人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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タッグを組むことにした2人。まずやることは打鉄弐式の完成!

一樹もちゃんと出るよ!


Episode79 打鉄弐式-パーソナル・マシン-

「おし、じゃあ更識さんの機体を見せてくれないか?」

「…で…い」

「うん?」

「簪で…いい。苗字は、あまり好きじゃないから」

えーっと、この場合は相手から許可を貰ったから良いんだよな。

「分かった。簪さん」

「さんもいらない…同い年だし、呼び捨てで良い」

「ん、分かった」

 

 

「あれ?機体自体は完成してるのか?」

簪の展開した機体、【打鉄弐式】は一見完成してるように見えた。

「武装が、まだ…出来てない」

「ちなみにどんな武装なんだ?」

「マルチロックオン高誘導ミサイルと、荷電粒子砲…」

あれ?これすぐ終わるんじゃね?

「簪、ちょっとシュミレーターに付き合ってくれ」

「…?良いけど…」

俺は部屋から持ってきたパソコンと、簪の携帯用ディスプレイを繋げる。

「ほいほいっとな」

「…一夏、コレ…何?」

「これはな、最近、L.A.Iって会社が作った視線ロックオンシステムなんだ。反射神経が良ければ良い程ロックオン速度が上がるタイプ」

ちなみに、俺がメインで乗ってるδ機にも搭載されている。α機にも前は積んでたんだが、俺しか使えないってことでそのままδ機に来た。

…ちなみに、一樹にも当然扱えるのだが、ストライクもフリーダムもミサイルを搭載してないために、不採用となっている。

「じゃあ、これから始めるから。簪は動き回る点をどんどん捉えていってくれ」

「う、うん。やってみる」

簪がシュミレートをしてる間、俺は一樹に急いでメールを打つ。

 

 

PiPiPiPi!

「…?カズキぃ、メールが来てるよぉ」

珍しく昼寝をしていた一樹とセリー。突如一樹のプライベート用携帯が鳴った為に、セリーは目を擦りながら一樹に携帯を渡す。

「うぅん…だれから?」

安心しきってるのか、いつもより深く寝ていた一樹。その目は、まだトロンとしている。

「あのバカ」

セリーの言葉で誰からか分かり、とりあえずメールを開く。

『簪の機体作りを手伝う事になった。それで、L.A.I社製のロックオンシステムの他に何を使えば良いと思う?』

「…アイツ、とうとう更識さんも落としたのか…」

もはや呆れを通り越して感心する一樹。

「……」

ポチポチ、とメールを打つと、再び夢の世界へと向かった。

「ふあぁぁ…」

 

 

ピロリン

「お、来た来た」

一夏がメールを開くと…

『そもそも何の武装なのか分からんから、サポートのしようがない』

「…ごもっともです」

 

PiPiPiPi!

「……今日は速いな」

いつもなら夜にならないと返ってこないので、もう一度寝かけてたのだが…

とりあえず、セリーを起こさないようにしながら廊下に出る。

『荷電粒子砲』

「…うーんと、確かコイツにアグニとビームマグナムのデータのコピーが…お、あったあった。コイツをちょちょいといじって…送信っと」

 

 

ピロリン

「お、来たな…なるほど、アグニとビームマグナムの出力を調整したのか。なになに?『後はそっちで調節してくれ』か。了解っと」

「い、一夏。シュミレーター、終わったよ」

「あいよ…適正A、問題なく使えるな。じゃあこれを打鉄弐式にインストールして…」

「…あとは、荷電粒子砲」

「それも、とりあえずのシステムは作った。細かい調整はアリーナでやろうぜ」

 

