人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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学園回!


今回はちょっと長いぞ!
具体的には前回の2倍超え。

どうぞお楽しみください!!!!


Episode82 因縁-カルマ-

タッグマッチ当日。

俺と簪、雪恵はトーナメント表を見に来ていた。

「えーっと…俺と簪の相手は…ゲッ」

1回戦の相手は、箒と楯無さんのタッグだった。

「いきなり学園最強が相手…私が、足を引っ張っちゃうかも」

簪が俯きながらそう言う。い、いかん。ネガティヴモードになってる。こう言う時は俺が男を見せなきゃ。

「だ、大丈夫だよ簪!一体一ならともかく、今回はタッグマッチなんだ。上手く二対一に出来れば…」

「それはまるで私には楽勝とでも言いたげだな、一夏」

ゲッ、この底冷えする冷たい声は…

俺がゆっくりと後ろを向くと、鬼の形相の箒がいた。

…ん?何だろう、箒から()()()が…

「絢爛舞踏が使える今、そう簡単に勝てるとは思うなよ」

あ、そう言えば紅椿の能力があるのか。面倒だな…()()()()だと。

「…なら、お前の武装を全部ぶった斬れば良い。そうすればシールドエネルギーの有無に関係なくお前の負けだ」

実際、他の代表候補生と模擬戦した時も全武装を破壊することで勝ってるしな。シールドエネルギーを無くすだけがISバトルではないのだよ。

「ふっ、やれるものならな」

いつになく自信たっぷりの箒が去ると、雪恵が訝しげな顔をする。

「箒ちゃん、何か変じゃなかった?」

雪恵も違和感を感じてたか。となると、やっぱり今日の箒はどこか変だ。

…何だろう、どこかであの空気を感じた事がある気がする。どこだったっけ?

「…ん?」

思い出そうとするも、携帯の通知に我に返る。どうやら電話の様だ。誰だろ?

「…ん?宗介?」

「え?宗介君から?」

俺は頷くと、簪に断って電話に出る。

「もしもし?」

『おう一夏。今大丈夫か?』

「ああ、あまり長くなければ」

もうそろそろピットに案内されるだろうからな。

『了解、一応言っとこうと思ってな。変に肩に力入れんなよ?別にド派手な活躍しないで良いからさ』

「…一樹も言ってたけど、それで本当に良いのか?」

『まあな。極端な話、1回戦目でボロクソに負けてもお前に対する評価は変わんねえよ。なにせ色々と枷をかけてるのはこっちだしな』

それにあの一樹がその程度で評価を落とす訳がないだろ?と宗介は笑う。

流石は一樹の相棒、理解度が違うぜ。

『で、1回戦の相手は?』

「楯無さんと箒」

特に考えずに告げると、一瞬で宗介のオーラが変わった。怖っ⁉︎携帯越しなのに怖っ!!?

『前言撤回だ。篠ノ之箒は何があろうとボッコボコにしろ。勝敗なんざどうでも良いが、コレは絶対だ』

多分、一樹を追い出した事に関して怒ってるんだよな…

「あのな、宗介。ちょっとした報告なんだけど…」

『あん?話してみ』

俺は楯無さんから聞いた事をそのまま話す。すると…

『ああ、多分お前勘違いしてるよ。俺が言ってるのはその件じゃない』

…へ?

『俺らS.M.Sがキレてんのは、夏の時の話だ。その篠ノ之箒にセシリア・オルコット、凰鈴音が特にな。アイツが幾ら正体を隠してたとはいえ、生身で無抵抗のアイツをISで攻撃してたのを()()が許すと思ってんのか?』

「……」

S.M.Sの中でも特に一樹との絆が深いメンバー…宗介、智希、和哉、祐人、一馬が動かないのは、一樹に止められてるからであって、今も怒りが収まってないってことか…

『アイツの制止がなかったら、今すぐにでもぶっ潰したいんだよ。例え、国家の代表候補生であっても…天災の妹であってもな』

「…」

『例えお前の幼馴染であってもだ。それとなく脅しておけ。お前らはいつ俺たちの逆鱗に触れるか分からないんだぜ、ってな』

「…了解」

俺の返事を聞くと、携帯越しに感じていた圧が消えた。とりあえず冷静になったらしい。

『あ、あとお前に確認してもらいたい事がある』

「俺に?」

『ああ。実は…』

宗介の言葉は最後まで続かなかった。

突如学園を襲う振動。避難警報が鳴り響き、学園が襲撃された事が知らされる。

「宗介!相手は誰か分かるか⁉︎」

『目視できる限りだと、亡国機業の有人ISが2機、PMCのEx-アーマーもどきが1機、無人機多数だ』

「分かった!ありがとな‼︎」

『一応言っておくが、俺たちは()()動けないから。頑張れ』

「ああ!分かってる!!」

宗介との通話を切ると、麒麟を完全展開。後ろの簪と雪恵も機体を展開し、着いて来る。シールドが張られるギリギリのタイミングで通り抜け、襲撃者たちと対峙した。

 

