人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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遂に、奴が動き出す…


Episode91 進化-エボリューション-

シャドウの予告から数日、恐れていた事が起ころうとしていた。

 

ドックン

 

「ッ…来る」

エボルトラスターの反応に、一樹は全速力で格納庫を目指す。途中で、一夏達と合流する。

「場所は!!?」

「学園と協力してる研究所のひとつ!」

「ちくしょうが!!」

それぞれの機体に乗り込み、出撃する…

 

 

『さて…そろそろか』

シャドウは遠くからチェスター達が近づいて来るのを視認すると、ブラックエボルトラスターを引き抜いた。

 

 

「見つけた…!」

変身したシャドウを見つけ、一樹はすぐにエボルトラスターを取り出す…

『待ってくれ一樹!』

だが、一夏に止められた。

「何で!!?」

『そんなすぐに変身(なっ)たら、バルキリーで出た意味無いだろうが!!』

一夏の言う事は正しい…そんなすぐに変身したら、折角バルキリーで出撃しても意味がない…

 

 

『出てこないのか?なら…出て来る理由を作ってやろう』

シャドウはそう言うと、ダークフラッシャーをチェスターに向けて連発した。

 

 

「「「「ッ!!?」」」」

それぞれが操縦桿を動かして、シャドウの攻撃を避ける。

だが、ここ最近一夏やラウラに操縦を依存していたために、α機とβ機が被弾してしまう…

「「「「あぁぁぁ!!?」」」」

「やめろ!やめろやめろやめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

一樹と一夏がそれぞれシャドウに向かって攻撃するが、シャドウは左手からバリアを張ってその攻撃を受け止める。

更にはその攻撃を利用、ワープさせて残りの3機も堕とした。

「「くそッ!!?」」

 

 

『まだ来ないのか?なら、ここを破壊するまでだ』

シャドウはゆっくりと、研究所に近付く…

 

 

「…かーくん」

「大丈夫か雪!篠ノ之!」

「ああ…すまない…」

墜落されたα機から、雪恵と箒を救出する一樹。少し離れた所では、一夏にラウラ、シャルロットがセシリアと鈴を救出していた。

「…良かった。全員無事だ」

一夏がホッとしている。一樹もそれには同意だが、今はホッとしてる場合ではない。

「…一夏。研究所の中にいる人達を避難させろ」

「…お前はどうすんだよ?」

「決まってるだろ…アイツの、相手をしてくんだよ」

「かーくん…」

悲しげに一樹を見る雪恵。そんな雪恵に、一樹は笑顔で話す。

「心配すんな。アレは使わないから」

「…うん」

雪恵が頷くと、一樹はシャドウに向かって駆け出す。

「…みんな、俺達は研究所の人達を避難させるぞ!それから一樹の援護だ!!」

「ああ!」

「ええ!」

「分かってるわよ!」

「うん!」

「分かった!」

5人がそれぞれ頷く、最後に雪恵が…

「…行こう。かーくんの頑張りを、無駄にしないためにも!」

 

 

シャドウの背中に向けてブラストショットを撃つ一樹。

『…?』

無論大したダメージは与えられない。だが、シャドウの意識をこちらに向けるのは成功した。

「…お前の目的は俺だろ?こっちに来い」

ゆっくりと研究所から離れるように動く一樹。シャドウもゆっくり歩き出す。だが、遂に痺れを切らし…

『いつまでその姿でいるつもりだ!』

ダークレイフェザーを連発してくる。

「ッ!!?」

なんとかその攻撃から逃れる一樹。

しばらくそれを避け続けたが、とうとう崖に追い込まれる。

「チッ!!」

そんな一樹に向けて、ダークフラッシャーを放つシャドウ。

『フンッ!!』

ダークフラッシャーにより、崖に爆発が起こる…

 

ドォォォォォンッ!!!!

 

「シェアッ!!」

爆発の中から現れるウルトラマン。

シャドウの背後に着地すると素早くジュネッスにチェンジする。

「フゥッ!シュアッ‼︎」

そんなウルトラマンを見て、シャドウは愉しそうに笑う。

『ハッハッハ…それで良い。愉しませてくれ』

「ハッ!」

『デュッ!』

2人の巨人が、今またぶつかろうとしていた。

 

 

「ああまどろっこしい!!!!」

ひしゃげた扉を慎重に開けようとしていたが、研究員達に端に寄ってもらうと、麒麟で扉を蹴飛ばす一夏。

 

バァァァァンッ!!!!

