この魔力使いに祝福を!   作:珈琲@微糖

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第四話 - この初心者パーティーにクエストを!

「では改めて、俺達の今日の目的は"ジャイアント・トード"を3体討伐することだ。」

 

「「「異議なーし」」」

 

さて、俺達のパーティーは今、街から出た平野に来ている。目的としてはクエストのジャイアント・トードを5体討伐することだ。

 

「それで聞いておきたいんだが、アキラって職業は何なんだ?それによって動き方が決まるんだ。」

 

「そういえば言ってなかったな、一応"ナイト"と"アーチャー"に適正はあるが今は"冒険者"だ。ついでに言うと、攻撃方法は今は近接しかないと思ってくれ。」

 

「…どうして"冒険者"なんかになったんですか?折角他にもなれたのに最弱職なんかに…」

 

俺の職業を聞くと、めぐみんが首を傾げて聞いてきた。…その隣でカズマが落ち込んでいた。一応後でフォローは入れとくか。

 

「まぁ、俺がこの街に来た時にはまだパーティーが決まってなかっただけだ。2つなれる職業があるなら、入るパーティーを決めてからどちらを極めるか決めようと思ってな。」

 

「なるほど、そういうことですか。」

 

めぐみんが疑問を解消した所で、立ち直ったカズマが話を元に戻す。

 

「それともう一つ聞いておきたいことがあったんだが…めぐみん、爆裂魔法ってどういう魔法なんだ?」

 

「爆裂魔法は最強の攻撃魔法。その分、発動するまでに結構時間が必要です。ですが、その間に襲われてしまっては元も子もありません。ですので、爆裂魔法が発動するまでの間、あのカエルの足止めをお願いします。」

 

話しながら平野を歩いていると、一番近くにいたカエルがこちらに気づいたようでこちらに向かってきていた。

 

その動きに気づいたのか、遠くにいたもう1匹のカエルがこちらに気づき、近づいてきていた。

 

「それなら遠い方を頼む。近くのは…アクア行くぞ。昨日のリベンジだ!アキラは援護を頼む!…アクア、お前一応は元何とかなんだろ?偶には元何とかの実力を見せてみろ!」

 

「元って何よ!ちゃんと現在進行形で女神なんですけど!アークプリーストはただの仮の姿よ!」

 

涙目でカズマを襲おうとしているアクアさん、それを防ぐカズマ。この2人は夫婦漫才でもしているのか。

そんな様子を微笑ましく思っていると、隣でめぐみんが不思議そうな声で

 

「………女神?」

 

「を自称するちょっと可哀想な子なんじゃないかな?偶にあぁ言うこともあるだろうけど、根は優しいいい子だからそっとしておこう。」

 

めぐみんの肩に手をポンっと置く。そうすると、何かを察したかのようにめぐみんはカズマに同情するような目でアクアを見るめぐみん。

 

…ちゃんとフォローしておいたことを後でカズマにも伝えておかなきゃな。

 

そんなことをしていると、涙目だったアクアが拳を握ってやけくそになったように近い方のカエルに向かって走り出す。

 

「何よ、打撃が効きづらいだけでただの大きいカエルじゃない!見てなさい、カズマ、アキラ!今のところいい活躍出来てない私だけど今日こそは神の力を見せてあげるわ!」

 

そう叫び、アクアが何やらすごい拳をでカエルを殴る!…がしかし、カエルのあついしぼうはその拳すらも弾きかえした。

…女神アクア、貴女のその身を使ったこと足止めは忘れません。

 

…なにはともあれ、折角アクアが足止めに成功したのだ。カズマにボケーっとしているカズマに「おい、助けに行くぞ!」と叫び、カエルの元に急ぐ。

 

「あぁ…って、待て!お前武器は!?」

 

「それならあるさ…()()にな!」

 

そう言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「説明は後だ!さっさとあのカエルを片付けるぞ!」

 

そう言うと、カズマと共にカエルの元へ走り出す!

