズが死へと導く死神に映っていた。
そんなデスサイズは二人の視線に構う事無く、ISの残骸に手を突っ込んだ。
『……お、発見』
そう言って抉り出したのは、クリスタル状のパーツだった。
それを手にして満足そうにしていたデスサイズは、その場を去ろうとした。
「……待てよ」
だがその眼前に、春十が立ち塞がった。
『何か用か?』
「何か用か……?お前、今自分が何をしたのか分かってるのか?!人を殺したんだぞ!!」
転がるISの残骸を指さして怒鳴る春十。
それを呆気に取られて聞いていたデスサイズだったが、意味を理解した瞬間、大きく笑い始めた。
『ふっ、あははははは!!』
「な、何が可笑しいんだよ!」
『ははぁ~!……お前、あの残骸調べてみなよ。そうすりゃ納得いくだろうぜ?』
「何を、言って―――」
『んじゃあな、
「!?」
そう言ってデスサイズは飛び去って行った。
それを呆然と見送る春十だったが、首を振ってISの残骸に向けて歩み始める。
「あ、春十」
「鈴……どうしたの?」
「これ………」
鈴が指さしたのは、ISの残骸。
特に異常はなさそうではあったものの、春十は鈴の言いたい事を理解した。
普通、あれだけの攻撃を受けていれば、搭乗者は大量の血を出し、下手をすれば肉片になっている筈である。
だが目の前の残骸に残っているのは、血や肉片でなく、ただの瓦礫とオイルだけであった。
「まさか…………無人で稼働していたのか?」
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『……しっかし、よくもあんなもん作るよなぁ』
IS学園から少し離れた空の元、デスサイズは仲間との合流地点まで急ぐ。
だが急にその場で体を止めた。
「あら、止まってくれるって事はお姉さんに付いて来てくれるのかしら?」
その声は前方から掛けられた。
外に跳ねた水色が特徴の髪型で、彼女自身が纏うISも同じく水色を基調としていた。
『…わりぃけど、そう言うのは間に合ってるんで』
「そう連れない事言わないでよ――――死神さん?」
死神の前に立ちはだかる少女――――更識楯無は不敵に微笑んだ。
デスサイズのハイパージャマーですが、ちょいと仕様を変更して本当に姿を消せるようにしました。
とは言っても短時間しか使えません。
本家では姿が消える訳ではないのですがスパロボシリーズでは分身とかしてるっぽいので……