「「「「織斑君!クラス代表就任おめでとう‼︎」」」」
夕食後の食堂では、一夏の着任式?が行われていた。メンツは一樹以外の1組+αだ。
「いやぁ〜、櫻井君も誘おうと思ったんだけどどこいるか分かんなくてさ。織斑君と同じ部屋だと思ったら違うんだもん。どこにいるのかな?」
「…アイツならきっとアイツに割り振られた部屋にいるよ」
「え?織斑君知ってるの⁉︎早く呼びに行こうよ‼︎」
クラスの女子の一部が一夏を連れて行こうとするが…
「あの人殺しを呼ぶ必要は無い‼︎」
箒が…それを拒否した。
「人殺し?」
クラスの誰かが疑問の声を上げる。
「あいつは…」
「やめろ箒‼︎」
「ッ⁉︎」
箒が何か言おうとするのを一夏が止めた。
「一樹は…人殺しなんかじゃない‼︎」
「しかし雪恵が死んだのは確実にあいつのせいだぞ‼︎」
「だからそれが違うって言ってんだよ‼︎」
珍しく2人が言い争っているのに、クラスの皆は動けなかった。なにせ、1組の中で一夏と1番仲が良い箒が一夏と言い争っているのだから。
「はぁい新聞部でえす!取材に来ました‼︎」
その場は新聞部副部長、黛薫子が来たことによって、無事明るい雰囲気に戻ったのだった。
ドックンドックンドックン
「…近いな…どこだ?」
IS学園の近くの森に一樹はいた。急いで何かを探してるようだ。エボルトラスターをこまめに見ながら、辺りを見回す。するとIS学園のほうで地響きがなった。
「ッ⁉︎やばい!間に合えよ‼︎」
一樹は学園に向かって走り出した。
「ん?なんか音しないか?」
一夏がそう言った途端、学園全土が大きく揺れた。
「ウワッ!」
「「「「キャァァ‼︎」」」」
思わず声が出た一夏と、悲鳴を上げる女子陣。学園の外には…
キィィィ!
以前一夏を襲った怪物…ペドレオンが学園に現れた。
『緊急事態発生、緊急事態発生。生徒諸君は速やかにシェルターへ避難せよ。繰り返す、生徒諸君は速やかにシェルターへ避難せよ』
機械音声が生徒達に避難指示を流すと3年生が1、2年生をシェルターまで誘導。普段のIS学園での避難訓練の賜物だ。
「皆、早く避難して!早く‼︎
一夏も学園唯一の男子として、3年生をサポート。そして3年生も先に避難させた。避難が終わったのを確認する為に辺りを見回したら窓からある光景が見えた。
「ウソ!なんでISの攻撃が効かないの⁉︎」
教師陣がISを使ってペドレオンを攻撃するが、ペドレオンは全く効いた様子を見せない。絶望した教師2人をペドレオンの触手が捕らえた。
「キャァァァァァァ‼︎」
一樹は森のふもとに着いた。そこで目を閉じると、IS学園の教師2人が触手に捕まっているのが見えた。一樹は目を開くとエボルトラスターを構え、鞘から引き抜く。正面に構えた後、天に掲げた。
「ハッ!」
エボルトラスターから眩い光が溢れ、一樹を包んだ。
もうダメだと教師2人は思った。しかし、背後に眩い光の柱が現れ、それが収まった時、一夏は驚愕する。
「あの時の…銀色の巨人?」
「シェア!」
巨人は独特のファイティングポーズを取り、飛び上がる。右手から光の鞭“セービングビュート”を出し、捕らわれていた教師2人を救出して着地。自分を見ていた一夏へその光線を出し、教師を預けると、本格的な戦闘に入る。
キィィィ!