…その時、後ろのめぐみんの周囲の空気がビリビリと震えだした。

 

段々大きくなるめぐみんの詠唱。その魔法がどれだけ強力な魔法なのか、俺はこの肌で感じ取る。

 

「見ていてください。これが、人類が行使できる最も威力のある攻撃手段。……これこそが、最強の攻撃魔法!」

 

…その一瞬、俺はときが止まったかの様な衝撃を受けた。

 

「『エクスプロージョン』!」

 

めぐみんの杖から放たれた一閃の光は、俺達の向こう側に居るカエルに突き刺さる。

その直後、目を眩ませるような強い光と耳を劈くような轟音。物凄い爆風に吹き飛ばされそうになるが、足に力を込め何とか耐える。

 

煙が晴れると、カエルは塵の一つも残さずに消滅しており、カエルが居た場所を中心に20メートル程のクレーターができていた。

 

「……すっげー、これが魔法か……」

 

「…………………」

 

隣でカズマが何か言ったようだが、俺の耳には一切入ってこなかった。

 

…それ以上に、爆裂魔法に心惹かれていた。

 

 

この魔法が打てたら、どんなに気持ちいいのだろうか。

この魔法が打てたら、どれだけ楽しいのだろうか。

 

 

そんなことを考えてると、カズマがめぐみんの方を向きながら

 

「めぐみん!一旦離れて、1度距離を取ってから攻撃を……」

 

そこで言葉が止まった事に疑問を持ち、カズマと同じめぐみんの方向を見る。

 

そこには、先程呪文を放っためぐみんが倒れていた。

 

「ふっ…我が奥義爆裂魔法は絶大な威力故に、その消費魔力もまた絶大…すみません、限界を超える魔力を使ったので身動きが取れません。ついでに言うと、後ろからカエルが湧き出す音が聞こえるんですが、あの…た、助け…ひゃあっ…」

 

「………アクアの方、頼んます………」

 

「………あぁ………」

 

さっきのワクワクを返してくれ。そう思い、めぐみんの方に湧き出たカエルがを倒しに走り出した。

 

 

====================

 

 

「うっ…うぅ…ぐすっ…生臭いよぅ…生臭いよぅ…」

 

「カエルの体内って、臭いけどあんなに温いんですね……初めて知りました。」

 

カズマの後ろを免疫塗れにされたアクアが泣きながら付いていく。

 

そのアクアの隣で、死んだ目のめぐみんを背負いながら知りたくもない知識を教えられながら街へ戻っていた。

 

曰く、魔力とは生命力と同等であり、魔力が足りない状態で魔法を使うと、その分生命力から差し引かれるらしい。だからこそ、爆裂魔法のような消費魔力が半端ない魔法を常人が使おうとすると、命の危険まであるとか。

 

「とりあえず、今後は爆裂魔法は緊急時だけで、これからは他の魔法で頑張ってくれよ、めぐみん。」

 

そうカズマが言うと、俺の肩を掴む力がギュッと強まる。…まるで、ここで降ろさせないかのように。

 

「…………使えません。」

 

「…………は?」

 

つい、声が出てしまった。

 

「…………だから、使えません。私は、爆裂魔法しか使えないです。他には、一切の魔法が使えません。」

 

「…………マジ?」

 

「…………マジです。」

 

場を静寂が包む。

そうしていると、今まで泣いてた元女神様…アクアが会話に参加できるようになったようだ。

 

「爆裂魔法以外使えないってどう言うこと?爆裂魔法を取得出来る程のスキルポイントがあれば、爆裂魔法以外にも覚えていない筈ないでしょう?」

 

そういうと、目の前のカズマが「スキルポイント?なにそれ、美味しいの?」といった表情をしていた。それを察したアクアは、スキルポイントの説明を始めた。

 

 

曰く、スキルポイントとはスキルを取得する為のポイントである。

曰く、スキルポイントの初期値は本人の才能によって決まる。

曰く、レベルが上がることによってたまっていく。

曰く、アクアは宴会芸スキルを取得してからアークプリーストスキルを全て取得し、今でもポイントが余っている。

 

 

…ちょっと待て、特に最後。なんだ宴会芸スキルって。面白そうだな、覚えさせろ。

流石にそういうことを言う空気じゃないので、ぐっと堪えた。

 

その後、スキルの取得できる種類の話をしていたようだが、要は爆裂魔法とは複合系スキルの為、余程の才能がないと取得出来ないそうだ。

 

…あれ、このロリっ子、もしかして凄い子なの?