「あーあ、やっぱり襲撃されたな」

廊下で、一夏達の激戦を観察している宗介。彼にとって、1年専用機持ち(一夏と雪恵以外)がどうなっても知ったことではない。自業自得だとすら思っている。

「でも…アイツは優しいからな。その優しさに免じて、()()()()は見逃してやるよ」

言ってて自分で笑ってしまう。

今回だけ?

それを()()()()()()()()にしてるくせに、と。

「俺も、一樹と同じくらいお人好しなのかもな…」

でなければ、こんなにも『長い』付き合いでいられなかっただろう。とりあえず、宗介は今の自分に出来ることをするだけだ。

「よお智希、()()頼むわ」

『はぁ?雪恵さんが危ないのか?』

「ああ、雪恵さんの()()()()がやばくなる」

自分の周りで友人達が傷ついたら、一樹と同じく優しい雪恵の事だ。自分の事のように悲しむだろう。そしてその雪恵を見て、一樹も哀しむ。なら、彼らにとってやることは…

『…了解。すぐに宇宙に連絡する』

自分たちの憤りなど、この際どうでも良い。自分たちの信じるリーダーの【大切な人】が悲しまないで済むために、最大限出来ることをやろう。

仕返しは、平和になってからでも出来る。

「さて、ワイルダーのおやっさんのことだ。そろそろ連絡が…」

そう呟いた瞬間、宗介のスマホが鳴る。画面に映るのは、『完全勝利』の文字。つまりは…

「…舞台は完成した。後は主演(お前)だけだぜ、一樹」

 

 

無人機の大群に、俺は攻めあぐねていた。

「コイツ…以前学園を襲った奴らよりパワーアップしてやがる!」

零落白夜で切断しようとするも、敵機【ゴーレムIII】は左腕で受け止めてしまう。シールドエネルギーではなく、左腕でだ。

「雪片が使えないなら!」

雪片弐型を拡張領域にしまい、左腕のビームサーベルを抜刀する。

「これでどうだ‼︎」

単純な切れ味だけなら、雪片弐型以上のビームサーベル。その切れ味は、ゴーレムIIIの装甲を簡単に切断した。よし、効いてる!

「逃すか!」

俺は離脱しようとしているゴーレムIIIの肩部を掴むと、ビームマグナムを零距離でぶっ放した。

 

ズギュゥゥゥン!!!!

 

シールドエネルギーなど無かったかの様にゴーレムIIIを貫通、すぐさまゴーレムIIIを蹴飛ばして後方に瞬時加速…

 

ドォォォォォン!!!!

 

ゴーレムIIIが派手な花火へと変わった。

「他のみんなは!!?」

周りを見回すと、みんな苦戦していた。無理もないか、どの機体も麒麟の様な火力は無いし…

「くそッ!数が多すぎる!」

こうなったら、エネルギーを気にせずに済むアレを使いたい。

『一夏、俺が許可するから()()

俺の動きで察してくれたのか、宗介が許可を出してくれた。助かるぜ!

行くぜハク!!!!

『はい!マスター!!!!』

俺の脳波を受信した白式が、麒麟からユニコーンへと変わっていく。頭部の一角が開き、現れたガンダムフェイス。

「暴れるぜ!!!!」

 

 

簪は完成したばかりの打鉄弐式でゴーレムIIIと戦っていた。

「は、速い…」

幾ら一樹がメインシステムを作成したとはいえ、これが初陣。まだ機体が簪に適応しきってなく、ゴーレムIIIの動きに機体が対応出来てなかった。

そんな簪に、ゴーレムIIIの巨大ブレードが迫る。

「ッ!」

なんとか近接戦用の超振動薙刀『夢現』で受け止める簪。だが、パワーで押し負けてしまい、アリーナの大地に叩きつけられる。

「グッ⁉︎」

いつもなら絶対防御でダメージを感じないはずなのに、衝撃がダイレクトに伝わり、簪の脳が揺れる。

「まさか…絶対防御をジャミングしてる⁉︎」

目の前のゴーレムIIIは幾ら叩きつけられようが、機械が活きてる限り動き続ける。だが、簪たち人間はそうもいかない。今の衝撃も、簪が鍛えてるが故に気絶しなかっただけだ。

