この魔力使いに祝福を!   作:珈琲@微糖

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第五話 - この能力に正体を!

「おいおい…それが魔力って…どういうことだ?」

 

「そうですよ…魔力を道具に込めると言うのは知っていますが、それが魔力ってどういうことなんですか?」

 

何も知らない二人が俺に詰め寄る。…あんまり騒いで欲しくないのだが…周囲を見回すとそこまで目立ってはいないようだ。

 

「あんまりでかい声を出すなって…ここから先は他言無用で頼むな?」

 

二人はコクコクと頷いた。

 

「俺のこれなんだが…俺は"魔力をモノに変換する"事が出来るんだ。」

 

「「えっ?」」

 

そう言うと目の前の二人は固まった。…流石にこんなこと唐突に言われても信じられないだろう。

 

「要するに、魔力をそのまま物体とかに変えられるって事だ。」

 

「えっと…ちょっと待ってくれ。少し整理するから…」

 

カズマさんや、私がそれを使えるのは、貴方の連れてきた女神様と、原理は同じですぞ。

 

「流石にそれだけじゃどういうものか分かりません、詳しい説明をお願いします。」

 

「説明って…まぁそんな大層なものじゃないんだがな。」

 

めぐみんが真剣な目でそう言ってきたのでちゃんと説明することにしよう。

 

「俺のこれは、簡単に言うと魔力の出し入れなんだがな。()()()()()()()()()()()()()()、俺はどんなものでも創り出せる。例えそれが、爆裂魔法であっても、無限の財宝でも、伝説級の武具すらも作れるだろうな。」

 

「なんだそれ…って…ん?」

 

話を聞いてポカーンとしていたカズマだが、何かに気づいたようだ。

 

「お前今、仮に無限に魔力があるなら…って言ったよな?」

 

「あぁ…そうだが…」

 

「…それって、実際に使うのにどのくらい必要なんだ?」

 

「そうだなぁ、魔法で例えるなら普通に使う数倍…かなぁ…」

 

段々のカズマの視線が冷たくなっていく。…それと同時に、めぐみんから同類を見る視線に変わっていく。

 

「…それで、今の魔力量的には何が出来る?」

 

「あの…実は…ナイフ数本位しか……」

 

「それってつまり…」

 

「…使えない子で、ごめんねっ!」

 

カズマがじっと「何言ってんだこいつ」という目で見てきた。心が折れそうだ。

 

「うぅ…めぐみん…カズマが虐めるよぅ…うぅ…」

 

「おーよしよし、自業自得ですから嘘泣きはやめましょうね。」

 

「ばれてました、俺の迫真の演技だったのに。…まぁ、ナイフの正体が分かった所で今日は飲もうぜ!酔いが覚めちまうよ。」

 

「そう来なくっちゃね!店員さーん!シュワシュワもう一杯お願いしまーす!」

 

「あぁ、それとカエルの唐揚げも1つ。」

 

カズマとアクアが注文を終えると、さっきまでの真面目な空気はどこへやら。またいつもの喧騒が戻ってくるのであった。

 

「そういえばさ、お前らが風呂入ってる間にパーティーの参加希望者が来たんだが。…アクア、頼んでた募集要項の回収はどうした?」

 

「あっ…」

 

アクアがなんだっけそれって顔をしながら答えた。…忘れてたな。

 

「まぁいいじゃないか、それでどんな奴だったんだ?」

 

そんな話をして、夜は更けていった…。

 

 

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「ういーっす、お二人さん」

 

「よう、アキラ」「あぁ、どうも…」

 

翌日、ギルドでカズマとめぐみんと合流したのだが…カウンターでカズマは冒険者カードとにらめっこ、めぐみんは何故か死んだ目で食事をしていた。…アクア?あぁ、彼女なら酒場で宴会芸を披露してるよ。

 

「それで、ただならぬ空気を君ら二人から感じるんだが…どうかしたのか?」

 

「あぁ、それか。スキルのことなんだが…「カズマったら酷いんですよ!爆裂道を共に歩みましょう!って言っても全く考えずに断るし!挙句の果てには我の事をロリっ子などと…!」

