この能天気な人間に転生を!
「
「はい?」
さっきまで自分の部屋で昼寝をしていたはずなのだが、起きたら違う場所に居た。と言うか俺が寝ていたのは布団だったのだが何故椅子に座っているのか。
そう考えていると、目の前の綺麗な女性が話しかけてきた。
「ちょっとー?聞いてますかー?と言うか何よ、その口の利き方!」
「あぁっと、すみません。ちょっと急すぎて何が何だか分からなくなったもので…」
「まぁ急に死んだなんて言われても仕方ないわよね、もう一度説明してあげるから今度はちゃんと聞きなさい!」
コクリと頷くとその女性はもう一度説明を始めた。色々考えるのは後にしよう。
「改めて…初めまして、小関彰さん。私の名前はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く女神よ。」
「ちょっと待ってください!今死んだって言いましたよね!?」
漸く整理が出来てきた頭が更に混乱してきた。今死んだって言ったよね?
「えぇ、貴方が寝ている間に地震が起きて、頭の上に降ってきた窓の破片が…「もうやめてください、お願いします。」
想像したら気分が悪くなってきた。顔色を見たアクアさんがその様子を察して話を元に戻す。
「さて、そのように亡くなった貴方ですが二つの選択肢があります。一つ目が人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。もう一つは天国的な所でお爺ちゃんみたいな暮らしをするか。」
それならば天国的な所一択だろう。あんな息苦しい世界で暮らすなんて真っ平ご免だ
「じゃあ天国的な所でお願いしま…「ちょっと待ちなさいよ!話は終わってないわ!」
食い気味に目の前のアクアさんが言ってきた。
「天国っていうのはね、貴方が考えてるような素敵な場所じゃないの。死んだら食べ物は必要ないし、死んでるんだから物は当然生まれない。テレビもなければゲームや漫画もない。あるのは既に死んでいる先人達だけ。そんな中で永遠に意味もなく日向ぼっこや世間話をするくらいしかやることがないわ。」
成程、流石に娯楽がないところで永遠に過ごすというのも中々辛い話だ。と言っても、赤ちゃんになって人生をやり直すというのも遠慮したいものだが…
悩んでアクアさんの方を見ると、待ってましたと言わんばかりに椅子から立ち上がる。
「貴方…ゲームは好きかしら?」
コクリと頷くとアクアさんは説明を始めた。
曰く、異世界に魔王が居ると。
曰く、その世界が魔王の侵攻によりピンチと。
曰く、その世界には魔法があり、モンスターが居ると。
「だけどね、その世界の人達って大半が魔王軍にに殺されたわけよ。そうすると『またあんな死に方はしたくない!』ってその世界での生まれ変わりを拒否しちゃうのよ。そうすると子供が生まれなくなってその世界が滅びちゃうの。それなら、違う世界で死んだ人たちをそこに送り込んじゃえばいいや、ってなったのよ。」
成程…と思ったがここで一つ、疑問が湧き出た。
「そんなことしても送り込んだ人が死んだら意味がないんじゃ…?」
「ええ、それだと意味がないわ。だから何か一つだけ、向こうの世界に好きなものを持っていける権利をあげているの。強力な特殊能力、とんでもない才能、神器級の武器…どう?貴方は異世界で人生をやり直せる。異世界の人にとっては即戦力になる人がやってくる。ね?悪くないでしょ?」
…確かに悪くない内容だ。だがしかし、文字の読み書きや言語はどうなるのだろうか。
「因みに、文字や言葉は私達神々のサポートで異世界に行く際に脳に負荷を掛けて一瞬で取得できるわ。副作用として、運が悪いと脳がパーになるかもだけど…後は凄い能力か装備を選ぶだけね!」
「ちょっと今脳が何とかって聞こえたような」
「言ってない」
「いや確かに言ったよ「言ってない」
…これ以上聞いても同じことの繰り返しになりそうだ。…ただ、いい話ではある。少し考えてから、異世界に移住する旨をアクアさんに告げると、目の前にカタログのようなものを出してきた。
パラパラを見ていると能力等が書かれたカタログのようだが…思いついたことをアクアさんに尋ねる。
「ここのカタログにはないものでも大丈夫なんですか?」
「ええ、と言ってもどのような内容かは説明してもらうけどいいかしら?」
「大丈夫ですよ。俺が欲しい特典は―――」
内容を伝えると少し考えた後、アクアさんはこう言った。
「別に構わないけど…普通の人間が最初から使えるような能力じゃないわよ?それでもいいかしら?」
「構いません。折角の二度目の人生なんですから、やりたいことをやろうと思いまして。」
「そう、それならいいけど…じゃあちょっと動かないでね?」
そう言うと足元に魔法陣のようなものが浮き上がる。
「さぁ、勇者よ。願わくば、数多ある勇者候補達の中から、貴方が魔王を打ち倒すことを願っています。……さぁ、旅立ちなさい!」
そうアクアさんが言うと―――俺の視界は光に包まれた。
初めまして。ここまで読んで頂きありがとうございます。珈琲@微糖と言う者です。
様々な小説に感化され投稿してしまいました。
マイペースに更新して行く予定なので定期更新とまではいきませんが、暖かい目で見て頂ければ幸いです。
また次回お会いしましょう。