「私が…戦わないと…!」

まだ生徒の避難が完了していない。せめて避難が終わるまでは、前線にいようとする簪。そんな簪を、ゴーレムIIIは容赦無く叩きのめす。

「アガッ⁉︎」

打鉄弐式が警報を鳴らすも、簪は決して引かなかった。

「私はまだ…やれる!」

周囲を囲むゴーレムIIIに視線ロックオン。

「『山嵐』、行って!!!!」

打鉄弐式に搭載された高誘導八連装ミサイルランチャー、山嵐を撃つ。視線ロックオンシステムによってロックされたゴーレムIIIに向かって、ミサイルは飛ぶ。回避しきれないと判断したゴーレムIIIは、左腕の高出力ビームでミサイルを迎撃する。

 

ドォォォォォン!!

 

ミサイルが迎撃された事で、当たりが爆煙に染まる。それこそが、簪の狙いだった。

「…ッ!!」

瞬時加速を駆使し、ゴーレムIIIに夢現を突き刺す。夢現が貫通した瞬間、簪はゴーレムIIIを踏み台にして瞬時加速。

ゴーレムは簪の背後で爆発した。

「よし…この調子で…」

簪の言葉は最後まで続かなかった。下から放たれたビームによって、打鉄弐式のスラスターが破壊された。

「ッ!!?」

「戦いってのは上下左右何でも有りなんだぜ嬢ちゃん!!」

粗野な声が聞こえたと思ったら、簪の正面には赤いモノアイの機体がビームアックスを振り下ろそうとしていた。

「ッ!」

咄嗟に夢現で受け止めるも、赤い機体は流れる様に回し蹴りを放ってきた。

「アアッ⁉︎」

絶対防御が効かない今、その衝撃が簪を襲う。

「ちぇいさぁ!!」

更に赤い機体はシールドで打鉄弐式を地面に叩きつけると、ビームアックスで簪を突き刺そうとする。

「い、イヤ…!」

「あばよ!嬢ちゃん!」

赤い機体はブーストを蒸し、涙を浮かべる簪に向かって急降下する。

「簪ちゃん!!!!」

間一髪楯無が間に合い、赤い機体の攻撃を碧流旋で受け止めた。

「お、お姉ちゃん…?」

「ごめんね遅くなって!大丈夫⁉︎」

「な、何とか…」

簪の無事を知り、ホッとする楯無。

こんな事で最愛の妹を失うわけにはいかない…

「おしゃべりたぁ余裕だな!!」

赤い機体の狙いは楯無へと移った。重たい筈のビームアックスを難なく振るい、楯無のガードを崩し始める。

「ッ!!?」

「おいおい!そんなもんかよIS学園最強!こんなんじゃ戦いとは言わねえぜ!!?」

型も何もない敵の攻撃。一見乱雑に感じるが、実際は違う。

「(実戦の中で組み立てられた、本格的なもの…むしろ武道の型がないからこそ、読み辛い…!)」

しかも攻撃の種類も多く、ビームアックスを振るったかと思えば殴ってくる。それを何とか避ければ、空いた胴に回し蹴りが入ってしまう。

「ガッ!!?」

「お姉ちゃん!!?」

赤い機体の攻撃をまともに喰らった楯無は呼吸困難に陥る。だが、簪を守りたいという想いが彼女を奮い立たせる。

「絶対に…負けない!」

震える手で碧流旋を握り、赤い機体に挑む。

「遅え!遅すぎんぞ嬢ちゃんや!!」

そんな楯無に、赤い機体は遊ぶように物理攻撃を繰り返す。どんなに殴られ、どんなに蹴られようとも、楯無は決して倒れなかった。自分にとって、最も大切なものを守るために。

「ハア、ハア、ハア!」

その息は荒く、あまりのダメージに碧流旋を握る手から力が抜けていく。そして…

「おらよぉ!!」

赤い機体の前蹴りを咄嗟に両手でガードした楯無。

 

ボギィィィィィィッ!!!!!!!!