獲物を奪われたペドレオンは巨人に向かって突進する。しかし巨人はタイミングを合わせて前蹴り。ペドレオンの突進の威力を加わり、ペドレオンは苦しそうに吠える。巨人はそのまま容赦なく右ストレートを叩き込み、後退したペドレオンにさらに右ストレートキックを当てる。
《キィィィ!》
ペドレオンも負けてたまるかと、電撃を巨人に向かって撃つ。巨人は右に側転して回避。右手で左腕の腕輪に触れたあと、ペドレオンに向かって矢じり形の光弾をお返しとばかりに撃つ。光弾は見事命中し、ペドレオンは怯む。巨人はペドレオンと組み合い、パワーでIS学園からペドレオンを引き離そうとする。するとペドレオンから濃い灰色の霧が噴き出し、巨人を弾き飛ばした。
「グァッ!」
巨人は霧から離れ、警戒して霧が晴れるのを待った。霧が晴れた時、ペドレオンは今までの軟体、不定形動物を合成させた様な姿から、円盤状に変化しており、まるで巨人から逃げるかの様に飛んでいく。巨人もそれを追う為に飛ぶ。飛びながら左腕の腕輪“アームドネクサス”を胸元の赤いY字形のクリスタル“エナジーコア”にくっつけ、離す。すると、巨人を光が包み、銀色だった巨人のすがたが赤と黒の比率が多い…まるで戦国時代の上級武士の袴を纏ったかの様な姿に変化した。巨人は右腕を左腕の腕輪にくっつけ、大きく半円を描くと、正面を飛んでるペドレオンに向かって突き出す。拳から青い光線が出て、ペドレオンを通過。ペドレオンの前で金色の壁が発生。上昇して逃げようとするペドレオンだが、壁の力で引き寄せられ、壁の中に入って行く。巨人もその壁の中に入ると、壁は消えた…
「お、終わったのか?」
一夏は巨人がいなくなってから数分間、動けなくなっていた。それは周りも同じだった様で、特に巨人が救出した2人の教師が目が点になっていた。
『近くに異常生命体の反応無し。警戒レベルをグリーンに下げます。各生徒はそれぞれの部屋に戻り、就寝して下さい』
山田先生の放送を聞き、各々の部屋に戻る生徒達。
「一夏、私達も帰るぞ」
「おう。ちょっと忘れ物無いか確認してから行くから先に行っててくれ」
「分かった」
一夏は箒と別れ、一樹がいるはずの整備室へ向かった。
IS学園から離れたある山。いきなり空に光が現れ、中から何か出てくるとすぐに消えた。近くを通った酔っ払いは
「この季節に花火か?気が早えな」
と言っていたとか。酔っ払いのすぐ後ろには先程IS学園に現れた赤い巨人がいたが、酔っ払いは気付かずにその場を去って行った。巨人は腹部の前で腕をクロスすると、胸の前で回し、光の柱の中へ消えた。光の柱が消えると、その下には一樹がいた。
「ハァ…ハァ…完全には、仕留めきれなかった」
その後、ストライクを使い、窓から整備室に入り、ストライクを解除した途端、一夏が入って来た。
「ん?どうした一夏」
「どうしたって外で何が起きたか知らないのか⁉︎」
「ああ。なんか地震が起きただけだ。ここは整備室でISの整備に大きな音が出るからか、完全防音なんだ」
「危なっかしいなオイ。さっき外にでっかい怪物が現れたんだぞ?」
「マジで?」
「マジで」
「…俺クビになれるかな?全然気付かなかったから護衛の仕事が出来ん奴はいらん。ってことで」
「それは無いな。千冬姉だぜ?」
「…早くクビにしてほしい…っと冗談はここまでにしてそろそろ帰った方が良いぞ」
「ん?…そうだな。またあした」
「おう。おやすみ」
一夏が帰ったらすぐに一樹も固い床に何も敷かずに寝た。まるで、立っているのが限界かの様に。
ここからは書き溜めを投稿するのでハイペースに出来るかもです。誤字が酷かったら分かりませんが。