この魔力使いに祝福を!   作:珈琲@微糖

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第十二話 - この集団墓地に救いの手を!

「うぅ。まだ冬ではないとは言え、夜は冷えるなぁ…」

 

「まぁもう秋だしな、何か暖かいものでも飲むか?」

 

「頼む。」

 

夜になり、カズマ達と合流して依頼のあった集団墓地に向かう。…が、夜と言うこともあり、想像以上に寒かった。

 

「《クリエイトウォーター》に《ティンダー》っと、ほい。珈琲で大丈夫か?」

 

「あぁ、むしろそっちの方が目覚ましにもなっていい。」

 

「…どうしてカズマは普通の魔法職よりも初級魔法を使いこなしてるんですか。」

 

カズマから珈琲を受け取り、のんびり啜っているとめぐみんが少し呆れた様子で言ってきた。

 

「まぁ、カズマの奴は変なところで頭の回転が早いからなー。」

 

「変なところでとは、変なところとは。」

 

「言葉の通りさ、取るだけ無駄。と言われてる初級魔法をここまで使いこなすのは純粋に凄いと思うぞ?」

 

「うっ…それはまぁ…ありがとな。」

 

そんな会話をしていると、集団墓地まで案内をしてくれているダクネスが声をかけてくる。

 

「おっと、そろそろ墓地に着くぞ。…カズマ、《敵感知》スキルを頼めるか?」

 

「あぁ!ちょっと待ってな。…数は…いち、にー、さん…大雑把に把握出来るだけで4体以上は居るぞ?」

 

敵感知スキルを発動したところ、事前情報で聞いていたゾンビメーカーの情報よりも多くの反応があったらしい。

 

「妙ですね、普通ゾンビメーカーと言えば取り巻きは1~2体の筈ですが…」

 

「うむ、まずは私が先行して様子を見よう。」

 

そう言って、ダクネスが剣を構え、墓地に入っていく。

それに続き、アクア、カズマ、めぐみん、俺の順番で墓地に入っていった。

墓地に入り、暫らくするとアクアが何かに気付いたようだ。

 

「この匂い…この先にアンデッドが居るわ!…それも、そこら辺の雑魚じゃなくて、もっと大物ね!…悠長にしてられないわ、早く行くわよ!」

 

そう言ってアクアが駆け出す。それを追って行くと、ダクネスがとあることに気がついた。

 

「あれは…妙だな、ゾンビメーカーは魔法陣なんて使わないのだが…」

 

そう言うダクネスの先には、確かに魔法陣が描かれていた。…その魔法陣を物凄い勢いで踏み付けるアクアと、それに泣きつく女性も居た。

 

「…カズマ。あれ、一旦事情を聞いた方がいいんじゃないか?」

 

「…あぁ、そうするつもりだが…なぁ…」

 

軽く頭を抱えながら、カズマはそう呟いた。

 

 

====================

 

 

「えっと、それで聞きたいんですが。貴女は何者なんですか?こんな夜中に墓地に居るなんて…」

 

「あぁ…そうですよね。普通、こんな夜中に墓地に居たら不自然に思いますよね。」

 

そう言う彼女の言葉に疑問を持った。まるで、自分が普通でないような言い方だ。

 

「申し遅れました。私、ウィズと申します。普通の人に見えますが、一応"ノーライフキング"なるものをやっております。」

 

自己紹介をしたウィズだが、それを聞いた瞬間、隣でめぐみんが震えだした。

 

「…なぁ、めぐみん。ノーライフキングってなんだ?」

 

「…アキラには、ノーライフキングと言うよりはリッチーと言った方がいいですかね。所謂、アンデッドの王と言われる種族です。」

 

「…それって、やばいやつじゃね?」

 

そんな話をしていると、アクアがウィズに対して掴みかかった。

 

「あんた、この女神アクア様の前に現れるなんていい度胸ね!覚悟なさい、一瞬で浄化してあげるわ!《ターンアンデッド》!」

 

「えっ、ちょっと待ってください!女神アクアって言うとあのアクシズ教の…ってやめてください!薄くなってます!薄くなっちゃってますからぁ!」

 

「あーっはっはっはっ!このままこの墓地ごと浄化してあげるわ!」

 

「おいこら、そろそろやめんか。」

 

「痛っ!…ちょっとカズマ、何すんのよ!もうちょっとで浄化出来たのに!」

 

「あのなぁ…まだ自己紹介しかしてないだろ?もう少し話を聞いてみたらどうだ。」

 

カズマがそう言うと、アクアは不服そうだがそれに従う。

 

「良かった…話を戻しますね。何故ここに居たか、と言う話ですが…この集団墓地に彷徨っている迷える魂を天に還していてあげたんです。」

 

ウィズは一息つくと、元のカズマの問いを答え直す。

しかし、その回答にカズマは疑問を持ったようだった。

 

「…ん?そういうのって、普通はプリーストがやることなんじゃないか?」

 

「…それなんですが、言い難いのですが…この町のプリーストの方々は現金主義と言いますか…お金のない方は後回しにする方が多くてですね…」

 

言いにくそうに言うと、カズマはアクアの方を向く。

…吹けていない口笛を吹きながら目を逸らす。

 

「それで、私が天に還してあげていたのですが…如何せん、私が行くと、浄化されていない遺体が、ゾンビになって出てきてしまって…」

 

「…なぁ、カズマ。今回は見逃さないか?」

 

「…俺はそうしたいんだが、アクアが賛成してくれるかだな…」

 

そう言ってアクアの方を見ると…見逃してくれなさそうな顔をしていた。

 

「カズマ、任せた。」

 

「…はぁ、しょうがないな…おーい、アクア。ちょっといいかー?」

 

「…なによ。」

 

「ウィズの事なんだが…」

 

その後、アクアを無事説得したカズマは少しウィズと話すと、アクセルの町で彼女の営む魔道具店を教えてもらい、ウィズは帰っていった。

 

「ところで、クエストはどうなるんだ?」

 

「「「「…あっ」」」」

 

ゾンビメーカーを討伐せよ!…クエスト失敗。




連続投稿出来てるのは嵐(多忙)の前の静けさです。改めまして、珈琲@微糖です。
アニメでカットされたウィズとの初邂逅なのですが、私はアニメを中心に入って行きましたので、以前にも増して描写が下手だと思います。大変申し訳ありません。(元々上手くありませんが)

さて、ここからはアニメの時間軸で進める予定ですので、ミツルギとの初邂逅→ベルディア戦となります。キールのダンジョンはもう少し先よ!

という訳で、この辺りで筆を置かせていただきます。よろしければまた見ていただければ幸いです。

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