 

簪の耳に、不快な音が響く。その音は…自分を庇い続けていた姉の両腕が、折れた音だった。

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

力なく倒れてくる姉を受け止める。姉の綺麗な筈の顔は、殴られ続けた事によって痣だらけだった。

「今度こそ終いだ、嬢ちゃんよぉ」

赤い機体はビームアックスを構え、2人に近づく。

 

「かん、ざしちゃん…にげて…」

こんな状態になっても、楯無は簪の身を優先した。

「いや…いやだよ、おねえちゃん」

やっと誤解が解けたのに、やっと元の姉妹に戻れたのに、こんなことで無駄にしたく無い。

「(…け…て…)」

大好きなヒーローなら、こんな時に来てくれる。絶望しかないこんな状況を、覆してくれる。

「(たす…け……か……)」

現実に、そんなヒーローなんていないと思ってた。自分達がどんなに苦しくても、助けてるヒーローなんかいないと思ってた。

「別れの挨拶は済ませたかぁ!!」

「逃げて!簪ちゃん!!!!」

自分達に向かって振り下ろされるビームアックスへの恐怖に、簪は心の中で叫んだ。

「(助けて、一夏!!!!)」

 

 

「2人から離れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

視界に楯無さんと簪の危機が映った瞬間、俺はユニコーンの最大スピードで赤い機体に蹴りを入れて吹っ飛ばした。

「チッ!」

最大スピードで放った蹴りを受けた筈の敵は、吹っ飛んだ先で姿勢制御を取り戻した。

「大丈夫か2人とも!」

敵に注意を払いつつ、後ろの2人の状態を確認する。

「いち…か…?」

今にも泣きそうな顔の簪が、ユニコーンを見て呆然としている。確かに簪は初めて見ただろうが、今は構ってられない。

「そうだ一夏だ!大丈夫か簪!!?」

「わ、私は、なんとか…でも、お姉ちゃんの腕が…」

横目で確認すると、楯無さんの腕があらぬ方向へと曲がっていた。

「…このゲス野郎」

ビームサーベルを握る手に力が入る。怒りのあまり、我を忘れそうだ。

「…簪、楯無さんを連れて後方に下がるんだ。コイツは俺に任せろ」

「そ、そんな!1人じゃ無茶だよ!」

「大丈夫だ。だから早く!」

「…絶対、生きて帰って来てね」

「当然」

まさか、俺がその台詞を言われる時がくるとはな…

「…ぶった斬る」

簪が飛び立つのを確認すると、赤い機体に向かって突っ込む。

 

ユニコーンのビームサーベルと赤い機体のビームアックスがぶつかり、激しいスパークが起こる。

「この殺気…この空気!これだから戦いはやめられねえんだ!」

赤い機体…【シナンジュカスタム】から発せられる声に、一夏は聞き覚えがあった。

「その声…KPSAのサーシェスだな!!?」

「へっ!だったらどうした!!?」

サーシェスの声に、一夏は学園祭の前、爆弾を送って来た者が誰か分かった。

「この間の爆弾を仕掛けてきたのはお前か!!何故あんな事を!!?」

「俺は傭兵だぜぇ⁉︎それにな!!!」

ぶつかっていたビームアックスを一旦引くと、上段から振り下ろしてきた。かろうじてそれを受け止める一夏。再び両者の間に、激しいスパークが起こる。

「野郎のIS操縦者の登場に、女共が反発すんのはあたりめえじゃねえか!!!!」

「関係ない簪まで巻き込みやがって!!!!」

「テメエがそもそもの原因じゃねえか…【男性初のIS操縦者】さんよぉ!!!!」

「…咎は受けるさ。テメエをぶった斬った後でなぁ!!!!」

左手にもビームサーベルを持ち、シナンジュに振るう。だが、シナンジュは急浮上することによってそれを避けた。

 

 

一夏と更識姉妹を除く専用機持ちは、連携してゴーレムIIIと対峙していた。

「行くよ!箒ちゃん‼︎」

「ああ!」

エールストライカーに換装した雪恵と箒が突出し、ゴーレムIIIの注意を引く。

「鈴さん!合わせてください‼︎」

「アタシに命令すんな!やるけどさ‼︎」

「行くぞ!」

後衛組のセシリア、鈴、ラウラがゴーレムIIIへのダメージソースだ。雪恵達に気を取られていたゴーレムIIIの1体が撃破される。

今度はセシリア達がゴーレムIIIに狙われるが、それはI.W.S.Pを装備したシャルロットのガトリングガンによって落とされた。

「僕がいるのを忘れないで欲しいな!」

器用なシャルロットらしく、遊撃手として飛び回っていた。

「ッ!!?」

そんなシャルロットを狙い、サイレント・ゼフィルスのビットが攻撃してきた。直射はI.W.S.Pの機動性を活かして回避するも、そのレーザーがシャルロットを囲むように曲がる。

