IS 亡国の死神   作:ふくちか

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Ⅳ.死神の戯曲

 

 

『………………さぁて、お仕事開始だぜ!』

 

乱入者・デスサイズは湾曲したビーム刃を持つ大鎌、ビームサイズを構えて、謎のISに向けて突撃する。

ISはデスサイズを目標に定めたらしく、デスサイズめがけてビームを放つ。

 

『うぉ!』

 

寸分の狂いもなく放たれるレーザーを余裕そうに掻い潜るデスサイズは、あっという間にISに肉薄していた。

だが向こうもそうはさせじと、アームを高く振り上げた。

 

「っ、危ない!」

 

それを傍で見ていた春十は、思わずスラスターを吹かしていた。

だが次の瞬間、信じられない事が起きた。

 

 

 

 

 

 

『………………!』

 

その肥大化したアームが振り下ろされる直前で――――デスサイズが、消えたのだ。

 

「…………え?!」

 

これには春十、そして鈴も驚きで固まってしまう。

そしてそれはISも同じで、一瞬ではあるが動きが止まっていた。

 

 

 

そして――――気づけばISの右アームが独りでに宙を舞っていた。

 

 

スパークを起こして爆発するアーム。

その爆発により周りに広がる煙。

 

「うわっ…!」

「……ちょっと春十」

「な、何だよ?」

 

こんな混乱の中で鈴に声をかけられ、春十は訝しげに鈴に返事する。

 

「あのIS、ハイパーセンサーにも反応がないんだけど……」

「え……」

 

言われて、春十は改めて白式のハイパーセンサーを起動させる。

すると、鈴の言った通り、乱入してきたISの反応はちゃんと存在しているが、もう一人の死神の反応が全くないのだ。

 

「センサーの、故障?」

「それだったらあの変なISだって探知出来ないでしょ?」

 

狐につままれたような錯覚に陥る二人だったが、やがて煙が晴れていくのを感じ取り、反応がある方へと目を向ける。

 

 

 

煙が晴れた先では、左腕に装備されていた鋏上になった盾でISの胴体を挟み込むデスサイズと、力が抜けたかのようにぐったりとするISがいた。

 

 

「……まさかっ」

 

鈴が感じた嫌な予感――――ISを破壊する――――の通り、鋏の中央からビームの奔流が迸り、挟まれたISの胴体を貫いた。

 

大きく轟音を轟かせて崩れ落ちるIS。

その中でも身じろぎ一つせず聳え立つデスサイズ。

 

 

春十と鈴の目には、まさしくデスサイズが死へと導く死神に映っていた。

そんなデスサイズは二人の視線に構う事無く、ISの残骸に手を突っ込んだ。

 

 

『……お、発見』

 

そう言って抉り出したのは、クリスタル状のパーツだった。

それを手にして満足そうにしていたデスサイズは、その場を去ろうとした。

 

 

 

「……待てよ」

 

だがその眼前に、春十が立ち塞がった。

 

『何か用か?』

「何か用か……?お前、今自分が何をしたのか分かってるのか?!人を殺したんだぞ!!」

 

転がるISの残骸を指さして怒鳴る春十。

それを呆気に取られて聞いていたデスサイズだったが、意味を理解した瞬間、大きく笑い始めた。

 

『ふっ、あははははは!!』

「な、何が可笑しいんだよ!」

『ははぁ~!……お前、あの残骸調べてみなよ。そうすりゃ納得いくだろうぜ?』

「何を、言って―――」

『んじゃあな、ハル(・・)

「!?」

 

そう言ってデスサイズは飛び去って行った。

それを呆然と見送る春十だったが、首を振ってISの残骸に向けて歩み始める。

 

「あ、春十」

「鈴……どうしたの?」

「これ………」

 

鈴が指さしたのは、ISの残骸。

特に異常はなさそうではあったものの、春十は鈴の言いたい事を理解した。

 

普通、あれだけの攻撃を受けていれば、搭乗者は大量の血を出し、下手をすれば肉片になっている筈である。

だが目の前の残骸に残っているのは、血や肉片でなく、ただの瓦礫とオイルだけであった。

 

 

 

「まさか…………無人で稼働していたのか?」

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

『……しっかし、よくもあんなもん作るよなぁ』

 

IS学園から少し離れた空の元、デスサイズは仲間との合流地点まで急ぐ。

だが急にその場で体を止めた。

 

「あら、止まってくれるって事はお姉さんに付いて来てくれるのかしら?」

 

その声は前方から掛けられた。

外に跳ねた水色が特徴の髪型で、彼女自身が纏うISも同じく水色を基調としていた。

 

『…わりぃけど、そう言うのは間に合ってるんで』

「そう連れない事言わないでよ――――死神さん?」

 

 

死神の前に立ちはだかる少女――――更識楯無は不敵に微笑んだ。

 

 

 

 

 

 




デスサイズのハイパージャマーですが、ちょいと仕様を変更して本当に姿を消せるようにしました。
とは言っても短時間しか使えません。

本家では姿が消える訳ではないのですがスパロボシリーズでは分身とかしてるっぽいので……

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