 

「「「「おぉ〜」」」」

こんな状況だというのも一旦忘れ、あまりに綺麗に扉のみを壊した一夏に拍手を送る6人。

「さあ!早く逃げましょう!」

「あ、ありがとう!」

「ま、待って!せめてデータとアレだけは持っていかないと…」

データ書類を持ち出そうとする研究員の1人に、一夏が怒鳴る。

「命とデータ、どっちが大切なんだ!!?言うまでも無いだろうが!!」

この間16歳になったばかりとは思えない一夏の迫力に、研究員の呼吸が一瞬止まる。

「そ、そうね…で、でも、お願いだから…アレだけは…【ソアッグ鉱石】だけは回収させて…」

「ソアッグ鉱石?」

聞き慣れない鉱石の名に、ラウラが訝し気な目を向ける。

「月でしか取れない特殊な鉱石よ。篠ノ之博士曰く、『ウルトラマンの手助けになるかもしれない』鉱石だそうよ」

「「「「ッ!!?」」」」

 

 

『デュアッ!!』

「シュッ!!」

シャドウの上段回し蹴りを受け止め、急接近。エルボーを喰らわせるウルトラマン。

『グゥッ!?』

腹部を抑えて蹲るシャドウの頭を掴み、研究所とは反対の方向へと投げ飛ばす。

「シュアッ!」

その勢いをシャドウは側転で殺すと、ウルトラマンに向かって跳び蹴りを放つ。

『フンッ!』

「グアッ!?」

ウルトラマンは蹴り飛ばされた勢いを前転で何とか殺す。起き上がったウルトラマンに向かって、シャドウはダークレイフェザーを放ってきた。

『フンッ、トゥオッ!!』

ウルトラマンはそれを両手で受け止めると、逆にシャドウに向けて投げ返した。

「フッ!ハッ!」

『グッ!?』

 

 

「…分かりました。ソアッグ鉱石だけは持っていきましょう」

「ありがとう織斑君!」

「ただ、取りに行くのは自分1人で行きます。場所を教えてください」

「…分かったわ」

研究員からソアッグ鉱石の場所を聞いた一夏は、研究員達の事を他の専用機持ちに任せて走り出した。

 

 

「ハッ!」

『デュッ!』

ウルトラマンとシャドウは同時に飛び上がり、空中で激しくぶつかり合う。

シャドウの拳を横に回り込んで避けると、ガラ空きの背中に回し蹴りを叩き込むウルトラマン。

「デェアッ!」

『グッ!?』

蹴り飛ばされながらも、シャドウはウルトラマンに向けてダーククラスターを打ち出した。

『デュアッ!!』

ウルトラマンはその弾丸の隙間を縫うように飛んで避け、シャドウに急接近していく。だが、弾丸の1発に当たり、スピードが落ちてしまう。

「グアッ!?」

その隙を逃すシャドウでは無い。ウルトラマンに全体重を加えた跳び蹴りを喰らわせた。

『デュッ!!』

「グオッ!?」

跳び蹴りの威力にウルトラマンは急速に下降していくが、セービングビュートをシャドウの腰に巻きつけ、大地に叩きつける。

「デェアァァァァッ!!」

『グアァァァァァッ!!?』

そんなシャドウを追い、ウルトラマンも着地し、構える。

「シェアッ!」

 

 

「…あった!コレだ!」

蒼く輝くソアッグ鉱石を無事見つけた一夏。慎重にケースに仕舞ってから持ち上げ、研究所を脱出する。

「一夏!こっちだ!」

箒たちと研究員も無事に避難出来たようだ。

「(よし!こっちは大丈夫だ!後はお前だけだぜ、一樹!!!!)」

 

 

『ハアァァァァ!!!!』

「フッ!?」

シャドウは両手を頭上に向けて伸ばし、巨大な闇のエネルギー球を作る。

充分な大きさになったところで、ウルトラマンに向かって投げ飛ばした。

『デュアァァァァァァァァ!!!!』

ウルトラマンは、全身に力を入れてその攻撃を受け止めようとする。

「シュアァァァァァァァァ!!!!」

かなり後ろにさがりながらも何とか受け止め、シャドウに向かって投げ返した。

「デェアァァァァァァァァ!!!!」

『グゥッ!!?』

自らの破壊エネルギーに、シャドウは苦しむ。

その隙に、両手にエネルギーを溜めるウルトラマン。

「フッ!シュウッ‼︎ハアァァァァァァ…フンッ!!デェアァァァァ!!!!!」

必殺のオーバーレイ・シュトロームをシャドウに決めた。

 

 

「よしっ!」

「ウルトラマンの勝ちだ!!」

ウルトラマンの勝利を確信する一夏達は、気付かなかった。

()()()()()()()()()に…

 

 

「フッ!!?」

シャドウの消滅を待っていたウルトラマンが、その影に気付いた。だが、もう遅かった。

その影が、シャドウとぶつかる。消えかかっていたシャドウが、禍々しく光る。その光が晴れたそこには…

『ハァァァァ…』

進化したシャドウがいた。

先の姿がウルトラマンのアンファンスの対になる姿だとしたら、今のシャドウの姿はジュネッスと対になると姿だ。その胸元では黒縁のコアゲージが黄色く光り、全体的な模様もジュネッスとよく似ている。ただ…ウルトラマンのジュネッスが力強さを感じる赤なのに対し、シャドウのそれは血をイメージさせる禍々しい赤…名を、【シャドウ・デビル】…

文字通り、悪魔の様な存在だ…

『ハッハッハ!!』

溢れてくる力に、高笑いを上げるシャドウに向かって、ウルトラマンは構える。だが…

ピコン、ピコン、ピコン…

「フッ!?」

ウルトラマンのコアゲージが鳴り響く。

もう長くは戦えない…

「ハッ!」

『デュッ!』

2人の巨人がぶつかり合う。

果たして、この戦いの勝者は…




強化されたシャドウ。


ウルトラマンは果たして勝てるのか!!?

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