そう思っていると、後ろでめぐみんがぽつりと呟く。

 

「…………私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系統じゃダメなんです。爆裂魔法だけが好きなのです。」

 

その気持ちは分からなくもない。アクアが真剣な面持ちで聞いているようだが、俺はとりあえずそれとなく聞き流しておく。

 

「確かに、他の魔法を取得するだけでも冒険は楽になりますし、基本4属性のスキルを取るだけでも違うでしょう。…でも、それじゃダメなんです。確かに、今の私では1日1回が限度です。打った後に倒れます。ですが、私は爆裂魔法しか愛せない!その為にアークウィザードの道を選んだんですから!」

 

「素晴らしいわ!その一つの魔法だけを愛する気持ち!その非効率ながらもロマンを求める姿、感動したわ!」

 

ここまで来て、俺は変な違和感を感じた。

 

確かに、爆裂魔法はかっこいい。しかし、この魔法使いはもしやダメな系なのではないのか?今思えば、こんな初心者の街に都合よくパーティーを探す上級職なんて…

 

「そっか、多分茨の道だとは思うが頑張れよ。そろそろ街に着くし、ギルドで報酬を山分けにしよう。また機会があれば会うこともあるだろうから、元気でな。」

 

そう言うと、カズマは俺の方を見て目で訴えかけてきた。

 

『そいつを離せ』

 

その瞬間、更に肩にかかる力が強まった。

 

「私の望みはただ一つ、爆裂魔法を放つことのみ。食餌はお風呂、その他雑費さえ出して貰えれば無報酬でも構わないと思っています。」

 

…その後、カズマとめぐみんが何やら言い争いをしていると、カズマと俺に街中の人達からあらぬ誤解を受け、それをネタに脅され、カズマは喜んで(しぶしぶ)めぐみんをパーティーに加えることにした。

…ただ、言い争いをしている最中、段々肩にかかる力が強くなっていたせいか、軽く手の形の痣が出来ていた。

 

 

====================

 

 

「うぅ…めぐみんに汚された…もうお婿に行けない…」

 

「だから、悪かったって言ってるじゃないですか。文句はカズマに言ってくださいよ。」

 

「まぁ別にいいんだけどさ。君らのやり取り、見てて面白かったし。」

 

急な俺の手のひら返しに、他のメンバーはずっこけそうになる。

君らはド〇フか何かか?

 

「それはそうとさ、さっきのあれは何だったんだ?」

 

「あれって何?めぐみんを背負って帰ってる時に今度牛乳でも奢ってやろうかなって思った話?」

 

「おい、私の体型で言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」

 

「大変申し訳ありません、今のままでも十分お美しいと思いますお嬢様」

 

そんなやりとりをしていると隣に座るカズマがため息をついていた。

 

「あのなぁ…そうじゃなくてお前のナイフの話だ。」

 

「なんだ、そんなことね。それは私がわた…「おおっと手が滑ったぁぁぁ!!」

 

大慌てでアクアの口を抑える。無事重要な部分は死守できたようだ。

 

「ンッン!ンンンンン!(ちょっと!何するのよ!)」

 

「…カズマは兎も角、めぐみんに本当の事を言ったらアクアがここに居るのがバレちまうだろ?そうなるとそっちとしても都合が悪いんじゃないか?」

 

アクアが何かに気づいたようだ。ちゃんと分かってくれたのだろう。

 

「…とりあえず、適当に誤魔化しながら内容話すから、口裏合わせと聞いてくれ」

 

「…二人とも、急に何してるんですか?」

 

アクアからのokサインが出た。それを確認すると手を離す。

めぐみんの声が少し不機嫌気味なのが少し気になる。隠し事をしてるのがバレたのだろうか。

 

「いやぁ、何でもないよ!なぁアクア!」

 

「…えぇ勿論!そんな変なこと考えてる訳ないじゃない!」

 

めぐみんとカズマから疑いの眼差しが刺さる。その視線凄く胸に刺さるのでやめてもらえませんかね?

 

「そ、それで剣の事だよな!?それなんだが…ちょっと説明が大変何だがいいか?」

 

「それについては私も気になっていましたし構いませんよ。」

 

「良かった…それで何だが。…あれは一言で言うと"魔力"なんだ。」

 

「「はい?」」

 

本当のことを知ってるアクア以外から、言葉が漏れた。




投稿がなんだかんだで遅くなりました。これも全部多忙な私生活が悪い。珈琲@微糖です。

初戦闘回+めぐみんカミングアウト+主人公くん特典開示と盛り沢山の内容で普段より一気に文字数が増えてしまいました。
しかし、カズマさんのパーティーに所属するという時点で一癖も二癖もあるわけでして…まぁ、詳しい能力説明については次回行いたいと思います。
尚、特典公開に基づき、恐らく次回の投稿タイミングで主人公の設定公開もすると思います。いつも通りマイペース更新なのですぐ投下するかどうかは決まってないですからね。

ということでこの辺りで切ろうと思います。
このような拙い文章でも面白いと思って見ていただけたなら、次回以降も見て下さると大変励みになります。

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