第六アリーナに移動した俺たちは、すぐにISを展開した。

『マスター、随分この子に肩入れしますね』

「そう言われれば…何でだろ」

ハクに言われて初めて気付く。きっと、楯無さんから言われたから、だけじゃ無いはずだ。

「多分、同じ優秀な姉を持つ者同士、だからなんだよな…」

箒と話すようになったのも、それからだし。

「ハク、俺は外側からしか分からないから、もし打鉄弐式がおかしな感じしたらすぐ言ってくれ」

『了解です、マスター』

ハクのサポートも得られるところで、先導して俺が飛ぶ。

「じゃ、ここまで来てくれ」

簪は頷くと、コンソールを叩きながら浮上してきた。

飛行システムは完成したみたいだな。

「ハク、どうだ?」

『今の所、問題点が出た時点で修正されています。大丈夫でしょう』

「オッケー」

それでも注意は怠らず、簪の浮上を見守る。

無事に俺と同じ高度に来たところで、今度は下降をやる。今度は俺も並んでだ。

「ゆっくり降りような」

「…分かってる」

簪はコンソールを操作しながらゆっくり降りていく。だが…

 

ドンッ!!

 

「「ッ⁉︎」」

突如簪のスラスターが破裂した。動揺し、バランスが崩れる簪。

「チッ!」

俺は簪の元へ急降下。このままでは危険なため、一旦両方のスラスターをビームサーベルで切断。落ちないよう簪を抱える。

「スラスター関係がまだだな。システムとの同調に気をつけながら調整していこうぜ」

「う、うん…その…」

「ん?どうした?」

急に顔が赤くなる簪。熱でもあるのだろうか。

『時々、マスターがワザとやってるのではないかと思う時があります』

心なしか、ハクが冷たい目をしてる気がする…気にしないでおこう。

何とかアリーナの地面に着地すると、簪をそっと下ろす。

「じゃあ、調整を始めようぜ」

「え、えと。私たちが下手に弄らない方が良いと思う」

「え?どうしてだ?」

「ここら辺は、私も難しくて…櫻井君にやってもらってたの」

「じゃあ、ご本人に調整してもらおうぜ」

 

「Zzzzzzzz…」

廊下のソファで、携帯を持ったまま一樹は寝に入っていた。ここはS.M.Sの役員区画。一樹の味方しかいないために、安心して休むことが出来るのだ。

整備室では常に敵襲を警戒してたために、碌な睡眠がとれなかった。

PiPiPiPi!

「…アイツ、俺に恨みでもあるのか?」

ぼやきながらメールを開くと、システム調整をしてくれとの依頼だった。

「ああ、なるほど。これはあの2人には無理だわ」

簪の反応速度、機体のスペック等々を確認しながらシステムを修正していく。

 

カタカタカタカタカタカタカタ

 

相変わらず凄い速さでキーボードを叩いていく。

「うし、これで良いだろ。後は…ミオ」

『あいあい』

「麒麟との直視映像(ダイレクト・ビュー)を使いたいんだが…この距離で出来るか?」

『モーマンタイ!なにせ私は元最強のISコアで、現在はそれすら超越してますから!』

「…それは頼もしいけどさ、麒麟はどーなのよ」

『それは私が何とかするから、マスターは気にしないで』

ミオの言葉を信じる事にして、一樹は一夏に電話する。

 

 

PiPiPiPi!

「ん?一樹から電話だ」

「…え?」

なんだろうな、とにかく出てみるか。

「ほいほーい、どした?」

『一夏、驚くなよ。これからダイレクト・ビューを使いたいから、チャンネル合わせてくれ』

「……」

はい?ダイレクト・ビューはISにしか使えないはず…

『今度S.M.Sに来た時に諸々説明してやるから。とりあえずチャンネル525で合わせてくれ』

「…了解」

まあ確かに、一樹も見れるならそれに越した事はないけどさ。

 

「…よし、繋がってる。じゃあ、飛んでもらってくれ」

『了解』

簪が飛び始めると、再びキーボードを叩く一樹。逐一変わるデータに、簪専用のシステムを作り始めるのだった。

 

 

『オッケ。大体データは取れた。明日までにお前のパソコンに送る』

「ん、頼むな」

一樹との通信を切った俺は、簪と一緒にピットにいた。ちなみに、俺もあまり麒麟をいじってなかったので試しにやってみたら、燃費が15%、機動性が25%も良くなった。やったぜ。

『まるで私が大飯食らいかのような言い方はやめてください』

いや、そんなことは思ってないからね?