 

「お、おう…そうかそうか…とりあえず落ち着け?」

 

カズマの言葉に食い気味でめぐみんが俺に詰め寄る。…落ち込んでた理由は最後の部分だろうな。

 

「めぐみん、よく考えてみろよ。紅魔族のめぐみんならまだしも、カズマや俺みたいな冒険者成り立ての新人が爆裂魔法を撃つだけの魔力なんてある訳ないだろう?」

 

「まぁ…それはそうですが…」

 

「それに、カズマが爆裂魔法を覚えないのなら俺が覚えてやる。生憎、最悪スキル無しでも戦えるんでな。」

 

そう言うと、めぐみんの表情がパッと明るくなる。…それと同時に、カズマからの視線が少し冷たくなった。また問題児が増えるのか…みたいに思っているんだろうなぁ。

 

「…体型の事は置いとくとして…まぁそんな落ち込むようなことじゃないさ。」

 

「おい今なんて言った、私の体型に何か言いたいことがあるのなら聞こうじゃないか。」

 

そんなやり取りをしている最中、会話を聞いていたのか、二人の女性がカズマに話しかけていた。…パーティとかなんとか言ってるきがするが、昨日言ってた人かな?

一人は軽装で銀髪のショートヘア。もう一人は鎧を纏い、金色のロングヘアの如何にも騎士!って感じの女性だった。…ついでに言うと、二人とも美人でした。

 

「私はクリス。見ての通り盗賊だよ。この子とは友達かな?」

 

銀髪の方の女性が、カズマに自己紹介をしていた。金髪の方の女性がカズマの隣に座っているところを見ると、参加希望は騎士の女性の方だろう。

 

「君役に立つスキルが欲しいみたいだね。それなら"盗賊"系のスキルなんてどうかな?習得にかかるポイントも少ないし、お得だよ?何かと便利だしね。」

 

「へぇ~。」

 

「どうだい?今ならシュワシュワ一杯でいいよ?」

 

「安いな!よし、お願いします!」

 

スキルを教えてもらう条件を聞いたカズマは、その場で店員さんにシュワシュワを頼む。…役目が被るのはあれだし、俺は遠慮しておこう。

そう思った俺は、空いている席…めぐみんの隣に座り、注文をする。

 

「そっちの君はいいのかい?確か冒険者だったよね?」

 

「なんで知ってるんですか…まぁ、覚えてもいいんですが。カズマとスキルが被らない方がパーティとしての幅が広がるかなぁって思ったので。」

 

「冒険者になってた時、色々目立ってたからね。…そういう事なら、君の所の仲間を少し借りてくよ。」

 

「どうぞどうぞ、うちのカズマをよろしくお願いします。」

 

最初の部分をスルーして、カズマを送り出す。…バレたらメンバー全員にネタにされそうだしね!

 

…カズマがスキルを教えてもらってる時に、俺はめぐみんからギルドに来た日の事を問い詰められ、危うく泣いてたことがバレるところだったのはまた別の話。




例の如く現実の方が忙しく、更新が遅れる珈琲@微糖です。
今回は半分がオリジナル、もう半分がカズマのスキル習得回となりました。
いつも通りマイペースな更新となりますが、また見て頂ければ幸いです。
下記、主人公のステータスとなります。

名前:アキラ…小関 彰
性別:男性 年齢:転生時21
体格:カズマよりも少し大柄、と言っても21歳の平均程度。
能力:自分の魔力を万物に変換する
基本的に仕事とプライベートはきっちり分けるタイプ。
転生後で言うとパーティが仕事、それ以外がプライベートに当たる。
そしてプライベートでは割と適当な人間。
転生時、能力は「あらゆるものを創り出す」事を願ったが、転生して発動させようとしてみると魔力の変換になっていた。と言う裏設定もある。魔力さえあればチート能力だが、現状の魔力では、ナイフを数本出現させる程度。
ステータスについては標準的、筋力と知力が少し高めな普通の人間。

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