「おーし、今日はここまででいいぞー!お疲れさん!…ほれ、今日の日当だ。」
「ありがとうございますー!お疲れ様でしたー!」
主任の仕事終了の合図で日当を受け取り、帰りの支度を始める。
この仕事を初めて早1週間。初めのうちは腕が筋肉痛になったり、疲れで動きたくなくなったりしたが人間の適応力とは恐ろしいものである。
手早く支度を終わらせたら銭湯で汗を流し、酒場で同僚達と1杯やる。これが今の俺の日常になっていた。
…風呂に浸かっている時に何か忘れているような気がしたが気にしない。忘れる程度のことだからどうでもいいだろう。
そう思い、俺は風呂から上がったのだった。
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「どうもー、なんかギルドが騒がしいんですが何かあったんですか?」
「あぁ、アキラか。なぁに、新しい冒険者が来たらしいんだが、何やら物凄い新人が入ったらしいぞ。」
ギルドに入ったら何やら騒がしかったので、初めて俺がギルドに来た時に金を貸してくれた男に話を聞く。…結局あの日以来、何かとお世話になっている。今泊まっている馬小屋も彼の紹介だ。…ちゃんとお礼はしているぞ?
ただ彼がその見た目で「機織り職人」と聞いた時は流石に驚いた。見た目とのギャップに。
「物凄いって…どんな感じなんですか?」
「あぁ、男女の二人組なんだが…女の方は綺麗な水色の髪で結構綺麗だったな。男の方は…そうだ、お前さんが初めて来た時みたいな妙な格好をしていたな。男の方は"冒険者"になったらしいが、女の方は初めから"アークプリースト"らしいぞ。」
「…ゴファッ!?」
危うく飲んでいたシュワシュワを噴き出すところだった。いきなり上級職って…どんな化け物だよ!?…ん?青い髪…プリースト…いや、まさかな!
「ゲホッ!ゲホッ!…なんでそんな人がアクセルなんかに…?」
「さぁな、どうやら遠くから来たみたいだぜ?」
「ふーん、そりゃ今後が楽しみですね。」
「あぁ。案外、あんな奴が魔王を倒しちまうかも知れねぇぜ?」
目の前の男がそういうと、なんだか可笑しくなり俺と男は大きな声で笑った。
…その後はどうでもいい世間話をしながら酒場で夜を明かした。
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「よーし、それじゃあ今日も仕事を始めるが、その前に新入りを紹介する。」
昨晩は普段より飲みすぎてしまい、軽く気分が悪い。ただ、仕事を休むと生活費の方がピンチなので頑張って仕事はしようと思う。
主任の話をそんな調子で聞いていた俺の目の前には、いつの間にか信じられない光景が広がっていた。
「という訳で、新人のカズマとアクアだ。そうだ。アキラ、この二人の面倒を見てやれ。新人同士の方が気が楽だろう?」
「あっ、はい。分かりました。」
目の前に、転生させてくれた女神が居た。
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「という訳で、ここでの仕事は以上だが…何か質問はあるか?」
「いえ、何も。」「私も問題ないわ。」
とりあえず、二人に仕事の指示をする。
カズマと言う男(転生者と思われる)には俺と同じく採掘の仕事を、アクアさんには壁塗りの仕事を割り当てた。…隙あらばどうしてここにアクアさんが居るのかを聞かなければ。
「あっと、そうだ。カズマ、ちょっといいか?」
「えっ、はい。なんでしょうか?」
「何故、"女神アクア"さんがここに居るんだ?」
「え…えっと…何の話ですかね?」
あぁ、うん。多分彼、気付いてないな。
「君、日本からの転生者…で合ってるよね?」
「えっ!?なんでそれを知って…って!もしや!!」
「あぁ、そのまさ「おいコラァ!そこ、何サボってる!!」…とりあえず仕事終わりにでも話そうか、大丈夫か?」
「はっ、はい!分かりましたっ!」
とりあえず、仕事終わりに2人にコンタクトを取ることにした。
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「それで…特典としてアクアさんを連れてきたと?」
「えぇ…ただ、他の特典にしとけば良かったかなって思ってます……」
「…まぁでも、共に冒険が出来る仲間が居るっていうのも心強いぞ?」
「はぁ……そんなもんなんですかね……」
仕事が終わった後、カズマを銭湯に誘い事の顛末を聞くことにした。
曰く、物凄い死に方をしてしまったカズマをアクアさんがストレス解消の道具にした。
曰く、腹を立てたカズマがアクアを特典に選んだ。
…何こいつら、そういうお笑いでもやってるの?
「あぁ、そんなものさ。俺だって、独りで放り出された時は心細かったしな。」
「そうなんですか…そういえば、アキラさんの特典って何だったんですか?」
話をすり替えられた。…まだ特典については未完成レベルだからさらけ出したくはない、ここ銭湯だし。
「内緒。少なくとも、こんな公の場で話す内容じゃないだろう?」
「まぁそれもそうっすね…そろそろ上がります?」
カズマが納得してくれたようで何よりです。
「あぁ。」と頷き銭湯から上がり、外へ出るとアクアさんの姿が見えた。先に上がっていたのだろう
「ちょっとカズマー?上がるの遅いー、湯冷めしちゃったらどうするのよ!」
「お前一応水の女神なのに湯冷めとかすんのな」
「一応って何よ!本当に水の女神なの!…って。貴方、どこかで見覚えがあるのだけど…どこかであったかしら?」
カズマに抗議していたアクアさんはどうやら俺に気づいたようだ。
俺の顔を色んな角度からジロジロ見た後、ポン!と納得したかのように手を叩いた。
「貴方、この間私が飛ばした転生者ね!」
「はい、よく覚えていましたね?」
「いこれまで結構な人数送ってきたけれど、カタログも見ないで決めた人は貴方位だったからそれでね!」
どうやら特典の印象が強すぎたらしい。まぁ、その特典はまだまともに使いこなせてないのだが。
その後、カズマとアクアさんの3人で食事をとり、また翌日から労働に勤しむのだった…。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
漸くアニメの1話の内容に入ることが出来ました。
「なんだかこれこのキャラっぽくない」などの意見がありましたら回れ右することをオススメします。それがこの作者の文章力の限界です。
気にしないよって方は次回以降も見て頂ければ幸いです。