『ふん、どうですかね』

ハクが拗ねてしまった…何が悪いんだよ…

『それが分からないのが、マスターがマスターたる所以ですね』

なんなんだよもう…

「…い、一夏…」

「ん?どうした簪」

「えと、その…ありがとう」

「え?」

「スラスターが変になった時、助けてくれてありがとう」

「なんだ、気にすんなよ。当たり前の事しただけだしな」

これくらいはやっぱりやらないとな。

「…格好いい」

「ん?なんか言ったか?」

ちょっと小声過ぎて聞こえなかったんだが…

「な、なんでもない!」

「お、おう。そうか」

テンションの上げ下げが激しいな…

 

 

カタカタカタカタカタカタカタ

「稼働時のデータと理論値との差異合わせ、スラスター推力を反応速度に合わせるために配列パターンを1805から1482に…」

普段よりOSを調整する目に力がある。たっぷり休息と栄養を取れたからだろうか。

 

ガチャ

 

「さーて続き続き…って一樹⁉︎お前休んでて良いって」

一樹の次に、社長室に長くいる宗介が書類を片付けようと入って来た。

「ん?書類はお前らに頼むよ。コレはIS学園の生徒から頼まれた事」

「…あ?どのツラ下げてそんな事言ってんだ?」

声にドスがかかる宗介。学園でこんなオーラを出したら、千冬ですら震えが止まらないことだろう。流石S.M.Sのナンバー2だ。

「別にIS学園全ての生徒が敵だった訳じゃない。今回、頼まれた人はむしろ俺を受け入れてた子だ」

「よし手を貸そう。何を用意すればいい?」

「…態度変わるの早えな」

「一樹の味方は俺たちの味方、一樹の敵は俺たちの敵ってね。これはS.M.S創設時から変わんねえよ」

「…ありがとな。じゃあちょっとコレでコーヒー買ってくれ。お前のも買っていいから」

財布から500円硬貨を取り出し、宗介に差し出す。

「別にそれくらい奢るよ。気にすんな」

舞たちが住む孤児院に、毎月多額のお金を送っている一樹。役職的には一樹の方が給料は上だが、自由に使える金額としては宗介達TOP7の方が圧倒的に上だ。

…ちなみに、一樹は一夏や弾より自由に使える金額が少ないことを補足しておく。

「いや、でも…」

「ついでに飯も買ってくるよ。奢るから好きなの言ってくれ。何が良い?」

「…じゃあ、もりそば」

もりそば←S.M.S食堂で最も安いもの。

「オッケ。鰻丼な」

鰻丼←S.M.S食堂で最も高いもの。

「おいコラ待て」

「じゃあ行ってくるから。後は適当にお菓子とか買ってくれば良いだろ」

「だから…」

「セリーの分もちゃんと買ってくるから安心しろ」

「話を…」

「さて、食堂が混む前に買いに行きますかね」

「聞いて…」

最後まで一樹の話を聞かずに、宗介は部屋を出てしまった。

既にお気づきかもしれないが、一樹は極力自分にかかる費用を減らす傾向がある。

食事もそうで、適当に腹が膨れれば良いの方針の元、そこらの雑草等で済ませることもしばしば…とても大企業の社長とは思えない。

なのでS.M.Sの一樹を除くTOP7は、一樹と一緒にいる時は必ず奢るという暗黙の掟があったりする。そうでもしないと一樹がまともに食べも飲みもしないから。

 

 

「奢ってくれるのは助かるけどさ…鰻丼はやめて?俺のメンタル的にも。だからそっちのかけうどんくれ」

「これ、セリーのリクエストなんだ」

宗介がセリーの前に、うどんが乗ってるお盆を置く。

「ありがとう、ソースケ」

「おう!」

「セリーのリクエストがかけうどんなのは分かったから、そのお盆に乗ってる牛丼くれ」

「俺、最近牛丼がマイブームなんだ」

「嘘つけ!」

 




順調に毎日投稿出来てるぞ。よしよし。



これからも頑張ります!

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