「偏向射撃!!?」

何とか左手の物理シールドで受け止めるが、その衝撃に後方へ吹き飛ばされた。

「くっ…」

連携のための陣が崩れ、ゴーレムIIIやビットは箒達を囲み、一斉射撃をする。

「このぉぉぉぉぉ!!」

ラウラが左目の封印を解き、動体視力の底上げを行なうと、プラズマブレードでビットの攻撃を弾く。

「雪恵!」

「うん!」

ラウラの合図に、雪恵はソードストライカーに換装。シュベルトゲーベルを投げて、ラウラに突っ込んで来るゴーレムIIIを撃破した。

「いい狙いだ‼︎」

雪恵の援護により、ラウラがAICをかける準備が出来た。

「消し飛べぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

レールカノンでゴーレムIIIの1体を撃破するが…

「ッ⁉︎」

サイレント・ゼフィルスのビットが再び襲ってくる。かろうじてビットの攻撃を避けるラウラだが、主武装のレールカノンが破壊された。

「グゥッ⁉︎」

衝撃に苦悶の声をあげるラウラ。

「終わりだ」

いつの間にか接近していたサイレント・ゼフィルス…エムがプラズマブレードを振り下ろしてきた。

「ラウラ!」

その斬撃は、シャルロットのビームサーベルに受け止められる。

「まだ動けたか。案外しぶといな」

「この機体のおかげでね!」

ゴールドフレームの機動性を使いこなすシャルロットだからこそ、先の攻撃を凌ぐ事が出来た。

「僕たちは、負けない!」

 

ビームマグナムをシナンジュに向けて乱射するユニコーン。

「絶対に許さねえ‼︎」

すれ違う度に、ビームサーベルとビームアックスがぶつかるスパークが起こる。

「テメエは…戦いを生み出す権化だ!!!!」

2機の剣がぶつかり、押し合う。

「喚いてろ!!同じ穴のムジナが!!!!」

「テメエと一緒にすんじゃねえ!!!!」

左拳を叩き込もうとするユニコーン。だが、シナンジュは体を横にすることでそれを回避。続けて放たれた蹴りはシールドで受け止め、再度距離を取る。

「逝っちまいな!ファングゥ!!!!」

シナンジュはリアスカートの中に隠し持っていた遠近両距離対応型ビット、ファングを6機射出し、ユニコーンを狙う。

「その程度に!!」

両手にビームサーベルを持ち、迫り来るファングを破壊していくユニコーン。背後に迫ったファングも、その二刀で破壊する。

「じゃあコレはどうだぁ!!?」

残った2機のファングを射出。それは、ユニコーンではなく…雪恵を狙っていた。

「ッ!!?雪恵!!逃げろぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「…え?」

ゴーレムIIIと戦闘を繰り広げていた雪恵の背後に、ファングが迫る…

 

 

「お、織斑先生!大気圏を高速で突入してくる反応が有ります!」

「何⁉︎こんな時に隕石か!!?」

「いえ、突入角が完璧すぎます!コレは…IS?いや、速すぎる!!?」

 

 

ストライクフリーダムを操る一樹は、セリーが装着しているマゼンタ色の機体の手をしっかり握りながら、大気圏を突入した。

「……ッ」

突入を成功させてすぐ、一樹の優れた視力とハイパーセンサーがアストレイ・ゼロに迫るファングを視認した。

手を離して華麗に舞うと、両腰の高初速レールガンを撃つ。

 

ドォォォォォンッ!!!!

 

「きゃあぁぁぁぁ!!?」

自分のすぐ後ろで起こった爆発に、雪恵は悲鳴をあげて吹っ飛ぶ。

「何だ!?」

「今のはどこから!?」

「まさか新手!?」

「ち、違う!みんな空を見て!」

「やったのはアイツだ!」

 

ストライクフリーダムは二刀のビームサーベルを抜刀、呆然としているシナンジュに斬りかかる。

「チッ!」

すぐさま下がり、その斬撃を避けるシナンジュ。

「フリーダムだと⁉︎奴はここからいなくなったんじゃねえのか!!?」

 

 

「一樹…一樹なんだな⁉︎」

目の前の蒼い翼に、俺は叫んだ。

『セリー、宗介のところへ行くんだ』

『分かった。気をつけてね』

一樹はセリーを宗介のところへ向かわせると、俺に言った。

『コイツは俺が引き受ける。お前は無人機の方を!』

「ああ!分かった!!」

 

一夏の返答を聞くと、ストライクフリーダムはハイマットモードとなり、シナンジュに向かって飛ぶ。

「この野郎がぁぁぁぁ!!!!」

すれ違った瞬間、激しいスパークが起こった。

 

 

「おーいセリー!ここだここ‼︎」

上空のマゼンタ色の機体に宗介は叫ぶ。あちらも宗介を見つけたのか、ゆっくりと近づいてきた。

 

 

シナンジュの大振りな攻撃を、最小の動きで避け続けるストライクフリーダム。

「このやろ!ちょこまかと逃げやがって!!!!」

「…」

ストライクフリーダムは、両手に持っていたビームライフルを上空へと放り投げた。

そしてビームシールドを展開しながら、シナンジュのビームアックスを…白刃取りした。

 

バヂィィィンッ!!!!

 

「なっ!!?」

驚いてるシナンジュに、零距離でレールガンを放つ。

 

ドォォォォォンッ!!!!!!!!

 

「ゴッ!!?」

装甲に守られたからか、衝撃だけですんだサーシェス。ストライクフリーダムは奪ったビームアックスを素早く海へと捨てた。

「これがビームだったら…」

アックスを失い、残った武装であるビームライフルを構えるシナンジュ。

一方ストライクフリーダムは、落ちてきたライフルを見事キャッチ。シナンジュと対峙する。

「もう終わってるって…」

ストライクフリーダム、シナンジュに共通して言えることは、実体弾には鉄壁といえる防御力がある。だが、ビーム兵器にはとことん弱いということだ…

「……」

「そう言いてえのか!!?テメエは!!!!」

シナンジュはスラスターを全開にし、ストライクフリーダムの背後を取ろうと飛ぶ。そのスラスターを撃ち落そうとする一樹だが、下手に撃つと一夏たちに当たってしまうために、中々ライフルが撃てない。

「チッ!」

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ユニコーンはアストレイ・ゼロの周りに群れているゴーレムIIIを、両手に持ったビームサーベルで次々切断していく。

「大丈夫か雪恵、みんな!!!!」

「う、うん!」

「ああ!」

「大丈夫ですわ!」

「これくらい平気よ!」

「大丈夫だよ一夏!」

「遅いぞ一夏!」

それぞれの返事を聞き、ホッとしている一夏と仲間たちのところに、極太のビームが飛んできた。

「ッ!!?」

何とか、ビームを避ける一夏たち。

「見つけたぞ織斑一夏ぁぁぁぁ!!!!」

「今度こそ殺す!!!!」

一夏を目掛けてやって来たのは、オータムが纏うアラクネに、エムのサイレント・ゼフィルス。亡国機業のISが、一夏を狙いに集まる。

 

「ごめんソースケ、私に合わせるように設定されちゃって…」

「いや、運んでくれて助かる!大気圏突入なんて無茶をしてくれたんだ。調整くらい大した手間じゃねえ!!!!」

セリーから、マゼンタ色の機体が変わった腕時計を受け取る宗介。すぐさま左腕に巻くと、高速で空中投影キーボードを叩く。セリーに合わせて設定された機体を、宗介専用に書き直すためだ。

 

 

撃っては離れ、撃っては離れを繰り返すストライクフリーダムとシナンジュ。シナンジュの放ったビームを、軌道を変える事で避けるストライクフリーダム。

「何で落ちねえんだ!落ちろや!!!!」

ストライクフリーダムに向けて、ビームライフルを連射するシナンジュ。ストライクフリーダムはそれを基本的には避け、学園に被害が出るものはビームシールドで受け止めた。

「(チッ!ライフルだけじゃコイツは落とせねえな…一旦帰投するか、ちくしょう!!!!)」

シナンジュは一旦補給のために帰投する。

「……」

一樹はそれを分かっていても、追わなかった。すぐさま機体を、大量の無人機が暴れる学園へと飛ばした。




こんだけ文字数があって、まさかの次回へ。こんなの初めてだ!!!!

まだまだマゼンタ色の機体は引っ張るという…

まあもうバレてると思うけどね!!!!

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